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明日の国際協力を担う人材の育成

1. 国際協力人材育成研修について

法務総合研究所国際協力部(ICD)は,独立行政法人国際協力機構(JICA)等関係機関と協力しながら,ベトナム,ラオス,カンボジア,ミャンマー等10か国余りの国々に対して,法令の起草支援や司法関係者の人材育成支援等の法制度整備支援を行っています。

ICDでは,裁判官出身者を含め,法務・検察の各部署から集まった教官や国際専門官らが働いていますが,多くの国から支援の要望を受け,法制度整備支援業務は拡大しており,多様化・複雑化しています。そこで,将来,法制度整備支援業務に携わる人材を育成し,確保することは重要であり,そのために,法務・検察職員を対象に,毎年1回実施しているのが,「国際協力人材育成研修」です。2019年度は,11月10日から同月21日までの間に行い, 法務省民事局や東京法務局,検察庁から合計7名が参加しました。

この研修では,まず,国内研修として,法制度整備支援の概要や各国に対して行っている支援内容等に関する講義を受け,法制度整備支援の知識を学んだ後,海外研修として,支援対象国であるミャンマー連邦共和国及びラオス人民民主共和国を訪問し,支援の現場を体験しました。現地では,駐在している長期専門家から活動状況や,やりがいについて話を聞いたほか,現地の裁判所で行われている裁判を傍聴するなどしました。さらに,訪問したミャンマー連邦法務長官府やラオス国立司法研修所というところでは,職員や学生の方々に対して,日本の統治機構や法曹養成制度を紹介する講義を行いました。最初はやや緊張していた研修参加者も,講義を始め,職員や学生からの質問を受けて意見を交わすにつれて,その表情が柔らかくなり,積極的に意見を交わしていました。

ミャンマー連邦法務長官府でのセミナー

ミャンマー連邦法務長官府でのセミナー

ラオス国立司法研修所での講義

ラオス国立司法研修所での講義

研修の最後には,研修参加者がこの研修で学んだことを発表しましたが,法制度整備支援の現場で見聞きしたことを踏まえて,各自考えた内容であり,多くのことを吸収することができたと感じられました。研修参加者からも,「ミャンマーやラオスへ行って法制度整備支援の現場を見聞きすることで,日本の寄り添い型の法制度整備支援を実感することができた。」「長期専門家として働きたいという気持ちがより強くなった。」などの感想が聞かれました。

2. インターンシップその他について

ICDでは,このほか,大学院生やロースクール生を対象とするインターンシップ,司法修習生の選択型実務修習等を積極的に受け入れています。また,各地の大学等において,法制度整備支援に関する講義も行っています。例年6月頃に実施する「法整備支援へのいざない」を含め,明日の国際協力を担う人材を多く育てる活動に積極的に取り組んでいきます。