保護局(ほごきょく)は,犯罪(はんざい)や非行(ひこう)をした人(ひと)の立(た)ち直(なお)りを支援(しえん)しています。保護司(ほごし)を始(はじめ)めとしたたくさんの民間(みんかん)ボランティアと協力(きょうりょく)して,犯罪(はんざい)や非行(ひこう)をした人(ひと)の生活(せいかつ)の指導(しどう)や援助(えんじょ)をしたりする保護観察(ほごかんさつ)という仕事(しごと)のほか,その再出発(さいしゅっぱつ)を見守(みまも)り,支(ささ)える社会(しゃかい)を実現(じつげん)するため,"社会(しゃかい)を明(あか)るくする運動(うんどう)"などの犯罪予防活動(はんざいよぼうかつどう)などに関(かん)する仕事(しごと)をしています。
「更生保護(こうせいほご)」とは,全(すべ)ての人(ひと)が安心(あんしん)して暮(く)らせる社会(しゃかい)を作(つく)るために,犯罪(はんざい)や非行(ひこう)をした人(ひと)が再(ふたた)び罪(つみ)を犯(おかさ)さないように指導(しどう)したり,その立(た)ち直(なお)りを助(たす)けたりすることです。
犯罪(はんざい)や非行(ひこう)をした人(ひと)がまた同(おな)じ過(あやま)ちを繰(く)り返(かえ)さないように,決(き)まりごとを守(まも)って社会(しゃかい)の中(なか)で生活(せいかつ)していくことを指導(しどう)しながら,その人(ひと)が立(た)ち直(なお)ることができるように,いろいろな手助(てだす)け(仕事(しごと)や住(す)むところを探(さが)したり,悩(なや)みの相談(そうだん)にのるなど)をすることです。 保護観察(ほごかんさつ)の仕事(しごと)は,保護観察所(ほごかんさつしょ)で働(はたら)く保護観察官(ほごかんさつかん)と地域(ちいき)のボランティアである保護司(ほごし)が,保護観察(ほごかんさつ)を受(う)ける人(ひと)の立(た)ち直(なお)ろうとする気持(きも)ちや信頼関係(しんらいかんけい)を大切(たいせつ)にしながら,協力(きょうりょく)して行(おこな)っています。 また,保護観察官(ほごかんさつかん)と保護司(ほごし)は,刑務所(けいむしょ)や少年院(しょうねんいん)に入(はい)っている人(ひと)が,そこから出(で)た後(あと)に住(す)む所(ところ)や仕事先(しごとさき)などを調(しら)べたり探(さが)したりして,立(た)ち直(なお)りにふさわしい環境(かんきょう)を準備(じゅんび)する「生活環境(せいかつかんきょう)の調整(ちょうせい)」も行(おこな)っています。
保護司(ほごし)は,犯罪(はんざい)や非行(ひこう)をした人(ひと)たちの立(た)ち直(なお)りを地域(ちいき)で支(ささ)えるボランティアで,全国(ぜんこく)に約(やく)4万(まん)6,000人(にん)います。保護司(ほごし)は,地域(ちいき)のことをよく知(し)っているので,専門家(せんもんか)である保護観察官(ほごかんさつかん)と協力(きょうりょく)し,犯罪(はんざい)や非行(ひこう)をした人(ひと)たちの相談(そうだん)に乗(の)り生活(せいかつ)のサポートをしています。また,地域住民(ちいきじゅうみん)の方(かた)に更生保護(こうせいほご)の大切(たいせつ)さを理解(りかい)してもらうための活動(かつどう)などを行(おこな)っています。
犯罪(はんざい)や非行(ひこう)をした人(ひと)たちの立(た)ち直(なお)りを支(ささ)える主(おも)なボランティア団体(だんたい)としては,更生保護女性会(こうせいほごじょせいかい)とBBS会(びーびーえすかい)があります。更生保護女性会(こうせいほごじょせいかい)は,女性(じょせい)のもつあたたかさや細(こま)やかさを生(い)かして,犯罪(はんざい)や非行(ひこう)をした人(ひと)たちの立(た)ち直(なお)りを支(ささ)えるボランティア団体(だんたい)です。また,BBS会(びーびーえすかい)は,非行(ひこう)など様々(さまざま)な問題(もんだい)を抱(かか)える少年(しょうねん)たちと,「兄(あに)」や「姉(あね)」のような立場(たちば)で接(せっ)し,いっしょに悩(なや)み,いっしょに学(まな)び,いっしょに楽(たの)しむことを通(とお)して,少年(しょうねん)の立(た)ち直(なお)りや自立(じりつ)を支援(しえん)する青年(せいねん)ボランティア団体(だんたい)です。 これらの団体(だんたい)は,保護司(ほごし)といっしょになって更生保護(こうせいほご)に関(かん)する活動(かつどう)に取(と)り組(く)んでいます。
刑務所(けいむしょ)や少年院(しょうねんいん)を出(で)ても住(す)む場所(ばしょ)や仕事(しごと)がなく,社会(しゃかい)の中(なか)で立(た)ち直(なお)るのが難(むずか)しい人(ひと)もいます。 このような住(す)む場所(ばしょ)がない人(ひと)たちのために「更生保護施設(こうせいほごしせつ)」などの施設(しせつ)があります。施設(しせつ)で生活(せいかつ)する人(ひと)の多(おお)くは,仕事(しごと)を探(さが)し,やがて自分(じぶん)でアパートを借(か)りるなどして自立(じりつ)していきます。 また,仕事(しごと)がない人(ひと)たちの就職(しゅうしょく)を支援(しえん)するために「協力雇用主(きょうりょくこようぬし)」の制度(せいど)などがあります。仕事(しごと)がない人(ひと)は,仕事(しごと)をしている人(ひと)に比(くら)べて再(ふたた)び犯罪(はんざい)や非行(ひこう)をする割合(わりあい)が高(たか)いことが分(わ)かっているので,法務省(ほうむしょう)としても厚生労働省(こうせいろうどうしょう)と協力(きょうりょく)して,刑務所(けいむしょ)や少年院(しょうねんいん)を出(で)た人(ひと)の就職支援(しゅうしょくしえん)に力(ちから)を入(い)れています。
更生保護施設(こうせいほごしせつ)は,刑務所(けいむしょ)や少年院(しょうねんいん)を出(で)た人(ひと)などが,一時的(いちじてき)に生活(せいかつ)することのできる施設(しせつ)です。更生保護施設(こうせいほごしせつ)では,宿泊場所(しゅくはくばしょ)や食事(しょくじ)を提供(ていきょう)することに加(くわ)え,就職(しゅうしょく)のアドバイスや自立(じりつ)するための指導(しどう)を行(おこな)います。更生保護施設(こうせいほごしせつ)は全国(ぜんこく)に103か所(しょ)あり,全(すべ)て民間(みんかん)の施設(しせつ)です。 また,協力雇用主(きょうりょくこようぬし)は,過去(かこ)に犯罪(はんざい)や非行(ひこう)をした人(ひと)の自立(じりつ)と社会復帰(しゃかいふっき)に協力(きょうりょく)することを目的(もくてき)として雇用(こよう)する民間(みんかん)の事業主(じぎょうぬし)で,全国(ぜんこく)で約(やく)2万(まん)5,000社(しゃ)あります。 更生保護施設(こうせいほごしせつ)や協力雇用主(きょうりょくこようぬし)の制度(せいど)は,刑務所(けいむしょ)や少年院(しょうねんいん)を出(で)ても住(す)む場所(ばしょ)や仕事(しごと)がない人(ひと)にとって,自立(じりつ)した生活(せいかつ)を送(おく)るための重要(じゅうよう)な役割(やくわり)を担(にな)っています。
犯罪(はんざい)や非行(ひこう)のない社会(しゃかい)を実現(じつげん)するため,犯罪(はんざい)や非行(ひこう)をした人(ひと)たちの立(た)ち直(なお)りについて地域住民(ちいきじゅうみん)の理解(りかい)や関心(かんしん)を深(ふか)めたり,彼(かれ)らが再(ふたた)び犯罪(はんざい)や非行(ひこう)をしないような環境作(かんきょうづく)りをしたりする活動(かつどう)です。例(たと)えば,犯罪(はんざい)や非行(ひこう)について考(かんが)える住民集会(じゅうみんしゅうかい)や声掛(こえか)け活動(かつどう),小学生(しょうがくせい)・中学生(ちゅうがくせい)の皆(みな)さんへの非行防止教室(ひこうぼうしきょうしつ)などを通(つう)じて,地域(ちいき)の人々(ひとびと)に犯罪(はんざい)や非行(ひこう)のない社会作(しゃかいづく)りを呼(よ)びかけるとともに,犯罪(はんざい)や非行(ひこう)をした人(ひと)たちの立(た)ち直(なお)りに協力(きょうりょく)してもらえるよう呼(よ)びかけています。 法務省(ほうむしょう)が中心(ちゅうしん)となって呼(よ)びかけている"社会(しゃかい)を明(あか)るくする運動(うんどう)"も,こうした犯罪予防活動(はんざいよぼうかつどう)の一(ひと)つです。
すべての国民(こくみん)が,犯罪(はんざい)や非行(ひこう)の防止(ぼうし)と罪(つみ)を犯(おか)した人(ひと)たちの立(た)ち直(なお)りについて理解(りかい)を深(ふか)め,それぞれの立場(たちば)において力(ちから)を合(あ)わせ,犯罪(はんざい)や非行(ひこう)のない安全(あんぜん)で安心(あんしん)な明(あか)るい地域社会(ちいきしゃかい)を作(つく)っていこうとする全国的(ぜんこくてき)な運動(うんどう)です。 "社会(しゃかい)を明(あか)るくする運動(うんどう)"は,「更生保護(こうせいほご)の日(ひ)」である7月(がつ)1日(にち)からの1か月(げつ)を強調月間(きょうちょうげっかん)として,あなたの町(まち)でも,スポーツ大会(たいかい)や小(しょう)・中学生(ちゅうがくせい)の皆(みな)さんを対象(たいしょう)とした作文(さくぶん)コンテストなど,だれでも参加(さんか)できるさまざまなイベントを行(おこな)っています。
第二次世界大戦後(だいにじせかいたいせんご),貧(まず)しさなどから非行(ひこう)に走(はし)る子(こ)どもたちに心(こころ)を痛(いた)めた東京(とうきょう)・銀座商店街(ぎんざしょうてんがい)の人々(ひとびと)が,子(こ)どもたちを救(すく)おうとの思(おも)いから行(おこな)ったキャンペーン「銀座(ぎんざ)フェアー」がきっかけとなって,昭和(しょうわ)26年(ねん)(1951年(ねん))から法務省(ほうむしょう)の呼(よ)びかけで始(はじ)まりました。