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記者が行く!
~法務省矯正局特別機動警備隊が被災地での支援に当たりました~

皆さん,こんにちは。
台風19号で被災された地域に,法務省矯正局特別機動警備隊が派遣され,復興・復旧を支援しました。今回は,支援の様子などについて,法務省矯正局の担当者の方にお話を伺いました。

記 者:
こんにちは。
早速ですが,まずは,法務省矯正局特別機動警備隊について教えてください。
担当者:
法務省矯正局特別機動警備隊(SeRT)は,平成31年4月1日,矯正施設において,暴動,逃走,天災事変等の保安上の緊急の措置を要する事態が発生した場合に迅速かつ的確に対処するため,新たに矯正局長直轄の部隊として東京拘置所に常設されました。「SeRT」とは,特別機動警備隊の英訳であるSpecial Security Readiness Teamの略称です。
記 者:
緊急事態に迅速に対応できるよう,SeRTが誕生したわけですね。今回は,SeRTの発足後,初めての被災地支援として,長野県須坂市で活動されたそうですが,台風19号の被害状況や,派遣に至るまでの経緯についてお聞かせいただけますか。
担当者:
令和元年10月12日,超大型の台風19号による被害は甚大でした。そこで各地の矯正施設では,所在する自治体に連絡を取り,支援を申し出ました。
長野県では,千曲川及びその支流が氾濫し,長野県須坂市のほか,同県長野市等の多数の地域で床上浸水等の冠水被害が生じました。同月18日正午時点において,須坂市は,床上浸水218世帯,床下浸水100件という住宅被害を受けました。
長野刑務所が,須坂市にお手伝いできることを確認したところ,直面している問題は災害ごみの処理であるとのことでした。
なお,災害ごみの処理は,その他の被災自治体でも最も重要な課題の一つとなっているようです。
記 者:
浸水被害で出た災害ごみの処理問題については,ニュース等でも報道されていましたね。そのような状況下で,実際に災害ごみの処理問題の支援に当たったSeRTの活動内容はどのようなものだったのでしょうか。
担当者:
矯正局では,須坂市の要望を受け,第一陣として,隊長以下13名により編成した部隊を長野刑務所へ派遣し,同所を拠点として,同月17日から同月23日までの間,同市内の日滝原産業団地において,災害ごみ処理の支援に当たりました。
また,同月23日以降は,第2陣として,副隊長以下14名で編成した部隊を派遣し,同月27日までの間,同支援に当たりました。

第一陣として派遣されたSeRT隊員

担当者:
災害ごみ処理の支援は,まず,被災された皆様又はボランティアの皆様により,被災現場から冠水した家具,畳などが軽トラック等に積み込まれ,災害ごみの受入場所,いわゆる仮置場に搬入されます。SeRTは,そのごみを可燃,割れ物,家電,その他の電気製品,木製品などに分別しながら,軽トラック等から降ろし,さらに,そのごみをごみ収集車に積み込んで,仮置場から焼却施設に搬出するといった業務に従事しました。
災害ごみは大量に発生している状況にあり,焼却施設受入量が一時的に限界に近づいたとして,仮置場からのごみの搬出を休止する事態も発生し,今回の被害がいかに甚大であったかが身に染みて分かりました。
災害復旧は,災害ごみの速やかな除去がその第一歩となるものの,地域によっては,災害ごみの発生量や最終処分場の受入量にも差異があるため,その処理にも限界があることが分かり,災害復旧の難しさを思い知らされました。

「仮置場」の様子

災害ごみを分別する隊員

災害ごみを軽トラックから降ろす隊員

記 者:
改めて,台風19号の被害の大きさや,災害復旧がいかに困難であるかを写真やお話から感じることができました。
最後に,今回の被災地支援をとおして感じたことや,私たちが災害から身を守るための対策などあれば教えてください。
担当者:
今回,SeRTが災害ごみの処理に従事しましたが,結婚式,卒業式,子供の成長記録等の多くの写真のほか,卒業文集なども多くありました。家族にとって,このような非常に思い出深い品々が次々と廃棄されている現実を目の当たりにし,改めて,災害は生活の場を奪うだけでなく,過去の思い出までも奪い去るということを痛感させられました。
今一度,自宅周辺のハザードマップを確認するなどし,災害から自らの命を守る行動を取っていただきたいと感じました。
記 者:
本日は,貴重なお話を聞くことができました。ありがとうございました。「SeRT」の隊員には,今後も緊急事態発生の際には,国民の手助けになるよう活躍していただけることを期待しています。これからも頑張ってください。