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コミュニケーションとヘイトスピーチ

 私たちは,家庭や職場,学校など,様々な場面でコミュニケーションを図っています。
 『広辞苑(第七版)』では,「コミュニケーション」は,社会生活を営む人々の間で行う知覚・感情・思考の伝達と説明されています。

 このコミュニケーションに関して,「メラビアンの法則」という法則があるそうです。アメリカのアルバート・メラビアンという心理学者が提唱したもので,実験を行った結果から,コミュニケーションにおいては,言語情報の影響が7%,聴覚情報の影響が38%,視覚情報の影響が55%だと考えられるというものです。「メラビアンの法則」の解釈については諸説あるそうですが,コミュニケーションにおいては,言語情報よりも,表情やジェスチャーといった視覚情報や,声の大きさや口調といった聴覚情報が与える影響の方が大きいと考えられます。

 例えば,「○○人は海に投げ込め」「○○人は日本から出て行け」「祖国へ帰れ」などと書かれたプラカードや横断幕を掲げた大勢の人たちが,物々しい雰囲気で行進しながら,大声で「出て行け」「たたき出せ」などと連呼する場合,「メラビアンの法則」を踏まえると,これらを見聞きする人へ伝わるものは,視覚情報と聴覚情報によって更に増幅された,排他的な姿勢と憎悪だけかもしれません。

 そもそも,ヘイトスピーチは,攻撃の対象となる人たちにとって,悲しみや恐怖,絶望感,不安感,嫌悪感などを抱かせたり,人としての尊厳を傷つけるものであり,許されるものではありません。表現活動は,受け手や聴き手があって成り立つものです。私たち一人一人が,受け手や聴き手に伝えるための方法を磨いていくことも,ヘイトスピーチの解消につながるのではないでしょうか。

ヘイトスピーチ,許さない。