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アジ研が署名したMOU・MOCの紹介
協力覚書(MOC)って何?
政府間や、共通の任務を持つ機関同士が、共同研究、人事交流、情報交換等を通じて、特定分野の協力関係を促進するための枠組みで、双方が合意して締結されます。 英語の“Memorandum of Cooperation“の頭文字をとって、MOCと呼ばれることもあります。類似の合意文書の呼称として、了解覚書(Memorandum of Understanding, MOU)、協力声明(Statement of Cooperation, SOC)、連携協定(Affiliation Agreement)等もあります。
国連アジア極東犯罪防止研修所(以下「アジ研」という)では、世界中の国際機関等との協力関係の強化を目的とした協力覚書等を締結し、よりよい研修を実施することで刑事司法の更なる発展に貢献するとともに、様々な国際協力活動に関与することを目指しています。
これまでにアジ研が署名した協力覚書等
アジ研はこれまで種々の国際機関と協力覚書等を締結しています。平成26年に中国の北京師範大学刑事法律科学研究院(CCLS)と、平成27年に韓国刑事政策研究院(KIC)と、平成28年にはタイ法務研究所(TIJ)と、それぞれ了解覚書(MOU)を締結しました。これらの三機関は、アジ研と同じく、いずれもアジア地域に存在する国連プログラム・ネットワーク機関(PNI)であり、国連関連機関同士の連携を強化するために締結したものです。
また、平成29年には、南米地域との連携も視野に入れて、ブラジル連邦検察庁高等学校(ESMPU)とも協力声明(SOC)を締結しています。

TIJとの了解覚書締結
令和4年には、欧州保護観察連合(CEP)との連携協定を締結しました。CEPは、保護観察、社会奉仕活動、調停などの社会内処遇の発展を通じて、犯罪者の社会的包摂を促進することを目的とし、研修やイベントの開催、出版、情報発信などの活動を通じ、多機関間の知見共有を図り、さらには欧州における開発途上国の社会内処遇制度構築支援に貢献してきた機関です。アジ研の活動との共通点も多く、再犯防止分野に力を入れているアジ研としては、この協定の締結により、両機関の相互連携・協力が促進され、研修・研究活動を更に充実させることができるようになりました。

CEPとの連携協定締結
同年10月には、国際刑事裁判所(ICC)と協力覚書を締結しました。ICCは、国際社会において最も重大な犯罪(集団殺害犯罪、人道に対する犯罪、戦争犯罪及び侵略犯罪)を犯した個人を、国際法に基づいて訴追・処罰するための、歴史上初の常設の国際刑事裁判機関です。ICCのこれまでの知見は、UNAFEI研修員参加国の刑事司法制度の改善にも資するものです。覚書の中には、アジ研とICCの相互の活動への参加、出版物や情報の交換、相互の職員に対する研修の協力等、今後の協力関係を強化する内容が盛り込まれています。

ICCとの協力覚書締結
令和5年5月には、国際司法・法の支配に関する研修施設(IIJ)と協力覚書を締結しました。IIJとは、テロリズム及び暴力的過激主義を含む国際的な脅威や課題に対処するため、主に中東アフリカ地域の刑事司法実務家の能力向上のための研修を行っている団体です。覚書には、テロ防止分野における刑事司法制度及び実務に関する専門性、ベストプラクティス、経験等の情報共有の促進、共同研究活動の機会の探求など、相互の友好と理解を発展させながら連携協力を強化するという内容が盛り込まれています。IIJとは、主にアジア地域のテロ防止分野で協力していく予定です。