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法制度整備支援の現場から
カンボジア長期派遣専門家 後藤 圭介
カンボジアに赴任してから約1か月が経ちました。現在のJICAプロジェクトは、2022年11月から5年間で、カンボジアの裁判官・検察官等を養成する教育機関の教官や将来教官となる若手裁判官らと共に、教材の作成等の活動を通じて、教官等の能力向上や上記教育機関の質の向上を目的とするもので、プロジェクトの折り返し地点に差し掛かっています。
先日、裁判官を目指す学生による模擬裁判を傍聴しました。模擬裁判は、これまでにも実施されていたとのことですが、当オフィスのベテランスタッフですら初めて傍聴したとのことで、非常に貴重な機会となりました。
この模擬裁判は、貸金返還請求事件を題材にした模擬記録を使い、4日間にわたって、学生が裁判官や各代理人に分かれて、一連の民事手続を実演するもので、使用された模擬記録は、2007年にJICAの支援で作成されたものでした。
この模擬記録は、これまでにも何度か形式面を改訂したようですが、今年の模擬裁判の前に、初めて内容面の改訂を行ったとのことでした。この改訂は、学生に新たな問題点を提示し、それを踏まえてどのような訴訟手続をすべきかを検討させる内容となっており、一つの模擬記録で様々なことが学べる学習効果の高い改訂でしたが、この改訂が普段から私たちと共に活動をしている裁判官の提案だったことを知り、これまでの人材育成の支援の成果の現れであると感じました。
このような人材育成に関するエピソードは他にもあり、日本による長年の支援が意味のあるものであったと感じています。今後も、何がカンボジアの人材育成に資するかを日々考えながら活動していきたいと思っています。