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法制度整備支援の現場から

職 名:ベトナム長期派遣専門家
氏 名:河野 龍三
採用年:平成22年12月
所 属:ベトナム司法省等

昨年11月のベトナム首相の来日、今年4月末の岸田首相の訪越に加え、6月には古川法務大臣(当時)も訪越し、日越間の首脳・閣僚級の往来は頻繁です。令和5年は外交関係樹立50周年を迎えるなど、両国は今、極めて重要なパートナーシップ関係にあります。

ベトナムは我が国の法制度整備支援の初の対象国であり、これまで25年以上、JICAプロジェクトの枠組による支援が続いています。もともとは、森嶌昭夫名古屋大学名誉教授が民法起草に助言したことが支援の始まりですが、その森嶌教授も今年7月、法務省法務総合研究所国際協力部の内藤晋太郎部長らとともにJICA調査団の一員として訪越し、司法大臣、最高人民検察院長官等、各カウンターパート(CP)の指導部と面談を行いました。

これまでの支援により、民法、民事訴訟法、刑事訴訟法等の基本法令は概ね整備され、現在の活動は、それら法令間の不整合の是正、法令を執行する人材の育成にシフトしています。昨年1月に開始した「法整備・執行の質及び効率性向上プロジェクト」においては、司法省、共産党中央内政委員会、首相府、最高人民裁判所、最高人民検察院、ベトナム弁護士連合会を対象に、グローバル社会におけるベトナムの競争力の強化を目指しています。また、6つのCPが最優先課題を自ら選定し、それらの解決策を研究・提案するためのワーキンググループ(WG)を設置し、日本側専門家は、ベトナム側が主体的に議論を行うことを支援するという手法を採用していることも特徴の1つです。

例えば、司法省は、法令の整合性及び法執行の効率性の向上を、最高人民検察院は、人民検察院の組織改革及び検察官の能力向上をテーマとしたWGをそれぞれ設置し、メンバーによる共同討議を実施しています。これらの活動には、森嶌教授をはじめとした前記調査団の皆さまにもご参加いただきました。

ベトナムの法制度がより良いものとなり、国際的な信頼をますます得て、我が国の重要なパートナーとして発展するため、現地で頑張りますので、日本の皆さまからもご理解ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

画像:全CPの出席する全体会合の様子(令和4年4月)

全CPの出席する全体会合の様子(令和4年4月)

画像:JICA調査団の参加したWG活動の様子(令和4年7月)

JICA調査団の参加したWG活動の様子(令和4年7月)