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相続登記の申請義務化について

令和6年3月28日

〇 相続登記の申請義務とは

 相続(遺言を含む。)により不動産の所有権を取得した相続人は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、その不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をすることが義務付けられました(不動産登記法第76条の2第1項)。
 また、正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、10万円以下の過料の適用対象となることとされました(同法第164条第1項)。
 この相続登記の申請義務化の施行日は令和6年4月1日ですが、施行日より前に開始した相続によって不動産を取得した場合であっても、相続登記をしていない場合には、相続登記の申請義務化の対象となり、令和9年3月31日まで(不動産を相続で取得したことを知った日が令和6年4月以降の場合は、その日から3年以内)に相続登記をしていただく必要があります(民法等の一部を改正する法律(令和3年法律第24号)附則第5条第6項)。

相続登記の申請義務化についてのよくある質問はこちら

・ 基本的義務

 前述のとおり、相続(遺言を含む。)により不動産の所有権を取得した相続人は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、その不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をすることが義務付けられました(不動産登記法第76条の2第1項)。

・遺産分割成立時の追加的義務

 前述の基本的義務とは別に、被相続人の財産を分けるための話し合いがまとまった場合(遺産分割が成立した場合)には、遺産分割が成立した日から3年以内にその内容を踏まえた所有権の移転の登記を申請することが義務付けられました(不動産登記法第76条の2第2項、第76条の3第4項等)。
 なお、後述する相続人申告登記で義務を果たすことができるのは、基本的義務のみであり、追加的義務については、相続人申告登記で義務を果たすことができませんので、ご注意ください。

〇 申請義務違反と過料について

 正当な理由がないのに相続登記の申請義務を怠ったときは、10万円以下の過料の適用対象となります(不動産登記法第164条第1項)。
 登記官は、相続登記の申請義務の違反を把握した場合、違反した者に対し、相当の期間を定めて相続登記の申請をすべき旨を催告します。催告したにもかかわらず、正当な理由なくその期間内にその申請をしなかった場合、管轄の地方裁判所にその事件を通知するものとされています(不動産登記規則第187条第1号)。



 以上については、「相続登記の申請義務化に向けたマスタープラン」(概要[PDF:190KB]・本文[PDF:357KB])(令和5年3月22日)を踏まえ、不動産登記規則等の一部を改正する省令(令和5年法務省令第33号)[PDF:643KB]、令和5年9月12日付け法務省民二第927号民事局長通達[PDF:218KB]において具体的規律が定められています。

・ 登記官が申請の催告を行う端緒

 登記官は、次の(1)又は(2)を端緒として、相続登記の申請義務に違反したと認められる者があることを職務上知ったときに限り、申請の催告を行うものとされています。

(1)相続人がある不動産について遺言の内容に基づく所有権移転登記の申請をしたが、その遺言書には別の不動産も登記申請した相続人に相続させる旨が記載されていたとき

(2)相続人がある不動産について遺産分割の結果に基づく相続登記の申請をしたが、その遺産分割協議書には別の不動産も登記申請した相続人が相続する旨の記載がされていたとき

・ 正当な理由

 前述のとおり、登記官が裁判所に過料通知を行うのは、相続登記の申請義務に違反した者に対し、相当の期間を定めて相続登記の申請をすべき旨を催告したにもかかわらず、「正当な理由」なく、その期間内にその申請がされないときに限られます。
 相続登記の申請義務の履行期間内において、以下のような事情が認められる場合には、それをもって一般に「正当な理由」があると認められます。
 もっとも、これらに該当しない場合においても、個別の事案における具体的な事項に応じ、登記の申請をしないことについて理由があり、その理由に正当性が認められる場合には、「正当な理由」があると認められ、過料通知は行われません。

(1)相続登記の義務に係る相続について、相続人が極めて多数に上り、かつ、戸籍関係書類等の収集や他の相続人の把握等に多くの時間を要する場合

(2)相続登記の義務に係る相続について、遺言の有効性や遺産の範囲等が相続人等の間で争われているために相続不動産の帰属主体が明らかにならない場合

(3)相続登記の義務を負う者自身に重病その他これに準ずる事情がある場合

(4)相続登記の義務を負う者が配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(平成13年法律第31号)第1条第2項に規定する被害者その他これに準ずる者であり、その生命・心身に危害が及ぶおそれがある状態にあって避難を余儀なくされている場合

(5)相続登記の義務を負う者が経済的に困窮しているために、登記の申請を行うために要する費用を負担する能力がない場合

〇 相続登記の申請義務化に伴う環境整備策

 相続登記の申請義務化の実効性を確保するため、相続人申告登記という新たな登記が設けられたほか、登録免許税の免税措置や所有不動産記録証明制度(令和8年2月2日施行)を設けるといった措置を講じています。

・ 相続人申告登記

 相続登記の申請義務化に伴い、相続人が申請義務を簡易に履行することができるようにする観点から、相続人申告登記という新たな登記が設けられました(不動産登記法第76条の3)(詳細はこちら「相続人申告登記について」)。

・ 登録免許税の免税措置

 相続登記を促進するため、以下の(1)又は(2)に該当する土地の相続登記についての登録免許税の免税措置が設けられています(免税期間:令和7年3月31日まで)(詳細はこちら(法務局HP(相続登記の登録免許税の免税措置について)へリンク))

(1)相続により土地を取得した者が相続登記をせずに亡くなった場合の相続登記

   


(2)不動産の価額が100万円以下の土地に係る相続登記

・ 所有不動産記録証明制度(令和8年2月2日施行)

 相続登記が必要な不動産を容易に把握することができるよう、登記官において、特定の被相続人が登記簿上の所有者として記録されている不動産を一覧的にリスト化し、証明する制度が新たに設けられました(不動産登記法第119条の2)。

〇 相続登記の申請が義務化された背景

 相続登記がされないこと等により、以下のいずれかの状態となっている土地を「所有者不明土地」といいます。

(1)不動産登記簿により所有者が直ちに判明しない土地
(2)所有者が判明しても、その所在が不明で連絡がつかない土地

 これらの土地については、所有者の探索に多大な時間と費用が必要となり、公共事業や復旧・復興事業が円滑に進まず、民間取引や土地の利活用の阻害原因となったり、土地が管理されず、放置され、隣接する土地への悪影響が発生したりするなど、様々な問題が生じています。
 全国のうち所有者不明土地が占める割合は九州の大きさに匹敵するともいわれており、今後、高齢化の進展による死亡者数の増加等により、ますます深刻化する恐れがあり、その解決は喫緊の課題となっています。
 そこで、所有者不明土地の発生原因の約3分の2を占める相続登記の未了に対応するため、相続登記の申請が義務化されることとなりました。

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