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私たちのプログラムを作りたい~東ティモール刑務所職員の夢~

アジ研と東ティモール

国連アジア極東犯罪防止研修所(アジ研)は、2018年からすでに東ティモールで法制度整備支援をしていたICD(国際協力部)に合流する形で、同国と関わり始めました。2019年からは、UNODC(国連薬物・犯罪事務所)と協力して東ティモールへの刑務所改革支援を行っています。現地の刑務所職員を日本に招いたり、オンラインでのミーティングや現地訪問を重ねてきました。

その交流の中で、ブロック製造や農業等の職業訓練が始まったり、受刑者の状況などを把握するために使うデータ表が改善されたりと、東ティモールの刑務所の中に様々な変化が生まれています。そして2023年、次に何のプロジェクトを進めていくか話し合うことになりました。

ブロック製造工場

ブロック製造工場

農園

農園

プログラムがない…

「日本の刑務所のように、受刑者の更生に役立つプログラムを持つこと、私たち自身でプログラムを指導できるようになることが夢」と口々に語られました。東ティモールの刑務所では外部のNPOがいくつかのプログラムを実施してはいるものの、予算や先方の都合で継続的なプログラム実施が難しいからです。また、受刑者たちは何もせずにぶらぶらするだけで一日を終えていて、刑務所職員は「受刑者のために何か更生に役立つことができているのか?」とむなしくなるという話も出ました。

そこで、性犯罪や殺人を犯した受刑者が多いため、両者に共通の「暴力」というテーマでプログラムを作っていくことになりました。

プログラムを作っていく

プログラムを一緒に作っていくことになった10人で、その目的、方法、内容などを何度も話し合って決めていきました。その最中、日本の刑務所で「暴力防止指導」を担当している方々から日本のプログラムについて解説していただく機会にも恵まれました。

2025年8月、ついに全12回で終わる東ティモール版暴力防止プログラムができました。もう二度と暴力という不適切な表現行動をしない未来を歩んでいくために、暴力に訴え掛ける自分についての理解を深め、暴力をストップする方法を練習するプログラムです。完成したプログラムのワークブックを手にした一人は、思わず涙ぐんでいました。

プログラムが終了!

ここから、怒涛の勢いでプログラムの実施が進んでいきました。プログラムの参加者を若年受刑者の中から5名選び、開始日を決め…。開始前は様々な不安を抱えていたプログラム開発メンバーも徐々に自信を付け、「プログラム参加者たちはどんどん話すのが上手になって、プログラムへの理解も深まった。唯一の問題は、盛り上がりすぎてプログラムの時間が足りなかったこと」という順調さでした。

2025年12月12日、最初の「暴力防止プログラム」を終えた若年受刑者5名は、日本大使館やJICAからいらした来賓のもと、修了証を受け取りました。その姿を見つめるプログラム開発メンバーは、早くも次の段階を見据え、東ティモールのすべての刑務所で「暴力防止プログラム」の本格実施という自分たちの夢に向かって、また一歩進もうとしています。

暴力防止プログラム

暴力防止プログラム

プログラム開発メンバー(修了式で来賓と)

プログラム開発メンバー(修了式で来賓と)