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法制度整備支援の現場から
法務省法務総合研究所国際協力部教官 奥 大樹
1 スリランカに対する支援について
法務総合研究所国際協力部(ICD)は、2019年頃からスリランカに対する支援を行っています。スリランカでは、2009年頃まで続いた内戦を背景に大量の刑事事件の未済が滞留しており、刑事事件の迅速化等のため、当部はこれまで、刑事司法実務の向上のため、本邦研修や現地セミナーを実施してきました。
一方で、スリランカでは汚職が深刻な問題となっており、それが公正で競争的なビジネス環境を阻害しており、海外からの投資を妨げる要因にもなっています。
スリランカは現在、国際通貨基金(IMF)からの融資を受けながら経済復興に取り組んでいますが、IMFからも、汚職が蔓延している環境を改善すべきとの指摘を受けています。
そこで、独立行政法人国際協力機構(JICA)は、2024年8月から「公正で競争的なビジネス環境整備」というテーマでスリランカに対する国別研修を開始しました。
同国別研修は、汚職対策と競争環境整備を柱としており、このうち汚職対策について、当部が協力しています(競争環境整備は公正取引委員会が担当)。
2 ICDの活動
前記汚職対策では、スリランカの汚職対策機関である贈収賄・汚職疑惑調査委員会(CIABOC)と協力して支援を実施しています。
当部は、本年8月、CIABOCの捜査官や法務官を日本に招いて行う本邦研修を実施することを予定しており、同研修実施に向けた準備を進めています(執筆時点)。
小職は、同研修を実施するにあたり、CIABOC側のニーズを調査するため、2026年5月、スリランカに出張してCIABOCの職員等と協議を行いました。この中で、CIABOCの職員からは、汚職に関する金の追跡についての捜査手法、内部通報者の保護、日本のFIU(金融情報機関)の取組み、マネー・ローンダリング対策などについて知見を提供してほしいとの要望がありました。
こうした調査結果やCIABOC側とのメール等でのやり取りを経て、研修実施に向け、現在、大学教授や捜査機関での勤務経験のある汚職対策の専門家と調整し、研修の準備を進めています。
研修においては、日本の専門家だけでなく、国際機関や海外の汚職対策機関の専門家の講義等も予定しており、海外の先進的な知見も研修に組み込むことで、より充実した研修にしたいと考えています。
当部による支援がCIABOCの捜査・訴追能力の向上、ひいては、スリランカのビジネス環境の向上につながり、スリランカの経済復興の一助となればよいと思います。
CIABOCとの協議の様子
