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「令和5年版犯罪白書」について

令和5年版犯罪白書の表紙
犯罪白書とは?
犯罪白書は、犯罪の動向や犯罪者の処遇の状況について、統計資料等に基づいて紹介しているものです。
昭和35年から、法務省法務総合研究所により毎年発刊されており、犯罪対策を検討するための基礎的な資料としての役割を担っています。
犯罪の動向は?
刑法犯の認知件数(警察が犯罪の発生を把握した件数)は、平成14年に戦後最多の約285万3,700件を記録した後、19年連続で減少していましたが、令和4年は20年ぶりに増加し、約60万1,300件でした。
なお、平成15年からの認知件数の減少は、刑法犯の7割近くを占める窃盗の件数が大幅に減少し続けたことに伴うものです。

令和4年に刑法犯で検挙された者の人員は、戦後最少の約16万9,400人でしたが、そのうち、65歳以上の高齢者が23.1%を占めており、高齢者の比率の上昇が進んでいます。

再犯の現状は?
平成30年に刑事施設を出所した者のうち、3割を超える者が、出所後の犯罪により、出所後5年以内に刑事施設に再入所しており、そのうち約半数が2年以内に刑事施設に再入所しています。
また、満期釈放者は、仮釈放者と比べて、再入率(各年の出所受刑者人員のうち刑事施設に再入所した者の人員の比率)が高いことが分かります。

今回の特集は?
令和5年版犯罪白書では、「非行少年と生育環境」と題して特集を組み、少年法制等の変遷、少年を取り巻く生育環境等の変化、昨今の少年非行の動向等について概観・分析するとともに、非行少年及びその保護者を対象として実施した特別調査の結果を分析し、非行少年の生育環境等に関する特徴を明らかにし、今後の指導や支援の在り方、再非行防止対策の在り方等について検討しました。
昭和期以降の非行少年の検挙人員等が、それぞれの時代の社会情勢等と関連して増減していたことが考えられたほか、少年非行が質的にも変化を繰り返しながら現代に至っていることが確認できました。少年非行の動向は、平成期以降においても増減・変化を繰り返しており、今後も形を変えながら推移していくことが想定されます。

また、特別調査の結果では、例えば、小児期(18歳まで)に親を亡くしたり、家族から暴力を受けたりといった逆境体験を有している者が多数いることが明らかとなるなど、非行少年の背景にある厳しい生育環境をうかがわせる様々な事情が確認できました。これらを考慮した上で、非行少年に対する支援等の在り方を検討することが重要であると考えられます。

法務総合研究所は、今後も適切なテーマ等を選んで調査を行い、犯罪・非行をした者に対する有効な支援・指導を検討するための資料を提供していきます。
もっと犯罪白書の内容を知りたい場合は?
法務省ホームページで閲覧できるほか、官報販売所等で購入できます。
