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商業・法人登記業務の実態等に関するアンケート調査の結果について

平成19年3月
法務省民事局

1  アンケート調査の実施について

 規制改革・民間開放推進3か年計画(再改定)(平成18年3月31日閣議決定)において,商業・法人登記を行政書士へ開放することが,利便性の向上など国民にとって有益な制度改革となるかどうかの検討を行うに当たり,法務省が,関係府省と連携して,商業・法人登記業務の実態や国民のニーズについて調査することとされた。これを受け,法務省民事局では,総務省の協力を得て,平成18年11月から同年12月にかけて,商業・法人登記申請人本人,行政書士,司法書士及び定款認証嘱託人に対してアンケートを実施し,別添のとおり,「商業・法人登記事務の実態等に関するアンケート調査の結果について」【PDF】(以下「アンケート調査の結果」という。)を取りまとめた。なお,集計については,外部の専門業者に委託して行った。

2  アンケート調査の結果の分析について

(1 )商業・法人登記業務に対する国民のニーズ

  ア  司法書士及び行政書士の業務
 司法書士は,他人の依頼を受けて,商業・法人登記に関する手続について代理すること及びその相談に応ずることを業としている(司法書士法3条1項1号及び5号)。これに対し,行政書士は,これらの業務を業とすることはできないが(司法書士法73条1項),商業・法人登記に関連する業務ともいうべき会社等の定款や株主総会・取締役会の議事録の作成等を行うことができる。
 これらの業務に関する国民のニーズを調査するため,商業・法人登記申請人本人(注1)に対して商業・法人登記の申請手続の代理を過去に司法書士に依頼した経験の有無及びその際の満足度並びに会社等の定款や株主総会・取締役会の議事録の作成等を過去に行政書士に依頼した経験の有無及びその際の満足度について,アンケート調査を行った。
  イ  司法書士の商業・法人登記業務に対する満足度
 今回調査対象とした登記申請人本人のうち,商業・法人登記の申請手続の代理を過去に司法書士に依頼した経験があると回答した方は,全回答者(1,580人)のうちの約半数(759人)だったが,過去に依頼した司法書士の業務に対する満足度については,「大変満足」又は「ほぼ満足」と回答した方の合計が72.5%となっている。
 なお,今回登記申請を司法書士に依頼しない理由(複数回答可)については,費用がかかること(59.2%)及び内容が簡単そうだったこと(38.1%)の二つが多数を占めた。
  ウ  行政書士の会社等の定款及び各種議事録の作成等の業務に対する満足度
 今回調査対象とした登記申請人本人のうち,会社等の定款及び各種議事録の作成等について行政書士に依頼したことがあると回答した方は,全回答者(1,580人)のうち,約3割(485人)だったが,当該行政書士の仕事内容等に対する満足度については,「大変満足」又は「ほぼ満足」と回答した方の合計が77.5%となっている。
   (注1 )今回調査対象とした登記申請人本人は,登記の申請を自ら行うこととして商業・法人登記の相談又は申請のために登記所に来庁した方で,今回の調査時に司法書士への申請手続の依頼をせず,又は依頼する予定のない方であり,「継続して司法書士に依頼している方」を含む商業・法人登記の申請人一般ではない点に留意する必要がある。
   (注2 )司法書士の仕事内容等について,「あまり満足できなかった」とする者の割合は20.3%(154人)に過ぎなかったが,その理由としては,「費用が高い」46件,「仕事に不満・不手際があった」24件,「時間がかかる」17件,「説明不足・分かりにくい」13件といったものが挙げられていた。一方,行政書士の仕事内容等について,「あまり満足できなかった」とする者の割合は18.1%(88人)に過ぎなかったが,その理由としては,「仕事に不満・不手際があった」19件,「費用が高い」16件,「対応が悪かった」16件,「知識不足」8件といったものが挙げられていた。

(2 )行政書士の商業・法人登記に関連する業務への関与

  ア  行政書士の関与
 商業・法人登記に関連する業務ともいうべき会社等の定款や各種議事録の作成に行政書士がどの程度関与しているかを把握するため,行政書士に対してアンケート調査を行った。
 行政書士が,商業・法人登記に関連する業務にどの程度関わっているかという点については,回答した行政書士(1,152人)の66.1%が「経験がある」と回答し,32.2%が「経験がない」と回答した。上記業務に係る経験があると回答した者(761人)の1年間当たりの平均件数については,「10件未満」とするものが47.2%(359人),「10件以上50件未満」とするものが39.9%(304人)となっている。
  イ  司法書士・行政書士の業務分担
 次に,登記申請を担う司法書士との業務分担の程度について,行政書士(商業・法人登記に関連する業務の経験があると回答した者)及び司法書士の両者に尋ねたところ,行政書士の60.8%(463人)が「司法書士との業務分担・連携の経験がある」と回答し,司法書士の85.8%(1,184人)は「行政書士との業務分担・連携の経験がない」と回答している。
  ウ  定款認証への関与
 また,会社等の設立に必要とされる定款の認証嘱託等への関与について調査を行うために,同手続のために公証役場を訪れた者(1,740人)にアンケートを依頼したところ,920人から回答があった。このうち,嘱託資格が発起人である者(153人)中26人が行政書士に相談し,嘱託資格が代理人である者(762人)中行政書士の資格を有する者は172人であり,これらを合わせると,198人(21.5%)につき行政書士の関与が認められる。これに対し,嘱託資格が発起人である者(153人)中15人が司法書士に相談し,嘱託資格が代理人である者(762人)中司法書士の資格を有する者は486人であり,これらを合わせると501人(54.5%)となる。
 そのほか,有資格者の関与の状況は,税理士72人(7.8%),公認会計士15人(1.6%)となっている。

3  まとめ

 司法書士が商業・法人登記制度において果たす役割,行政書士の業務の実態や専門能力については,本調査のみでその全体像を把握することは困難であるが,本調査の結果からは,次の事情が窺える。
 (1)  今回司法書士に依頼しなかった登記申請人本人に対する調査においては,過去に司法書士に依頼した経験があると回答した方のうち,その際の司法書士の業務について,「大変満足」又は「ほぼ満足」と回答した方の合計が72.5%を占めていることから,司法書士が商業・法人登記業務において,専門資格者として概ね適切に機能しているといえること。
 (2)  他方で,行政書士に対する調査の回答者のうち,66.1%の行政書士が過去に商業・法人登記に関連する業務の「経験がある」と回答しており(その47.2%が1年当たりの平均件数「10件未満」,39.9%が「10件以上50件未満」),行政書士が商業・法人登記に関連する業務に一定の関与をしていること。
 また,登記申請人本人に対する調査においては,会社等の定款や株主総会・取締役会の議事録の作成等について行政書士に依頼した経験があると回答した方のうち,その際の行政書士の仕事内容等について,「大変満足」又は「ほぼ満足」と回答した方の合計が77.5%を占めていることから,行政書士の商業・法人登記に関連する業務に対しても,国民が一定程度満足しているといえること。

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