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相続登記の申請義務化に関するQ&A

令和6年3月28日
よくあるご質問に対する回答を掲載しています。随時内容を更新していきます。
 

Q&A(令和5年10月31日現在)

 

 

1 制度全般について

 
(Q1)
 相続登記の義務化とは、どのような内容ですか?
(A1)
 相続人は、不動産(土地・建物)を相続で取得したことを知った日から3年以内に、相続登記をすることが法律上の義務になります。
 正当な理由がないのに相続登記をしない場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。
 遺産分割(相続人間の話合い)で不動産を取得した場合も、別途、遺産分割から3年以内に、遺産分割の内容に応じた登記をする必要があります。
(Q2)
 相続登記が義務化されるのはなぜですか?
(A2)
 所有者が亡くなったのに相続登記がされないことによって、登記簿を見ても所有者が分からない「所有者不明土地」が全国で増加し、周辺の環境悪化や民間取引・公共事業の阻害が生ずるなど、社会問題となっています。
 この問題を解決するため、令和3年に法律が改正され、これまで任意だった相続登記が義務化されることになりました。
(Q3)
 相続登記の義務化が始まるのは、いつからですか?
(A3)
 相続登記の義務化は、令和6年4月1日から始まります。
 ただし、令和6年4月1日より前に相続した不動産も、相続登記がされていないものは、義務化の対象になります。 
(Q4)
 いつまでに相続登記をすればいいですか?
(A4)
 不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に相続登記をしていただく必要があります。
 また、令和6年4月1日より前に相続した不動産で、相続登記がされていないものについては、令和9年3月31日までに相続登記をしていただく必要があります。
(Q5)
 不動産(土地・建物)を所有していた親が亡くなりました。どう対応すればよいでしょうか?
(A5)
 まずは相続人の間で早めに遺産分割の話合いを行ってください。その結果、不動産を取得した方は、法務局で相続登記をする必要があります。
 早期の遺産分割が難しい場合には、今回新たに作られた「相続人申告登記」の手続を法務局ですることによって、義務を果たすこともできます(詳細はこちら(後記4へリンク))。
 こちらのフローチャートも参考にしてください。
(Q6)
 相続登記について不明な点があれば、どこに相談すればよいのですか?
(A6)
 お近くの法務局(予約制の手続案内を実施中)や、登記の専門家である司法書士・司法書士会等に御相談ください。
<相続登記の手続について、法務局の案内を受けたい方>
https://www.legal-ab.moj.go.jp/houmu.home-t/top/portal_initDisplay.action
※「法務局手続案内予約サービス」ホームページ


<登記の申請先(管轄法務局)を探したい方>
https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/static/kankatsu_index.html
※法務局ホームページ「管轄の御案内」


<司法書士に相談したい方>
https://www.shiho-shoshi.or.jp/inheritance_lp
※日本司法書士会連合会ホームページ


<相続登記の申請手続の詳細を調べたい方>
https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000001_00014.html
※法務局ホームページ「相続登記・遺贈の登記の申請をされる相続人の方へ(登記手続ハンドブック)」


〈建物の登記(表題登記)について土地家屋調査士に相談したい方〉
https://www.chosashi.or.jp
※日本土地家屋調査士会連合会ホームページ
 

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2 義務の対象範囲について
 
(Q1)
 義務の対象となる不動産を教えてください。
(A1)
 相続により取得したことを知った不動産(土地・建物)が義務の対象です。
 遺産分割が成立した場合や、亡くなった方から相続人に対して遺贈をした場合等も対象になります。
(Q2)
 亡くなった親が不動産を所有していたかもしれないのですが、よく分かりません。このような場合でも、相続登記をしなければならない義務があるのでしょうか?
(A2)
 相続登記の義務は、特定の不動産を相続で取得したことを「知った日」からスタートしますので、取得した不動産を具体的に知るまでは、相続登記の義務はありません。
(Q3)
 亡くなった親が所有していた不動産について、遺産分割の結果、私の兄が相続した不動産があります。兄は相続登記をしていないようですが、私にも相続登記の義務があるのでしょうか?
(A3)
 相続登記の義務は、不動産を相続で取得した方が対象ですので、あなたには相続登記の義務はありません。

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3 過料について

 

(Q1)
 過料の対象となるのは、どのような場合ですか?
(A1)
 <令和6年4月1日以降に不動産を相続で取得したことを知った場合>
 不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に、相続登記をしない場合で、相続登記をしないことについて正当な理由がないときには、過料の対象となります。
 加えて、遺産分割によって不動産を取得した場合には、遺産分割の日から3年以内に、その結果に基づく登記をしない場合で、その登記をしないことについて正当な理由がない場合に、過料の適用対象となります。

<令和6年4月1日以前に不動産を相続で取得したことを知った場合>
 令和9年3月31日までに相続登記をしない場合で、相続登記をしないことについて正当な理由がない場合には過料の対象となります。
 加えて、遺産分割によって不動産を取得した場合には、遺産分割の日から3年以内に、その結果に基づく登記をしない場合で、その登記をしないことについて正当な理由がない場合には、過料の適用対象となります。
※詳細については、「民法等の一部を改正する法律の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(相続登記等の申請義務化関係)(通達)(令和5年9月12日付け法務省民二第927号通達)」記第2をご参照下さい。
(Q2)
 過料が科される場合の流れを教えてください。
(A2)
 次の(1)から(3)までのとおりです。
(1) 登記官が、義務違反を把握した場合、義務違反者に登記をするよう催告します(催告書を送付します。)。
(2) 催告書に記載された期限内に登記がされない場合、登記官は、裁判所に対してその申請義務違反を通知します。
 ただし、催告を受けた相続人から説明を受けて、登記申請を行わないことにつき、登記官において「正当な理由」があると認めた場合には、この通知は行いません。
(3) (2)の通知を受けた裁判所において、要件に該当するか否かを判断し、過料を科する旨の裁判が行われます。
(Q3)
 登記官は、どのような場合に申請の催告をするのでしょうか?

(A3)
 登記官は、相続人が不動産の取得を知った日がいつかを把握することは容易ではありませんので、次の(1)又は(2)を端緒として、義務に違反したと認められる者があることを職務上知ったときに限り、申請の催告を行うものとしています。
(1) 相続人がある不動産について遺言の内容に基づく所有権移転登記の申請をしたが、その遺言書には別の不動産も登記申請した相続人に相続させる旨が記載されていたとき
(2) 相続人がある不動産について遺産分割の結果に基づく相続登記の申請をしたが、その遺産分割協議書には別の不動産も登記申請した相続人が相続する旨の記載がされていたとき

(Q4)
 過料の金額はいくらですか?
(A4)
 通知を受けた裁判所において、要件に該当するか否かを判断し、過料を科する旨の裁判が行われます。過料は、10万円以下の範囲内で裁判所において決定されます。
(Q5)
 相続登記を行わないことについて「正当な理由」があれば過料が科せられることはないとのことですが、どのような場合に「正当な理由」があると認められるのですか?
(A5)
 相続登記の義務の履行期間内において、次の(1)から(5)までのような事情が認められる場合には、それをもって一般に「正当な理由」があると認められます。
 もっとも、これらに該当しない場合においても、個別の事案における具体的な事情に応じ、登記をしないことについて理由があり、その理由に正当性が認められる場合には、「正当な理由」があると認められます。
(1) 相続登記の義務に係る相続について、相続人が極めて多数に上り、かつ、戸籍関係書類等の収集や他の相続人の把握等に多くの時間を要する場合
(2) 相続登記の義務に係る相続について、遺言の有効性や遺産の範囲等が相続人等の間で争われているために相続不動産の帰属主体が明らかにならない場合
(3) 相続登記の義務を負う者自身に重病その他これに準ずる事情がある場合
(4) 相続登記の義務を負う者が配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(平成13年法律第31号)第1条第2項に規定する被害者その他これに準ずる者であり、その生命・心身に危害が及ぶおそれがある状態にあって避難を余儀なくされている場合
(5) 相続登記の義務を負う者が経済的に困窮しているために、登記の申請を行うために要する費用を負担する能力がない場合

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4 相続人申告登記について

 
(Q1)
 相続人申告登記とは何ですか?
(A1)
 相続登記の義務を履行するための簡易な方法として新設された制度であり、令和6年4月1日からスタートします。
 なお、遺産分割がされた後にこれに基づく登記をする義務を相続人申告登記によって履行することはできないことや、不動産についての権利関係を公示するものではなく、効果が限定的であることに留意が必要です。
(Q2)
 どのような場合に相続人申告登記を行うべきなのでしょうか?
(A2)
 相続人申告登記は、相続登記の義務の履行期限が迫っている場合などに、その義務を果たすために利用いただくことが想定されます(こちらのフローチャートも参考にしてください。)。
 相続した不動産を売却したり、抵当権の設定をしたりするような場合には、相続登記をする必要がありますので、できるだけ早めに相続人の間で遺産分割の話合いを行っていただき、その結果に基づく相続登記をしていただきますようお願いします。
(Q3)
 相続人申告登記の方法を教えてください。
(A3)
 法務局(登記官)に対して、対象となる不動産を特定した上で、(1)所有権の登記名義人について相続が開始した旨及び(2)自らがその相続人である旨を申し出ていただくことになります。
 必要な戸籍の証明書(戸除籍謄本等)等を添付して、自らが登記記録上の所有者の相続人であること等を期限内(3年以内)に登記官(不動産を管轄する登記所)に申し出ていただくことになります。
 詳細については、相続人申告登記のページをご確認願います。
(Q4)
 相続人申告登記は、相続人のうちの誰か一人がすればよいのでしょうか?
(A4)
 相続人申告登記は、申出をした相続人についてのみ、相続登記の義務を履行したものとみなされます。
 相続人の全員が義務を履行したとみなされるには、相続人全員がそれぞれ申出をする必要があります。
 なお、複数の相続人が連名で(話し合って)申出書を作成することで、複数人分の申出をまとめてすることもできます。

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