CONTENTS

国際協力人材育成研修を実施しました!

法務総合研究所国際協力部では,2014年11月11日から21日までの間,国際協力人材育成研修を実施しました。

それって,どんな研修?

ここで言う国際協力とは,法務省がアジア諸国を中心とした開発途上国で行っている法制度整備支援のことです。法務省や検察庁の職員の中には,法制度整備支援に関心があり,将来,法制度整備支援の担当部署である国際協力部で勤務したり,法制度整備支援の専門家として海外に派遣されることを希望している人もいます。ですが,法制度整備支援の仕事はとても専門的で,資料や文献を読むだけではなかなか具体的なイメージを持つことができません。そこで,百聞は一見にしかずということで,前述の希望を有する人たちに実際の現場を見てもらい,法制度整備支援に対する理解を深めてもらうために毎年実施しているのが,国際協力人材育成研修です。この研修は,今年で6回目の実施となりました。

誰が参加したの?

今回の研修では,検察庁から検事3名と検察事務官1名,法務省民事局から局付検事(裁判官出身)1名と法務事務官1名の合計6名の研修員が参加しました。研修員は,法制度整備支援の仕事に関心のある人たちの中から選ばれ,熱意をもって研修に参加しました。

どんなことをしたの?

まずは,大阪にある国際協力部で2日間にわたり,法制度整備支援の歴史や仕組み,各国への支援状況などについての講義を行い,その後,法制度整備支援の対象国の一つであるカンボジアを訪問しました。

国際協力部での講義をする画像

国際協力部での講義の様子

勉強会見学の画像

勉強会見学の様子

現在,カンボジアでは,司法省,王立司法学院(裁判官と検察官の養成校),弁護士会,王立法律経済大学という4つの機関を対象に法制度整備支援活動を実施しており,現地に長期派遣されている日本人の法律家が中心となって,それぞれの機関ごとにグループで民法・民事訴訟法の勉強会を行っています。今回の研修では,そのうち司法省と王立司法学院の2つの勉強会の様子を見学しました。さらに,王立司法学院の勉強会のメンバーが,その勉強会の成果をもとに実施している裁判所書記官に対するセミナーも見学でき,勉強会の成果が広がっていることも実感できました。

研修員による講義の画像

研修員による講義の様子

また,今回の研修では,名古屋大学がカンボジアに設立した日本法教育センターを訪問し,日本語を専攻しているカンボジアの学生に対して,研修員が「不法行為(交通事故事案における論点)」「間接事実による立証」というテーマで日本語による日本の法律に関する講義を行いました。カンボジアの学生からは鋭い質問も飛び出し,その純粋で熱心な勉学意欲に研修員は刺激を受けました。

さらに,今回の研修では,ポル・ポト派の幹部たちの刑事責任を問うための特別法廷(いわゆるクメール・ルージュ裁判)も訪問しました。当日は運良く裁判が開かれていたため,裁判傍聴をすることができ,とても貴重な体験となりました。

研修の成果は?

帰国後,研修員からは,「具体的な仕事の内容が分かって,さらに法制度整備支援への関心が高まった。」「カンボジアの学生たちの純粋な姿を見て,その国をより良くする手助けとなっている法制度整備支援はやりがいのある仕事だと感じた。」などという感想が寄せられました。近い将来,今回の研修員の中から日本の法制度整備支援を担う人材が生まれることが期待できる研修成果となりました。

カンボジアの学生の皆さんとの集合写真

カンボジアの学生の皆さんと