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法制度整備支援の現場から
~オンラインミーティングを始めましょう~

全世界で猛威を振るうコロナウイルスには,どこの国も悩まされていると思います。

私がJICAの長期派遣専門家として赴任しているラオスでも,2021年4月中旬のラオス新年時に人々の移動が活発になったことに伴い,ついに首都ビエンチャンでも市中感染が発生・拡大してしまいました(4月上旬までは,政府の水際対策などにより,感染者数は合計50名程度にとどまっていました)。

そうすると,ラオス政府はすぐさまロックダウンを宣言し,飲食店に対する営業制限,学校の閉鎖,職場への通勤制限,他の県や地域への移動禁止などの措置を採りました。もちろん人の集まる集会や会議も禁止です。ラオスでは医療体制があまりよくないこともあり,感染拡大を防止するため,すぐに経済よりも人身優先の強い政策が執られたのでした。4月下旬に始まったこのロックダウンは,その後延長が繰り返され,措置がだいぶ緩和されたものの,現在(8月2日時点)でも継続されています。

このロックダウンは,私たちのような外国からの支援機関の活動にも当然影響を及ぼしています。私たちが行っている法律支援プロジェクトでは,いろいろな課題について,現地の人たちと議論しなければ活動を進めることはできません。しかし,ロックダウンが続く中では,皆で1か所に集まってのミーティングはできませんし,集中的な議論のために合宿をしたり,県外に出て各地域の人たちを交えて活動することもできません。

そこで,私たちのプロジェクトでは,ラオス人メンバーたちとのオンラインによる活動を推進するため,活動を一緒に行っている機関や個人に対するオンライン機材や技術の直接的なサポートを行っていくことにしました。

私たちが一緒に活動をしているのは,司法省,裁判所,検察院,国立大学など,いずれも国の重要機関です。しかし,それぞれの機関でオンラインミーティングに対応できる部屋や機材の数は限られていますし,機材の設置や管理ができる人材もまだ少ない状況です。

そのため各機関の協力を得て,プロジェクトからモニター,マイク,パソコンなどのオンライン機材一式を提供するとともに,設置方法などに関するサポートを実施しました。また,個人レベルでも,オンラインアプリに慣れない人に使用方法をレクチャーしたり,インターネット料金のサポートを行うなど,地道な支援活動を続けています。

このようにして,支援の前提となる環境を整え,相手国メンバーたちのモチベーションを維持していくことも,法整備支援の現場では必要となります。

ラオス長期専門家
前田 佳行

画像:整備前の会議室(6/28)

整備前の会議室(6/28)

画像:整備後の会議室(7/12)

整備後の会議室(7/12)

【国立大学でのオンライン会議室の整備状況(左右の写真は同じ部屋)】


画像:最高裁判所(PSC)に対する機材提供

最高裁判所(PSC)に対する機材提供