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選択的夫婦別氏制度(いわゆる選択的夫婦別姓制度)について

「選択的夫婦別氏制度」とは?

 選択的夫婦(べつ)(うじ)制度とは、夫婦が望む場合には、結婚後も夫婦がそれぞれ結婚前の氏を称することを認める制度です。なお、この制度は一般に「選択的夫婦別姓制度」と呼ばれることがありますが、民法等の法律では、「姓」や「名字」のことを「(うじ)」と呼んでいることから、法務省では「選択的夫婦別氏制度」と呼んでいます。
 現在の民法のもとでは、結婚に際して、男性又は女性のいずれか一方が、必ず氏を改めなければなりません。そして、現実には、男性の氏を選び、女性が氏を改める例が圧倒的多数です。ところが、女性の社会進出等に伴い、改氏による職業生活上や日常生活上の不便・不利益、アイデンティティの喪失など様々な不便・不利益が指摘されてきたことなどを背景に、選択的夫婦別氏制度の導入を求める意見があります。
 法務省としては、選択的夫婦別氏制度の導入は、婚姻制度や家族の在り方と関係する重要な問題ですので、国民の理解のもとに進められるべきものと考えています。

検討経過等

1 法務省においては、平成3年から法制審議会民法部会(身分法小委員会)において、婚姻制度等の見直し審議[PDF]を行い、平成8年2月に、法制審議会が「民法の一部を改正する法律案要綱」を答申しました。同要綱においては、選択的夫婦別氏制度の導入が提言されています。この答申を受け、法務省においては、平成8年及び平成22年にそれぞれ改正法案を準備しましたが、国民各層に様々な意見があること等から、いずれも国会に提出するには至りませんでした(平成22年に準備した改正法案の概要等については、平成22年2月24日開催第16回法務省政策会議配布資料[PDF]及び平成22年に準備された改正法案(氏に関する部分)の骨子[PDF]をご参照ください。)

 

2 夫婦の氏に関する問題については、令和2年12月に閣議決定された第5次男女共同参画基本計画(新たなウィンドウが開き、内閣府男女共同参画局のホームページへリンクします。)においても、夫婦の氏に関する具体的な制度の在り方に関し、国民各層の意見や国会における議論の動向を注視しながら、司法の判断も踏まえ、更なる検討を進めることとされています。

世論調査の結果

 令和3年に実施した「家族の法制に関する世論調査」の結果では、夫婦の名字の在り方に関する設問について、「現在の制度である夫婦同姓制度を維持した方がよい」と答えた方の割合が27.0%、「現在の制度である夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方がよい」と答えた方の割合が42.2%、「選択的夫婦別姓制度を導入した方がよい」と答えた方の割合が28.9%となっています。また、この設問について、性別、年代、結婚歴、職業等ごとに回答割合を整理したものや、他の関連する設問への回答との関係を整理したもの(クロス分析)に関する、より詳細な情報はこちらです。

夫婦の名字について
名字の変更による不便・不利益について
夫婦の名字が違うことによる子どもへの影響等について

  世論調査の結果について、もっと詳しくお知りになりたい方は、内閣府大臣官房政府広報室の家族の法制に関する世論調査のページ(新たなウィンドウが開きます。)をご覧ください。

司法の判断

 現在の民法のもとでは、結婚に際して、男性又は女性のいずれか一方が、必ず氏を改めなければなりません(この制度を夫婦同氏制度と呼んでいます。)が、夫婦同氏制度が憲法に違反しているのではないかが争われた裁判で、最高裁判所大法廷は、平成27年(判決)と令和3年(決定)の2度にわたり、夫婦同氏制度は憲法に違反していないと判断しました。

 もっとも、これらの最高裁判所大法廷の判断は、いずれも選択的夫婦別氏制度に合理性がないとまで判断したものではなく、夫婦の氏に関する制度の在り方は、「国会で論ぜられ、判断されるべき事柄にほかならないというべきである」と判示しているものです。

 最高裁判所大法廷の判断について、その全文をお読みになりたい方は、最高裁判所のホームページをご覧ください(平成27年の判決はこちら。令和3年の決定はこちら。)。

よくある質問

Q1 選択的夫婦別氏制度とは、何ですか。

Q2 選択的夫婦別氏制度の導入に対する賛成意見や反対意見は、どのようなことを理由とするものでしょうか。

Q3 夫婦が同じ氏を名乗ることになったのは、いつからですか。

Q4 夫の氏にする夫婦の割合はどれくらいですか。

Q5 平成27年の最高裁の大法廷判決では、夫婦同氏制度の意義や選択的夫婦別氏制度について、どのような判断が示されましたか。

Q6 選択的夫婦別氏制度が導入された場合、別氏夫婦と同氏夫婦では,どのような点が違ってくるのですか。

Q7 別氏夫婦は、婚姻届を出していない事実上の夫婦とは違うのですか。

Q8 別氏夫婦を認めたときの子どもの氏は、どうなるのですか。

Q9 別氏夫婦の子どもは、いったん決まった氏を変更することはできないのですか。

Q10 別氏夫婦の戸籍は、どうなるのですか。
Q11 選択的夫婦別氏制度が導入される前に結婚した夫婦は、別氏夫婦になることができないのでしょうか。

Q12 外国における夫婦の「氏」に関する制度は、どうなっているのですか。

Q13 旧姓の通称使用に関する取組は、どこまで進められていますか。

 

Q1  選択的夫婦別氏制度とは、何ですか。


 現在は、男女が結婚するときは、全ての夫婦は必ず同じ氏(「姓」や「名字」のことを法律上は「氏」と呼んでいます。以下同じ。)を名乗らなければならないことになっています。選択的夫婦別氏制度とは、このような夫婦は同じ氏を名乗るという現在の制度に加えて、希望する夫婦が結婚後にそれぞれの結婚前の氏を名乗ることも認めるというものです。
 もちろん、選択的な制度ですから、全ての夫婦が別々の氏を名乗らなければならないわけではありません。これまでどおり夫婦が同じ氏を名乗りたい場合には同じ氏を名乗ることもできますし、夫婦が別々の氏を名乗ることを希望した場合には別々の氏を名乗ることもできるようにしようという制度です。


Q2  選択的夫婦別氏制度の導入に対する賛成意見や反対意見は、どのようなことを理由とするものでしょうか。


 選択的夫婦別氏制度の導入に賛成する意見には、例えば(1)氏を変更することによって生じる現実の不利益があること、(2)氏を含む氏名が、個人のアイデンティティに関わるものであること、(3)夫婦同氏を強制することが、婚姻の障害となっている可能性があることなどを理由とするものがあります。
 他方で、選択的夫婦別氏制度の導入に反対する意見には、例えば(1)夫婦同氏が日本社会に定着した制度であること、(2)氏は個人の自由の問題ではなく、公的制度の問題であること、(3)家族が同氏となることで夫婦・家族の一体感が生まれ、子の利益にも資することなどを理由とするものがあります。


Q3  夫婦が必ず同じ氏を名乗ることになったのは、いつからですか。


 夫婦が同じ氏を名乗るという慣行が定着したのは、明治時代からだといわれています。明治31年に施行された戦前の民法では、戸主と家族は家の氏を名乗ることとされた結果、夫婦は同じ氏を称するという制度が採用されました。明治時代より前は、そもそも庶民には氏を名乗ることは許されていませんでした。第二次世界大戦後の昭和22年に施行された民法では、「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。」とされました。これが、現在の制度です。
⇒ もっと知りたい方はこちら


Q4  夫の氏にする夫婦の割合はどれくらいですか。


 厚生労働省が取りまとめた「人口動態統計」によれば、夫の氏を選択する夫婦の割合は以下のとおりです。
  令和 元年 約95.5%
  平成27年 約96.0%
  平成22年 約96.3%
  平成17年 約96.3%
  平成12年 約97.0%
  平成 7年 約97.4%

Q5  平成27年の最高裁の大法廷判決では、夫婦同氏制度の意義や選択的夫婦別氏制度について、どのような判断が示されましたか。


 夫婦同氏制度の意義について、平成27年最高裁判決では、
 ・ 氏には、夫婦及びその間の未婚の子が同一の氏を称するとすることにより、社会の構成要素である家族の呼称としての意義がある
 ・ 夫婦同氏制度は、家族を構成する一員であることを対外的に公示し、識別する機能を有している
 ・ 家族を構成する個人が、同一の氏を称することにより家族という一つの集団を構成する一員であることを実感することに意義を見いだす考え方も理解できる
 ・ 夫婦同氏制度の下においては、子の立場として、いずれの親とも等しく氏を同じくすることによる利益を享受しやすいといえる
旨の判示がされています。
 また、選択的夫婦別氏制度については、
 ・ 例えば、夫婦別氏を希望する者にこれを可能とするいわゆる選択的夫婦別氏制度について、そのような制度に合理性がないと断ずるものではない、
 ・ この種の制度の在り方は、国会で論ぜられ、判断されるべき事柄にほかならないというべきである
旨の判示がされています。

Q6  選択的夫婦別氏制度が導入された場合、別氏夫婦と同氏夫婦では、どのような点が違ってくるのですか。


 別氏夫婦と同氏夫婦とは、夫婦が同じ氏を名乗っているか、別々の氏を名乗っているかという点が違うだけで、その他の点では両方の夫婦に違いはありません。
 もちろん、夫婦間の権利義務や子どもに対する親の責任や義務についても、別氏夫婦と同氏夫婦とで異なるところはありません。


Q7  別氏夫婦は、婚姻届を出していない事実上の夫婦とは違うのですか。


 別氏夫婦も、同氏夫婦と同じように婚姻届を出している法律上の夫婦であって、婚姻届を出していない事実上の夫婦とは違います。
 現在の夫婦同氏制度の下では、夫婦は必ず同じ氏を名乗らなければなりませんので、夫婦で別々の氏を名乗りたい場合には、婚姻届を出して法律上の夫婦となることができません。
 しかし、選択的夫婦別氏制度が導入された場合には、法律上夫婦が別々の氏を名乗ることも認められますから、別々の氏を名乗りたい夫婦も婚姻届を出して法律上の夫婦(別氏夫婦)となることができるようになります。


Q8  別氏夫婦を認めたときの子どもの氏は、どうなるのですか。


 いろいろな考え方がありますが、平成8年の法制審議会の答申では、結婚の際に、あらかじめ子どもが名乗るべき氏を決めておくという考え方が採用されており、子どもが複数いるときは、子どもは全員同じ氏を名乗ることとされています。


Q9  別氏夫婦の子どもは、いったん決まった氏を変更することはできないのですか。


 平成8年の法制審議会の答申では、別氏夫婦の未成年の子どもが両親の結婚中に自分の氏を両親のいずれか一方の氏に変更するためには、特別の事情の存在と家庭裁判所の許可が必要とされています。また、子どもが成年に達した後は、特別の事情がなくても、家庭裁判所の許可を得れば氏を変更することができるとされています。


Q10  別氏夫婦の戸籍は、どうなるのですか。


 戸籍は、日本国民の親族的身分関係を登録・公証する唯一の公簿です。現在の戸籍では、夫婦とその子が同一の戸籍に在籍するものとされています(その記載例はこちら)。
 選択的夫婦別氏制度が導入された場合の戸籍について、平成8年1月の法務大臣の諮問機関である民事行政審議会の答申では、別氏夫婦、同氏夫婦いずれについても同一の戸籍に在籍するものとされています(当時の考え方に基づき想定される別氏夫婦の戸籍記載例はこちら)。

Q11  選択的夫婦別氏制度が導入される前に結婚した夫婦は、別氏夫婦になることができないのでしょうか。


 平成8年の法制審議会の答申では、制度導入前に結婚した同氏夫婦は、一定期間内に戸籍法の定める手続に従って届け出る等の要件を満たすことによって、別氏夫婦になることができるとされています。
 ちなみに、この問題は、新しい制度が設けられる場合に経過措置をどのように考えるかという問題ですから、選択的夫婦別氏制度という考え方を採るかどうかという問題とは直接の関係はありません。

Q12  外国における夫婦の「氏」に関する制度は、どうなっているのですか。


 夫婦の氏に関する制度は国によって様々ですが、平成22年に法務省が行った調査(注)等によれば、
 ⑴ 夫婦同氏と夫婦別氏の選択を認めている国として、アメリカ合衆国(ニューヨーク州の例)、イギリス、ドイツ、ロシア、
 ⑵ 夫婦別氏を原則とする国として、カナダ(ケベック州の例)、韓国、中華人民共和国、フランス、
 ⑶ 結婚の際に夫の氏は変わらず、妻が結合氏となる国として、イタリア
があります。
 もっとも、法務省が把握する限りでは、結婚後に夫婦のいずれかの氏を選択しなければならないとする制度を採用している国は、日本だけです。

 (注)調査を行った国は、次のとおりです。
 アメリカ合衆国(イリノイ州、カリフォルニア州、ニューヨーク州、ハワイ州、ルイジアナ州)、アルゼンチン、イギリス、イスラエル、イタリア、インド、オーストラリア、オランダ、カナダ(ケベック州、ブリティッシュコロンビア州)、韓国、サウジアラビア、スイス、スウェーデン、スペイン、タイ、中華人民共和国、ドイツ、トルコ、フランス



Q13  旧姓の通称使用に関する取組は、どこまで進められていますか。


 政府としては、女性活躍の推進等の観点から、旧姓の通称としての使用拡大に向けて取り組んできたところであり、令和元年からは、マイナンバーカードや運転免許等において旧姓併記が可能となっております。
 なお、女性の活躍促進に取り組んでいる内閣府では、各種国家資格、免許等における旧姓使用の現状等について調査しています。こちらをご覧ください。



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