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法制度整備支援の現場から

職 名:
インドネシア長期派遣専門家
氏 名:
西尾信員
採用年:
平成23年1月
所 属:
インドネシア最高裁判所

インドネシアは、世界最多の1万3,000余りもの島々から構成される、国土総面積が約192万㎢(日本の約5倍・世界第14位)、令和2年の人口が約2億7,000万人(日本の2倍超・世界第4位)、令和元年の名目GDPが1兆1,191億ドル(世界第16位)の大国です。首都ジャカルタには、ASEAN本部も置かれており、「ASEANの盟主」と呼ばれています。インドネシアは、平均年齢が30歳程度と非常に若い国で、将来の経済発展も期待されており、少子高齢化に悩む日本にとっても非常に重要な国といえます。

インドネシアでは、令和3年10月から新たに4年間の法整備支援プロジェクト「ビジネス環境改善のためのドラフターの能力向上及び紛争解決機能強化プロジェクト」が開始され、⑴法務人権省法規総局を対象とした法案の起草・審査を担当するドラフターの能力の向上を図る活動と、⑵最高裁判所を対象とした知財事件等を担当する裁判官の能力の向上を図る活動が行われています。そして、私は、そのうち⑵の最高裁判所の案件を担当する裁判官出身の専門家として、同年11月からインドネシアに派遣されています。

最高裁判所の案件では、知財事件等に関する、研修の立案・実施に関する活動(活動①)と、執務参考資料の作成・公開・普及に関する活動(活動②)に取り組んでいます。具体的には、活動①では、ジャカルタ近郊にある司法研修所での集合研修のほか、インドネシアの各地での出張研修を行い、裁判官の能力向上を目指しています。活動②では、先ごろ、日本とインドネシアの商標事件に関する裁判例を掲載した判決集第2集が完成し、令和4年3月に完成お披露目会を実施しました。これには、インドネシア最高裁判所長官や在インドネシア日本国大使も出席され、大いに盛り上がりました。

私個人がインドネシアのためにできることは限られていますが、日本とインドネシアの架け橋の一つとなって、インドネシアの知財裁判の発展のために力を尽くし、それが日本企業によるインドネシアへの投資の促進につながり、ひいては両国の相互発展に寄与することができればと考えています。

インドネシア最高裁判所メンバーとJICAメンバー ~インドネシア最高裁判所正面玄関前にて~

インドネシア最高裁判所メンバーとJICAメンバー
~インドネシア最高裁判所正面玄関前にて~(筆者は前列左から5人目)

判決集第2集完成お披露目会

判決集第2集完成お披露目会(筆者は後列左から7人目)