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法整備支援の現場から

カンボジア長期専門家 伊藤みずき

~カンボジアの魅力~

カンボジアの魅力といえば、多くの方が、アンコールワット遺跡を思い浮かべると思います。確かにアンコールワット遺跡も素晴らしいのですが、私がカンボジアでの生活の中で、何よりも魅力的だと思うのは、「人」です。カンボジアの方々は、にこやかでフレンドリーで親切な、とても温かい国民性だと感じます。日本に対して良い印象を持ってくれている方が多く、タクシーのドライバーさんなどから、「日本はカンボジアをずっと支援してくれている、カンボジア人は皆感謝していて日本が好きだ」と言われることもあり、国際協力の一端を担う者として、胸が熱くなります。

~プロジェクト紹介~

日本は、カンボジアに対して、これまで20年以上にわたって法整備支援を実施し、民法・民事訴訟法をはじめとする法令の起草や、司法人材の育成を支援しています。現地に派遣された私たちJICA長期専門家は、カンボジア司法省内の一室にオフィスを構え、執務しています。

令和4年10月31日、5年間にわたって実施された法整備支援プロジェクトが終了しました。このプロジェクトでは、不動産登記に関する法令などの起草支援、答弁書や判決書などの書式例の作成・公開、実際の判決書の公開に向けた協力を行いました。その中でも、実際の判決書の公開については、プロジェクト期間中に、100件以上の判決書が司法省のウェブサイトで公開され、多数の判決書がダウンロードされており、反響の大きさを感じました。将来、カンボジアで広く判決が公開され、司法への信頼が向上し、判例の研究も進むきっかけになることを期待しています。

同年11月1日からは、新しい法整備支援プロジェクトが開始されました。裁判官をはじめとする法律実務家たちが、法律を正確に理解して適切に運用するためには、裁判官等の教育が重要です。新しいプロジェクトでは、裁判官等の養成学校で教鞭をとる教官たちの育成に重点を置き、その養成機関の教育を改善するための協力を行います。

一人ひとりが安心して幸せに暮らしていくために、司法は重要な基盤になります。カンボジアの人々の幸せを思いながら、司法の改善に向けて日々奮闘を続けていきたいと思います。

カンボジア司法省

【カンボジア司法省】

新プロジェクトに関する調印式の様子

【新プロジェクトに関する調印式の様子】