供託Q&A
供託制度及び各種供託の申請について
Q1.供託制度及び供託の種類について
Q2.弁済供託とはどのようなものか
Q3.担保(保証)供託とはどのようなものか
Q4.執行供託とはどのようなものか
Q5.没取供託とはどのようなものか
Q6.保管供託とはどのようなものか
Q7.供託所の意味・場所について
Q8.供託所の管轄について
Q9.供託物の種類について
Q10.小切手を供託物とすることの可否について
Q11.供託の申請方法について
Q12.供託申請に必要な手数料について
Q13.オンラインによる供託申請について
Q14.オンライン申請をする場合の電子証明書の要否について
Q15.供託書の用紙(OCR)について
Q16.供託書の記載方法について
Q17.供託カードについて
Q18.供託申請に必要な書類について
Q19.郵送による供託申請について
Q20.供託物の提出方法について
Q21.振込方式による供託について
Q22.供託金の電子納付について
Q23.弁済供託~受領拒否の場合
Q24.弁済供託~受領不能の場合
Q25.弁済供託~債権者不確知の場合
Q26.弁済供託~地代(家賃)の一括供託について
Q27.弁済供託~供託原因を欠いている場合(弁済の提供なし)
Q28.弁済供託~地代(家賃)を減額した供託について
Q29.休眠担保権抹消のための供託について
Q30.営業保証供託~宅建業の営業開始のためにする供託
Q31.営業保証供託~旅行業の営業開始のためにする供託
Q32.営業保証供託~その他の営業開始のためにする供託
Q33.営業保証金の差替え・保管替えについて
Q34.裁判上の担保(保証)供託について
Q35.執行供託~権利供託・義務供託
Q36.執行供託~従業員の給与に対する差押えがあった場合にする供託
Q37.選挙供託について
【Q1】供託とは、どのような制度ですか。また、供託には、どのような種類のものがありますか。
A供託とは、供託者が供託物(金銭、有価証券、振替国債等)を国家機関である供託所に提出してその管理を委ね、供託所を通じて、債権者等の特定の相手に取得させることにより、一定の法律上の目的を達成しようとする制度をいいます。
供託は、法令に供託を義務付け、又は許容する規定がなければ、することはできません。これを定めた法令の条文(供託根拠法令)は、民法(明治29年法律第89号)、民事訴訟法(平成8年法律第109号)、民事執行法(昭和54年法律第4号)等、多岐にわたっています。
供託は、供託物の種類により、金銭供託、有価証券供託、振替国債供託及びその他の物の供託に大別されます。また、供託によって達成しようとする目的、すなわち供託原因により、(1)弁済供託、(2)担保(保証)供託、(3)執行供託、(4)没取供託及び(5)保管供託に大別されます。
なお、上記については、供託制度についての動画案内『ご存知ですか?供託制度』において、分かりやすく説明していますので御覧ください。
【Q2】弁済供託とは、どのような供託ですか。
A金銭その他の財産の給付を目的とする債務を負担している債務者は、その債務を履行しようとしても、債権者が受領を拒んだり、債権者の住所不明によりその受領を受けることができなかったり、あるいは債権者が死亡し、その相続人が不明である等の債務者の過失によらないで債権者を確知することができない等の理由により、その債務の履行ができないときにおいては、債務の目的物を供託所に供託することによって、債務を免れることができます。例えば、地代(家賃)を払おうとしたところ、地主(家主)にその受け取りを拒否された場合には、借主は、賃料を供託することによって、支払債務を免れることができます。
・ 受領を拒否された場合にする供託について → Q23を参照。
・ 受領させることができない場合にする供託について → Q24を参照。
・ 債権者を確知することができない場合にする供託について → Q25を参照。
なお、上記については、供託制度についての動画案内『供託の事例「弁済供託」』において、分かりやすく説明していますので御覧ください。
【Q3】担保(保証)供託とは、どのような供託ですか。
A担保(保証)供託には、「営業保証供託」、「裁判上の担保(保証)供託」、「税法上の担保供託」等があります。
- 営業保証供託
営業保証供託は、営業者がその営業活動により生ずる債務ないし損害を担保するためにする供託です。宅地建物取引業、割賦販売業、旅行業等のように、取引の相手方が不特定多数で取引活動も広範である場合において、取引の相手方に対し、取引上の損害を与えるおそれのある営業については、その業務開始に際して、それぞれの法令に定められた一定の金銭等の供託が義務付けられています。これは、その営業活動に伴って債権を取得する債権者や損害を被る被害者を保護するために設けられている制度ということができます。
・ 宅地建物取引業法に基づく営業開始のためにする供託について → Q30を参照
・ 旅行業法に基づく営業開始のためにする供託について → Q31を参照
- 裁判上の担保(保証)供託
訴えの提起、強制執行の停止又は続行、仮差押え、仮処分の執行又は取消し等、当事者の訴訟行為又は裁判上の処分に関連して、当事者は、自己の負担とされる訴訟費用の支払を担保し、又は自己の訴訟行為により相手方に生ずる損害等を担保するため、裁判所から担保の提供を要求されることがあります。このような担保の提供のためにする供託を、裁判上の担保(保証)供託といいます。
・ 仮差押え、仮処分等の裁判上の発令を受けるための担保としてする供託について → Q34を参照
- 税法上の担保供託
相続税、贈与税等の国税の延納を許可し、又はその納税を猶予する場合や、不動産取得税等の地方税の徴収を猶予する場合において、その納付又は徴収を確保するため、税務署長等から納税者に一定の担保の提供を要求されることがあります。このような担保の提供のためにする供託を税法上の担保供託といいます。
【Q4】執行供託とは、どのような供託ですか。
A従業員の給与が差し押さえられた場合のように、金銭債権について裁判所から差押命令の送達を受けた場合には、当該金銭債権の債務者(以下「第三債務者」といいます。)は、その金銭債権の全額に相当する金銭を供託することができます。
また、同一の金銭債権について重複して差押命令の送達を受けた場合には、法令により、第三債務者は、金銭債権の全額に相当する額の金銭を供託しなければならないとされています。これらの供託を執行供託といいますが、これらの供託がされると、裁判所による配当手続が開始され、配当表が作成されて、各債権者に配当額の支払が行われることとなります。
・ 金銭債権について裁判所から差押命令が送達された場合にする供託について → Q35を参照
・ 従業員の給与について裁判所から差押命令が送達された場合にする供託について → Q36を参照
なお、上記については、供託制度についての動画案内『供託の事例「執行供託」』において、分かりやすく説明していますので、御覧ください。
【Q5】没取供託とは、どのような供託ですか。
A没取供託とは、法の目的を実現するために、一定の額の金銭等を供託させ、一定の事由が生じたときは、供託物に対する供託者の所有権をはく奪して、これを国家に帰属させることとする供託をいいます。
例えば、公職選挙法(昭和25年法律第100号)第92条による公職の立候補のためにする供託がありますが、これは、立候補の濫用防止のため、候補者が一定の得票数に満たなかった場合や、途中で立候補を辞退した場合等に、国又は地方公共団体がその供託金を没取することとするものです。
・ 公職選挙法に基づく立候補の届出のためにする供託について → Q37を参照。
【Q6】保管供託とは、どのような供託ですか。
A保管供託とは、目的物の散逸を防止するために、供託物そのものの保管・保全を目的としてされる供託をいいます。
例えば、銀行、保険会社等の業績が悪化して、資産状態が不良となった場合に、その財産の散逸を防止するため、監督官庁が当該銀行等に財産の供託を命ずる場合の供託がこれに当たります。
供託された供託物は、供託者である銀行等が破産した場合には、破産管財人により供託物の取戻しがされて破産財団に組み入れられ、銀行等の債権者への弁済に充てられることになります。
【Q7】供託所とはどのような機関ですか。また、供託所は、どこにあるのですか。
A供託事務を取り扱う国の機関を「供託所」といい、金銭、有価証券又は振替国債を供託物とする供託は、法務局、地方法務局及びこれらの支局において取り扱っています。
また、供託物が、金銭、有価証券又は振替国債以外の物品である場合については、法務大臣の指定する倉庫営業者等が供託所として供託事務を取り扱い、物品を保管するものとされています。
供託は、法令に供託を義務付け、又は許容する規定がなければ、することができず、供託をすべき供託所についても、それぞれの根拠法令によることとなりますので、実際に供託をする場合には、供託すべき供託所をよく確認する必要があります。
金銭、有価証券又は振替国債を供託物とする供託を取り扱う供託所の所在地及び連絡先については、供託所一覧表で御確認ください。
【Q8】どこの供託所に供託したら、よいのですか。
A金銭、有価証券又は振替国債を供託物とする場合の供託所は、法務局、地方法務局及びこれらの支局となります。このうち、どこの供託所に供託したらよいかは、供託の種類ごとに、それぞれの供託根拠法令によって、定められています(管轄供託所を定める規定がないものもあります。)。
「供託所一覧表」
【Q9】供託することができるものには、どのようなものがありますか。
A供託の目的物を「供託物」といいますが、その供託物は、次のとおり分類することができます。
1.金銭
供託することができる金銭は、我が国の通貨に限られ、外国の通貨は含まれません。
2.有価証券
供託することができる有価証券は、財産権を表章する証券であって、我が国において転々流通する性質のものに限られますが、その種類については、法令に別段の定めがない限り、制限はありません。具体的には、国債(外貨債を含む。)、地方債、株券、社債券等がこれに当たりますが、有価証券による供託を認めている供託根拠法令の中には、供託をすることができる有価証券の種類について、特に制限を設けている場合もあります。例えば、宅地建物取引業に係る営業保証供託の場合、営業保証金として供託することのできる有価証券を制限しています(宅地建物取引業法施行規則(昭和32年建設省令第12号)第15条の2)。
なお、供託することができる有価証券の価額の評価についても、各供託の根拠法令に定められていますので、当該評価に基づいて算出し、供託するべき金額に相当する有価証券であるかどうかを確認しておく必要があります。
3.振替国債
振替国債とは、社債、株式等の振替に関する法律(平成13年法律第75号)の規定の適用を受けるものとして財務大臣が指 定した国債をいい、その権利の帰属は、同法第五章の規定による振替口座簿の記載又は記録によって定まるものとされています(同法第88条)。振替国債は、法令の規定により担保若しくは保証として、又は公職選挙法の規定により供託をしようとする場合に限り、供託の目的物とすることができるとされています(同法第278条第1項)。
4.供託物が上記以外の物品である場合
供託物が上記以外の物品である場合には、法務大臣の指定する倉庫営業者等が供託所として供託事務を取り扱い、物品を保管するものとされています(供託法(明治32年法律第15号)第5条)。ただし、その物品が、倉庫営業者等の営業の部類に属する物であるとき又はそれらが保管し得る数量に限り保管する義務を負うことや、物品が供託に適しないときには、事実上、物品を供託することは困難です。このような場合には、裁判所の許可を得て物品を競売し、その代金を供託することができます(民法第497条)。
【Q10】供託金の額が高額のため、小切手で供託したいのですが、可能でしょうか。
A供託金の受入れを取り扱う供託所においては、特定の小切手に限り、金銭の代用として供託することが認められる場合があります。
金銭の代用として認められる小切手とは、「日本銀行を支払人として政府、地方公共団体、公団、公庫、公社若しくは銀行が振り出した小切手(日銀小切手)」又は「供託金の払込みを委託されている銀行の自己宛小切手(預金小切手)」がこれに該当しますが、供託官が相当と判断したものに限られますので、小切手を供託しようとするときは、供託をすることができる小切手かどうか、あらかじめ供託所に御確認ください。
【Q11】供託の申請は、どのようにしたらよいのですか。
A供託をするには、供託の種類に従い、定められた様式による供託書に必要事項を記載し、これに供託物を添えて、供託所に提出する必要があります。また、御自宅等のパソコンから、インターネットを利用して、供託の申請をすることもできます(詳しくは、法務省ホームページの「オンラインによる供託手続について」を御覧ください。)。
供託の申請は、供託者本人がする必要がありますが、代理人や使者(供託者の御家族の方、会社の従業員等)による申請も認められています。また、郵送により申請をすることも、認められています。
なお、上記については、登記・供託オンライン申請システムホームページの「供託ねっと」を御覧ください。
【Q12】供託の申請をするのに、手数料が必要となりますか。
A供託の申請自体には、手数料は必要ありません。ただし、郵送や振込方式を利用して供託の申請をする場合には、郵券や供託金を振り込むための振込手数料が必要となります。振込方式による方法については、Q21を御覧ください。
【Q13】オンラインで供託の申請をするには、どのようにしたらよいのですか。
A供託の申請は、インターネットを利用し、オンラインによって、することもできます。オンラインによる供託申請は、供託所の窓口に赴く必要がなく、御自宅等のパソコンから、供託の手続を行うことができます。また、お近くの金融機関のペイジー対応のATMやインターネットバンキングを利用して、供託金を納付することができますので、大変便利です。
オンラインによる供託手続には、供託かんたん申請というウェブブラウザから申請を行う方法と申請用総合ソフト等の申請用のソフトウェアを用いて申請する方法があります。
オンラインによる供託手続の詳細については、「供託ねっと」又は法務省ホームページの「オンラインによる供託手続について」を御覧ください。
また、供託制度についての動画案内「オンラインによる供託の申請」においても、オンラインによる供託手続について分かりやすく説明していますので、御覧ください。
【Q14】オンラインによる供託の申請をしようと考えていますが、電子証明書を持っていません。この場合でも、オンラインによる供託の申請をすることは、可能でしょうか。
A供託の申請の申請書情報には、電子署名は必要ありません。ただし、添付書面をオンラインで送付する場合には、添付書面情報に電子署名を行う必要があります(払渡請求の場合については、Q41を御覧ください。)。
なお、添付書面(委任状、資格証明書等)がある場合には、申請書情報が供託所に到達した日から5日以内に、添付書面を郵送等で供託所に送付し(供託所に到達することが必要です。)、又は持参していただく必要がありますので、御注意ください。
【Q15】供託の申請をするための用紙は、どのようなものでも構いませんか。
A供託の申請をする際には、専用のOCR用供託書を提出していただく必要があります。OCR用供託書は、供託の種類(弁済供託、裁判上の保証供託等)ごとに供託所に備え付けてありますので、必要な種類のOCR用供託書を御利用ください。どの種類のOCR用供託書に記載すればよいか分からない場合は、窓口の係員にお尋ねください。
また、OCR用供託書は、郵送でも請求することができます。どの種類のOCR用供託書が何枚必要かを適宜の用紙に御記入いただき、切手を貼った返信用封筒(A4判以上の大きさのもの)を同封の上、供託所に請求してください。
【Q16】供託書の記載方法について、教えてください。
A供託書を作成するに当たっての一般的な注意事項は、次のとおりです。
- 一般的事項
(1) 供託者は、太枠で囲まれた部分について、必要な記載をしてください。
(2) 供託書に記載するときは、黒色又は青色のボールペンを使用してください(鉛筆書きは、認められません。)。
(3) 供託書に記載する文字は、丁寧に、はっきりと記載してください。
また、供託書記載欄中、該当番号等を○で囲む場合には、○の位置がずれないように、注意してください。
(4) 金銭その他のものの数量、年月日等を記載する場合は、「1、2、3、10」等のアラビア数字で記載してください。
(5) 供託金額、有価証券の枚数及び総額面、振替国債の金額の訂正は、できません。
(6) 該当欄に記載事項の全部を記載することができないときは、備考欄に記載するか、又は供託所から継続用紙の交付を受け、それに記載してください。 - 供託者の住所氏名欄の記載
供託者の住所・氏名を記載します。供託者が会社等の法人であるときは、その法人の主たる事務所(本店)の所在地、名称(商号)及び代表者の資格・氏名を記載します。代表者の住所を記載する必要は、ありません。
代理人による供託の場合は、供託者の住所・氏名の下に代理人の住所及びその資格・氏名を記載します。住所・氏名は、住民票の写し又は登記事項証明書に記載されたとおり、正確に記載してください。 - 被供託者の住所氏名欄の記載
被供託者の住所・氏名を記載するときは、住民票の写し又は登記事項証明書に記載されたとおり、正確に記載してください(不正確な記載がされた場合、供託が無効となるおそれがあります。)。被供託者が会社等の法人であるときは、その法人の主たる事務所(本店)の所在地及び名称(商号)を記載します。代表者を記載する必要はありません。
【Q17】毎月、家賃を供託していますが、被供託者や契約の内容等に変更がない場合、供託カードの交付を受けると、次回から供託書への記載を省略することができると聞きました。どのようにすれば、この供託カードを交付してもらえますか。
A地代・家賃の弁済供託や、従業員の給与の差押えによる執行供託など、継続的な供託をする場合には、供託書を提出する際に、併せて、供託カードの交付の申出をすることができます。供託カードの交付の申出をしていただくと、提出したOCR用供託書の記載内容を登録した供託カードが発行されます。次回以降の申請の際に、供託カードを持参すれば、供託者の住所、被供託者の住所氏名、契約の内容など、供託書への記載を一部省略することができますので、大変便利です。
供託カードを添えて供託の申請をする場合に、供託書に記載する事項は、おおむね以下のとおりです。
1 供託カード番号
2 供託者の氏名又は名称
3 代理人により供託する場合は、代理人の氏名
4 供託金額
5 供託申請年月日
6 供託カードの交付の申出をした際に供託書に記載した事項と同一でない事項(供託する賃料欄の年月及び供託の事由欄の年月日等)
なお、最後に供託カードを利用して供託をした日から2年を経過したとき、又は供託者若しくは代理人の表示等に変更があったときは、交付を受けている供託カードを利用した供託をすることはできませんので、御注意ください。
詳しくは、各供託所(「供託所一覧表」参照)にお問い合わせください。
【Q18】供託の申請をする際に必要な書類には、どのようなものがありますか。
A供託の申請をする際に必要な書類のうち、主なものは、次のとおりです。
- 資格証明書
供託者が登記された法人である場合において、当該法人が登記申請中であり、その登記が完了していないときは、代表者の資格を証する登記事項証明書の提示が必要です。
供託者が登記された法人以外の法人であるときは、関係官庁が作成した代表者の資格を証する書面の添付が必要です。
供託者が法人でない社団又は財団であって、代表者又は管理人の定めのあるものであるときは、当該社団又は財団の定款又は寄附行為及び代表者又は管理人の資格を証する書面の添付が必要です。
これらの書面については、作成後3か月以内のものに限られます(※)。
(※)供託者が法人でない社団又は財団であって、代表者又は管理人の定めのあるものである場合で、かつ、当該社団等の代表者又は管理人の資格を証する書面として、当該代表者又は管理人に係る選任決議の議事録等を添付する場合に、当該議事録等が3か月以内に作成されたものでないときには、その代表者が変更していないことを証する書面(作成後3か月以内のもの)の添付が必要となります。 詳しくは、各供託所(「供託所一覧表」参照)にお問い合わせください。 - 代理人の権限を証する書面
供託者が代理人によって供託しようとする場合には、委任状、戸籍謄本(親権者の場合)等の代理人の権限を証する書面の提示が必要となります。
なお、このような書面のうち、官庁又は公署が作成したものについては、作成後3か月以内のものに限られます。 - 提示又は添付する書面の省略
(1) 会社・法人の代表者の資格を証する登記事項証明書又は印鑑等の簡易確認手続
供託をしようとする者又は供託物払渡請求をしようとする者は、供託書又は供託物払渡請求を供託所の窓口に提出する際に、簡易確認手続によりたい旨を申し出ることにより、代表者の資格を証する登記事項証明書又は印鑑証明書の提示又は添付を省略することができます(ただし、印鑑証明書については、印鑑カードが必要です。また、印鑑証明書については、東京法務局本局、大阪法務局本局、名古屋法務局本局では、簡易確認手続を行っていません。)。支配人その他登記のある代理人の権限を証する書面についても同様です。詳細については、窓口の職員にお尋ねください。
(2) 添付書類の省略
同一の供託所において同時に数個の供託をする場合で、添付書類に内容が同一のものがあるときは、1個の供託書に1通を添付すれば足ります。この場合、他の供託書の備考欄には、当該書類を援用する旨を記載する必要があります。
(3) 添付書類の原本還付
供託書に添付した書類については、供託者は、供託の際に、原本と相違ない旨(例:「これは、原本と相違ありません。 氏名 ○○○○ 印」)を記載した当該書類の謄本を添付して、原本の還付を請求することができます。
(注) オンラインによる供託手続において提示又は添付する書面の取扱いについては、「供託ねっと」又は法務省ホームページの「オンラインによる供託手続について」を御覧ください。
【Q19】供託の申請を、郵送ですることはできますか。
A供託の申請は、郵送ですることもできます。
郵送で供託の申請をする場合の手続の概要は、以下のとおりです。
次の書類等を、供託所に郵送してください。
- OCR用供託書(折り曲げると使用できませんので、御注意ください。)
- 供託カード(カードを発行している場合のみ)
※ 詳しくは、Q17を御覧ください。 - 代表者の資格を証する登記事項証明書(供託者が登記された会社又は法人であって、当該会社・法人が登記申請中であり、その登記が完了していない場合)
※ 作成日から3か月以内のものが必要です。 - 委任状等の代理人の権限を証する書面(代理人により供託する場合)
- 返信用封筒(定形外)と郵券
※ 供託書正本及び次回の供託申請用のOCR用供託書用紙を郵送するためのものです。OCR用供託書用紙(A4判)が入る大きさの封筒を御用意ください。 - 返信用封筒(定形)と郵券
※ 供託受理決定通知書(現金書留の送付により供託金を納付する場合には送付されません。)、保管金払込書(現金書留の送付、振込方式、電子納付により供託金を納付する場合には送付されません。)、振込依頼書(現金書留の送付、電子納付により供託金を納付する場合には送付されません。)を郵送するためのものです。 - 被供託者への供託通知書の発送を希望する場合は、被供託者の数に応じた郵券
- お客様への連絡先電話番号を記載したメモ
供託金の納入(納付)方法は、(1)現金書留を供託所に送付する方法(法務局・地方法務局の供託課並びに東京法務局八王子支局及び福岡法務局北九州支局に供託する場合に限られます。)、(2)供託所から送付される保管金払込書と共に日本銀行(又はその支店若しくは代理店)に現金を提出する方法、(3)供託所が指定する金融機関の口座への振込による方法(振込方式)、(4)国庫金などを取り扱う金融機関のペイジー対応のATMやインターネットバンキングを利用して納付する方法(電子納付)があります。
お近くに日本銀行(又はその支店若しくは代理店)がないときは、振込方式や電子納付による方法が便利です。振込方式又は電子納付による方法を希望する場合は、その旨を記載したメモを同封してください。振込方式による方法についてはQ21を、電子納付による方法についてはQ22を御覧ください。
【Q20】供託物は、どのように提出したらよいのですか。
A現金の受入事務を取り扱っている供託所(法務局・地方法務局の各本局、東京法務局八王子支局及び福岡法務局北九州支局)に金銭の供託をする場合には、供託書や添付書類と供託金を提出する必要があります。
一方、現金の受入事務を取り扱わない供託所に金銭の供託をする場合及び有価証券の供託をする場合には、供託書を提出した後、供託官の指定する納入期日までに日本銀行又はその代理店に供託金の払込み又は有価証券の提出をすることになります。
また、その他の方法として、全ての供託所において供託金の電子納付をすることができます。電子納付を希望する場合は、その旨を窓口で申し出ると、納付番号、納入期日等、電子納付に必要な情報を記載した「供託受理決定通知書」を交付しますので、記載された納入期日までに、電子納付に対応したATMやインターネットバンキングを利用して供託金を納付していただきます。
なお、オンラインにより供託の申請をする場合の供託金の納付方法は、電子納付のみに限られます。
また、振込方式による供託金の受入手続においては、供託書を供託所に提出した後、供託官の指定するところに従って、振込期日までに、金融機関の口座に入金することにより供託金を払い込むことができます。
振替国債を供託する場合は、供託書を供託所に提出した後、供託官の指定するところに従って、供託しようとする振替国債の口座を管理する口座管理機関を通じて、納入期日までに、供託所の口座に振替国債を振り替えることになります。
【Q21】振込方式による供託の申請手続について、教えてください。
A振込方式とは、供託者が、最寄りの金融機関から供託官名義の当座預金口座に供託金を振り込むことにより、供託金の提出があったものとして取り扱う方式です。
この振込方式は、現金を持ち運ぶことの危険性やキャッシュレス社会に対応するもので、利用者の利便性を図る観点から、導入されたものです。例えば、日本銀行(又は支店若しくは代理店)が供託所から遠方にあるため、直接行くことが困難な場合や、供託金が高額で供託所や日本銀行(又は支店若しくは代理店)に持ち込むことができない場合等に、最寄りの金融機関から供託官の口座に振込を行うことにより、供託を成立させることができます。
振込方式による供託の申請が受理されると、供託受理決定通知書及び金融機関への振込依頼書が発行されます。この振込依頼書により、供託受理決定通知書に記載された振込期日までに、最寄りの金融機関から供託官の指定口座に供託金を振り込んでください(振込手数料は、お客様の負担となります。)。供託所で入金が確認されますと、供託書正本が交付されます。
なお、郵送で供託受理決定通知書、振込依頼書及び供託書正本を受け取ることもできますが、その場合は、申請の際に、供託受理決定通知書送付用と供託書正本送付用に1枚ずつ110円切手を提出してください。また、供託所に来庁されなくても、郵送で電子納付による申請を行うこともできます。その際は、OCR用供託書に必要事項を記入の上、必要な添付書類と郵券を送付してください(郵送による供託の申請については、Q19を御覧ください)。
その他、手続の詳細については、各供託所(「供託所一覧表」参照)にお問い合わせください。
【Q22】供託金の電子納付とは、どのようなものですか。
A電子納付は、国庫金などを取り扱う金融機関のペイジー対応のATMやインターネットバンキングなどを利用して、供託金や各種手数料などをお支払いいただけるサービスです。
この電子納付は「ペイジー」の愛称でよばれ、「Pay-easyマーク」が使用されています。
ATMで納付する場合は、お近くのゆうちょ銀行やペイジー対応の金融機関のATMで供託金の納付をすることができます。窓口営業時間外でも利用可能で、一般的に、手数料はかかりません(注)。インターネットバンキングで納付する場合は、会社(自宅)等のインターネットに接続しているパソコンから供託金を納付することができます。24時間365日いつでも利用可能で、手数料は、一般的にはかかりません(注)。
電子納付を利用される場合は、供託を申請する際に、「電子納付」する旨を供託所(法務局)の係員にお申出ください。
供託が受理されますと、「供託受理決定通知書」を交付しますので、同通知書に記載されている(1)収納機関番号、(2)納付番号(お客様番号)、(3)確認番号をATMの画面やパソコンの画面に表示される指示に従って入力することにより、供託金を納付することができます。
電子納付により供託金が納付されますと、ネットワークを通じて供託所にその旨通知されますので、その後に供託書正本を交付することになります。供託申請の受理決定後、速やかに電子納付をしていただければ、即日に供託書正本を交付することができます。
なお、郵送で供託受理決定通知書及び供託書正本を受け取ることもできますが、その場合は、申請の際に、供託受理決定通知書送付用と供託書正本送付用に1枚ずつ110円切手を提出してください。
その他手続の詳細については、各供託所(「供託所一覧表」参照)にお問い合わせください。
なお、上記については、法務省ホームページに掲載しています、「供託金電子納付の手引」(PDF)を御覧ください。
(注) 各金融機関において利用限度額が設定されているほか、金融機関規定の手数料(例:時間外手数料等)がかかる場合があります。
詳しくは、御利用される金融機関に御確認ください。
【Q23】地代(家賃)の受領を拒否された場合にする供託は、どのようにしたらよいのですか。
A
- 弁済供託について
土地・建物等の借主は、地主・家主等の貸主からの賃料の値上げ要求等を不当とする場合に、相当と認める額の賃料を提供し、その受領を拒否されたときは、相当と認める額の賃料につき「受領拒否」を供託原因とする弁済供託をすることにより、賃料債務を消滅させることができます。 - 「受領拒否」の場合の供託原因
弁済供託によって債務を消滅させるためには、供託原因が必要です。供託原因としての「受領拒否」とは、例えば、弁済期日に地代(家賃)を債権者である貸主の現在の住所地に持参して受領を催告するなど、債務者である借主が債務の本旨に従った適法な弁済の提供をしたにもかかわらず、貸主がこれに応じなかった場合をいいます。したがって、「受領拒否」を供託原因として供託する場合には、借主は、供託をする前に、まず、貸主に対する弁済の提供をする必要があります。
なお、貸主が賃貸借契約そのものの存在を否定して明渡訴訟が係属中である場合等、債務者が弁済の準備をした旨を通知してその受領の催告(口頭の提供)をしても債権者が受領しないことが明らかである場合は、弁済の提供をすることなく供託することができる場合もあります。
ただし、地代(家賃)の値上げを要求されたというだけでは、債権者による「受領拒否」が明確であるとはいうことができませんので、この場合には、弁済の提供をする必要があります。
このように、弁済の受領をしない意思が明確か否かは、個別の事案ごとに判断することになります。 - 供託手続
供託をする場合には、地代・家賃弁済供託用の供託書(各供託所に備え付けられています。)に必要事項を記載し、これに供託物を添えて、債務の履行地の供託所において供託の手続を行う必要があります。また、御自宅等のパソコンから、インターネットを利用して、供託をすることもできます。詳しくは、法務省ホームページの「オンラインによる供託手続」を御覧ください。
供託金の提出方法等については、Q20、Q21、Q22を御覧ください。 - 供託書の記載方法
供託書の記載例は、法務省ホームページの「供託書等の記載例」を御覧ください。
なお、上記については、供託制度についての動画案内『供託の事例「弁済供託」』において、分かりやすく説明していますので御覧ください。
【Q24】地主(家主)の不在や行方不明等により、地代(家賃)の弁済をすることができなくなった場合にする供託は、どのようにしたらよいのですか。
A
- 弁済供託について
土地・建物等の借主は、地主・家主等の貸主の不在や行方不明等により賃料の弁済をすることができないときは、当該賃料につき「受領不能」を供託原因とする弁済供託をすることにより、賃料債務を消滅させることができます。 - 「受領不能」の場合の供託原因
弁済供託によって債務を消滅させるためには、供託原因が必要です。供託原因としての「受領不能」とは、貸主が不在であるとか、行方不明である等の事由により、貸主が賃料を受領することができない場合をいいます。
具体的には、賃料の支払方法が賃貸借契約によってどのように定められているかにもよりますが、債権者である貸主の住所で賃料を支払うこととされている場合には、貸主の不在、行方不明等の事情があるときに「受領不能」となります。「不在」は、一時的な不在の場合でも、差し支えありません。
また、貸主が借主の住所において取り立てる旨の合意がある場合には、弁済期が到来したにもかかわらず、貸主が取立てに来ない場合等が該当します。この場合には、借主は、弁済の準備をしたことを通知して、その受領を催告しなければなりません。 - 供託手続
供託をする場合には、地代・家賃弁済供託用の供託書(各供託所に備え付けられています。)に必要事項を記載し、これに供託物を添えて、債務の履行地の供託所において、供託の手続を行う必要があります。また、御自宅等のパソコンから、インターネットを利用して、供託をすることもできます。詳しくは、法務省ホームページの「オンラインによる供託手続」を御覧ください。
供託金の提出方法等については、Q20、Q21、Q22を御覧ください。 - 供託書の記載方法
供託書の記載例は、法務省ホームページの「供託書等の記載例」を御覧ください。
なお、上記については、供託制度についての動画案内『供託の事例「弁済供託」』において、分かりやすく説明していますので御覧ください。
【Q25】地主(家主)の死亡や賃料債権の譲渡の通知を受ける等により、地代(家賃)の支払先が分からなくなった場合にする供託は、どのようにしたらよいのですか。
A
- 弁済供託について
土地・建物等の借主は、地主(家主)の死亡によりその相続人が分からなくなる等、自らに過失がないにもかかわらず、賃料を支払うべき相手が分からなくなった場合には、当該賃料につき「債権者不確知」を供託原因とする弁済供託をすることにより、賃料債務を消滅させることができます。 - 「債権者不確知」の場合の供託原因
弁済供託によって債務を消滅させるためには、供託原因が必要です。供託原因としての「債権者不確知」とは、例えば、債権者である貸主が死亡し相続が開始されたものの、相続人が誰であるか事実上知りえない場合(この場合には、被供託者を「何某の相続人」として供託をすることができます。)、あるいは、債権譲渡の通知を受けた当該債権について甲と乙との間でその帰属について争いがあり、いずれが真の債権者であるか弁済者が過失なくして知ることができない場合(この場合には、被供託者を「甲又は乙」として供託することができます。)等をいいます。
債権者不確知ということができるためには、(1)当初、特定人に帰属していた債権が、その後の事情により変動したため、債務者において債権者を確知することができなくなったという場合で、かつ、(2)債権者を確知することができないことが、債務者の過失によるものではないことが必要です。これに該当するかどうかは、個別の事案により、判断されることとなります。 - 供託手続
供託をする場合には、地代・家賃弁済供託用の供託書(各供託所に備え付けられています。)に必要事項を記載し、これに供託物を添えて、債務の履行地の供託所において供託の手続を行う必要があります。なお、御自宅等のパソコンから、インターネットを利用して、供託をすることもできます。詳しくは、法務省ホームページの「オンラインによる供託手続について」を御覧ください。
供託金の提出方法等については、Q20、Q21、Q22を御覧ください。 - 供託書の記載方法
供託書の記載例は、法務省ホームページの「供託書等の記載例」を御覧ください。
なお、上記については、供託制度についての動画案内『供託の事例「弁済供託」』において、分かりやすく説明していますので御覧ください。
【Q26】地代(家賃)について、数箇月分をまとめて供託することはできますか。
A賃借人が賃貸人に対して、契約に従い各月分の賃料を提供したにもかかわらず、受領を拒否された場合には、過去の数か月分の賃料をまとめて供託することができます。この場合、供託書の「供託する賃料」欄には、「令和○年○月から令和○年○月分まで」である旨を、「供託の事由」欄には、「各月の支払日に提供したが受領を拒否された」旨を記載する必要があります。
供託書の記載例は、法務省ホームページの「供託書等の記載例」を御覧ください。
【Q27】契約上、毎月の家賃を家主の家に持参して支払うことになっていますが、諸般の事情により家主と顔を合わせたくないため、直接家賃を支払いたくありません。不払とならないために、供託所で家賃を預かってもらうことができますか。
A供託をすることができるのは、法令に供託を義務付け、又はこれを許容する旨の規定がある場合において、その規定に基づく場合に限られます。家賃(地代)等の弁済供託をすることができるのは、(1)債権者の受領拒否、(2)債権者の受領不能(債権者の不在や行方不明等の理由により、債権者が弁済を受領することができない)、(3)債権者不確知(債権者が死亡して相続が開始したが、その相続人が誰であるかが不明、又は債権が譲渡されたが、債権の帰属について譲渡人と譲受人との間で争いがある等の理由により、債務者の過失なくして真の債権者が誰であるかを知ることができない)の場合に限られます(民法第494条)。
お問い合わせのような事例は、上記(1)から(3)までのいずれの要件にも該当しないものと考えられますので、供託をすることができません。
なお、上記については、供託制度についての動画案内『供託の事例「弁済供託」』において、分かりやすく説明していますので御覧ください。
【Q28】現在住んでいるマンションの家賃が、周辺の同じ規模のものと比べて高いため、従前から、家主に対して家賃の値下げを要求しています。ところが、家主は全く取り合ってくれず、今までどおりの家賃を支払うよう請求されています。そこで、今月分の家賃について、私が相当と考える金額(元の家賃から減額した金額)を家主に支払おうとしたところ、受取を拒否されました。減額後の家賃を供託することはできますか。
A土地や建物の賃借人が家賃(地代)の減額請求をし、協議が調わないときには、賃貸人は「自ら相当と認める額」を請求することができるとされています(借地借家法(平成3年法律第90号)第11条第3項、第32条第3項)。つまり、家賃(地代)の減額を相当とする裁判が確定するまでは、賃借人は、賃貸人が相当と考えて減額した金額又は従前の金額を支払わなければなりませんので、賃借人が従前の借賃を下回る金額を支払おうとして賃貸人から受取を拒否されたとしても、減額後の金額で供託することはできません。
【Q29】私が所有する土地には、約30年前に登記した抵当権が設定されています。抵当権者が行方不明の場合、供託をして抵当権設定登記を抹消することができると聞きましたが、その方法について、教えてください。
A質権者、抵当権者等の登記義務者が行方不明のため、共同して抵当権等の登記の抹消の申請をすることができない場合、供託をした上で、その供託をしたことを証する書面を登記申請書に添付して、単独で抵当権等の登記の抹消を申請することができるとされています。単独でこの抵当権等の登記の抹消手続を行うためには、次の要件を満たしている必要があります(不動産登記法(平成16年法律第123号)第70条)。
1 抵当権者等の登記義務者が行方不明であり、共同で抵当権等の登記の抹消を申請することができないこと。
2 被担保債権の弁済期から20年以上経過していること。
3 被担保債権の債務者、物上保証人等が、債務履行地の供託所に、被担保債権(元本)、利息及び債務不履行によって生じた損害金を供託すること。
4 供託したことを証する書面(供託書正本)を登記申請書に添付して、単独で抵当権等の登記の抹消を申請すること。
供託をする場合には、その他の金銭供託用の供託書(各供託所に備え付けられています。)に必要事項を記載し、これに供託物を添えて、債務の履行地の供託所において、供託の手続を行う必要があります。
なお、登記義務者(被供託者)の最後の住所地を管轄する供託所に供託しなければならない場合に、登記簿上、その住所が判明しない場合は、債務者の住所地の最寄りの供託所に供託することができます。
供託書の記載例は、法務省ホームページの「供託書等の記載例」を御覧ください。
手続の詳細については、各供託所(「供託所一覧表」参照)にお問い合わせください。
【Q30】宅地建物取引業法に基づく営業開始のためにする供託は、どのようにしたらよいのですか。
A
- 宅地建物取引業法に基づく営業保証供託
宅地建物取引業者と取引をする者が当該業者の営業活動による取引により被る可能性のある損害等を担保するため、宅地建物取引業を行う者は、その営業開始に当たっては、主たる事務所につき金1,000万円を、また、その他の事務所ごとに金500万円の割合による金額の合計額を営業保証金として主たる事務所の最寄りの供託所に供託しなければなりません(宅地建物取引業法第25条、同法施行令(昭和39年政令第383号)第2条の4)。宅地建物取引業者は、上記供託を行い、その旨を国土交通大臣又は都道府県知事に届出をした後でなければ、営業を開始することはできません。 - 供託手続
供託をする場合には、営業保証金の金銭供託用の供託書(各供託所に備え付けられています。)に必要事項を記載し、これに供託物を添えて、主たる事務所の最寄りの供託所において、供託手続を行う必要があります(定められた有価証券又は振替国債を供託することもできます。)。
なお、事務所等のパソコンから、インターネットを利用して、供託をすることも可能です。詳しくは、法務省ホームページの「オンラインによる供託手続について」を御覧ください。
供託金の提出方法等については、Q20、Q21、Q22を御覧ください。 - 供託書の記載方法
供託書の記載例は、法務省ホームページの「供託書等の記載例」を御覧ください。
【Q31】旅行業法に基づく営業開始のためにする供託は、どのようにしたらよいのですか。
A
- 旅行業法に基づく営業開始のためにする供託
旅行業者と取引をする者が当該業者の営業活動による取引により被る可能性のある損害等を担保するため、旅行業を行う者は、当該旅行業者が観光庁長官又は都道府県知事に新規登録の申請をした際に添付した書類に記載した年間取引見込額に応じ、旅行業法第4条第1項第4号の業務の範囲の別ごとに国土交通省令で定める額を主たる営業所の最寄りの供託所に供託しなければなりません(旅行業法第7条第1項、同法施行規則(昭和46年運輸省令第61号)第7条)。
旅行業者は、第一種旅行業務にあっては観光庁長官から、また、第二種及び第三種旅行業務にあっては都道府県知事から、それぞれ旅行業の登録をした旨の通知を受けた日から14日以内に、上記の供託を行い、供託書正本の写しを添付して、観光庁長官又は都道府県知事に所定の届出をした後でなければ、業務を開始することはできません(旅行業法第7条、同法施行規則第1条)。 - 供託手続
供託をする場合には、営業保証金の金銭供託用の供託書(各供託所に備え付けられています。)に必要事項を記載し、これに供託物を添えて、主たる事務所の最寄りの供託所において、供託手続を行う必要があります(定められた有価証券又は振替国債を供託することもできます。)。
なお、事務所等のパソコンから、インターネットを利用して、供託をすることも可能です。詳しくは、法務省ホームページの「オンラインによる供託手続について」を御覧ください。
供託金の提出方法等については、Q20、Q21、Q22を御覧ください。 - 供託書の記載方法
供託書の記載例は、法務省ホームページの「供託書等の記載例」を御覧ください。
【Q32】その他の営業の開始のためにする供託は、どのようにしたらよいのですか。
A営業保証供託は、営業者がその営業活動により生ずる債務や損害を担保するためにする供託です。
宅地建物取引業、旅行業、割賦販売業等のように、取引の相手方が不特定多数で取引活動も広範かつ継続的であって、取引の相手方に対し、取引上の損害を与えるおそれのある営業については、その業務開始に際して、それぞれの法令に定められた一定の金銭等の供託が義務付けられています。この制度により、これらの営業を行う者と営業上の取引関係に立つ債権者・消費者等の保護が図られています。
宅地建物取引業、旅行業、割賦販売業のほかにも、これと同様に、営業を開始するに当たり、当該営業者が営業保証供託をすることを義務付けている法令は数多くあります(信託業法(平成16年法律第154号)第11条、保険業法(平成7年法律第105号)第190条等)。供託手続は、各根拠法令ごとに異なりますので、詳しくは、各供託所(「供託所一覧表」参照)にお問い合わせください。
供託書の記載例は、法務省ホームページの「供託書等の記載例」を御覧ください。
【Q33】当社は、宅地建物取引業を営んでおり、営業保証金として、金銭を供託しています。来月、隣の県に営業所を移転することになったのですが、何か手続を行う必要はあるのでしょうか。
A宅地建物取引業を営む者が営業所を移転したことにより、管轄の供託所に変更を生じたときは、(1)営業保証金を金銭で供託している場合は、「供託物の保管替え」の手続を、(2)営業保証金を有価証券で供託している場合や、一部を金銭、一部を有価証券で供託している場合は、「供託物の差替え」の手続を行わなければなりません。
- 差替えの手続
供託物の差替えとは、営業保証供託又は裁判上の保証供託において、担保の目的として金銭、有価証券又は振替国債を供託している場合に、(1)金銭を有価証券又は振替国債に、(2)有価証券又は振替国債を金銭に、(3)有価証券又は振替国債を他の有価証券又は振替国債に差し替えて、供託を継続することをいいます。
供託物の差替えは、移転先の営業所の最寄りの供託所に対して、従前の供託物に代わる新たな供託物を供託した後に、移転前の営業所の最寄りの供託所に従前の供託物の取戻しの請求をすることによって行われます。 - 保管替えの手続
供託物の保管替えとは、営業保証供託において、営業者が営業所を移転したため、管轄の供託所に変更を生じた場合に、供託物が金銭であれば、供託物の差替えの手続をとらずに、供託所の内部手続により、移転先の営業所の最寄りの供託所に供託物を移管して、供託を継続することをいいます。
手続の詳細については、各供託所(「供託所一覧表」参照)にお問い合わせください。
【Q34】仮差押え、仮処分等の裁判上の発令を受けるための担保(保証)供託は、どのようにしたらよいのですか。
A
- 裁判上の担保(保証)供託
訴えの提起、強制執行の停止又は続行、仮差押え、仮処分の執行又は取消し等、当事者の訴訟行為又は裁判上の処分に関連して、当事者は、自己の負担とされる訴訟費用の支払を担保し、又は自己の訴訟行為により相手方に生ずる損害等を担保するため、裁判所から担保の提供を要求されることがあります。このような担保の提供のためにする供託を、裁判上の担保(保証)供託といいます。 - 供託手続
供託をする場合には、裁判上の保証及び仮差押・仮処分解放金の金銭供託用の供託書(各供託所に備え付けられています。)に必要事項を記載し、これに供託物を添えて、担保を立てるべきことを命じた裁判所又は執行裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄区域内の供託所において、供託手続を行う必要があります(裁判所が相当と認める有価証券又は振替国債を供託することができる場合があります。)。また、御自宅等のパソコンから、インターネットを利用して、供託をすることもできます。詳しくは、法務省ホームページの「オンラインによる供託手続について」を御覧ください。
供託金の提出方法等については、Q20、Q21、Q22を御覧ください。 - 供託書の記載方法
供託書の記載例は、法務省ホームページの「供託書等の記載例」を御覧ください。
【Q35】裁判所から債権の差押命令が送達された場合に第三債務者としてする供託は、どのようにしたらよいのですか。
A
- 執行供託
金銭債権について裁判所から差押命令の送達を受けた場合、当該金銭債権の債務者(以下「第三債務者」といいます。)は、その金銭債権の全額に相当する金銭を債務履行地の供託所に供託することができます(民事執行法第156条第1項)。
また、同一の金銭債権について重複して差押命令の送達を受けた場合には、第三債務者は、その金銭債権の全額に相当する金銭を、差押後に配当要求を受けたときは、差し押さえられた部分に相当する金銭を債務履行地の供託所に供託しなければなりません(同条第2項)。 - 第三債務者の供託
裁判所から差押命令が送達されてきた場合にする供託について、次の2つの例に基づき、説明します。
(1) 1つの差押命令の送達を受けた場合
Xが甲に対して100万円の金銭債権を、甲が乙に対して100万円の金銭債権をそれぞれ有している場合を例として考えてみます。
Xが甲に対する債権について、債務名義(判決や公正証書等)を有している場合、債権者Xは、甲の乙に対する債権を差し押さえることができます。裁判所の差押命令が第三債務者乙に送達されると、第三債務者乙は甲に弁済することが禁止されます。このような場合には、民事執行法第156条第1項により、第三債務者乙は、差押えに係る金銭債権の全額に相当する金銭(この場合には100万円)を供託することができます。供託をするかしないかは、乙の判断によります。乙が供託しないでXの差押命令が送達された日から1週間が経過したときは、Xは差し押さえた債権を乙から取り立てることができるようになります(民事執行法第155条第1項)。ただし、弁済期が到来していることが前提となります。
このように、裁判所からの差押命令の送達を受けた第三債務者乙は、100万円の債務の履行期が到来したときは、100万円全額をその債務の履行地の供託所に供託するか、又は債権者Xの取立てに応じて100万円を支払うか、いずれでも差し支えないということになります。
(2) 2つ以上の差押命令の送達を受けて、差押えが競合した場合
甲が乙に対して有する100万円の金銭債権について、甲の債権者であるXから、まず60万円の差押えを受けると、残りは40万円となりますが、この40万円を超えて新たな差押えがされることを「差押えの競合」といいます。例えば、Xからの差押え後、更に甲の別の債権者であるYから50万円の差押えがされた場合、Xの60万円の差押えの効力も、Yの50万円の差押えの効力も、いずれも甲の債権100万円の全てに及ぶものとされています。
このように、差押えが競合した場合には、第三債務者乙は、必ず金銭債権の全額に相当する金額を供託しなければなりません。
なお、Yの差押命令が送達される前であれば、競合という問題は生じませんから、(1)と同じように考えることができます。すなわち、Xが乙に対して債権差押命令に基づいて60万円を取り立てることは可能であり(民事執行法第155条第1項)、また、取立ての前であれば、乙は100万円を供託することもできます(同法第156条第1項)。
(1)、(2)の場合において、供託をしたときは、第三債務者乙は、その事情を執行裁判所(差押命令を発した裁判所)に届けなければなりませんので、御注意ください。 - 供託手続
供託をする場合には、その他の金銭供託用の供託書(各供託所に備え付けられています。)に必要事項を記載し、これに供託物を添えて、債務履行地(支払場所)の供託所(一般に、給与債権は、労働契約における特約等がない限り、勤務地において支払うべき取立債務と解されていますので、勤務地の供託所(勤務地に供託所がない場合は、勤務地を包括する行政区画内(都道府県)にある最寄りの供託所))において供託手続を行う必要があります。
なお、御自宅等のパソコンから、インターネットを利用して、供託をすることも可能です。詳しくは、法務省ホームページの「オンラインによる供託手続について」を御覧ください。
供託金の提出方法等については、Q20、Q21、Q22を御覧ください。 - 供託書の記載方法
供託書の記載例は、法務省ホームページの「供託書等の記載例」を御覧ください。
なお、上記については、供託制度についての動画案内『供託の事例「執行供託」』において、分かりやすく説明していますので御覧ください。
【Q36】従業員の給与について裁判所から差押命令が送達された場合に雇用主がする供託は、どのようにしたらよいのですか。
A
- 執行供託
従業員の給与債権が差し押さえられると、給与債権について債務者の立場にある雇用主(以下「第三債務者」といいます。)に、裁判所からの差押命令書が送達されます。この場合に第三債務者が行う供託を、執行供託といいます。
執行供託がされると、裁判所による配当手続が開始され、債権者に対する配当額の支払は、裁判所からの支払委託に基づいて供託所が行うことになります。 - 第三債務者の従業員である差押債務者が給与の支払期に受けるべき給付の4分の3に相当する部分(その額が民事執行法施行令第2条で定める額を超えるときは、同条で定める額に相当する部分、債権者が扶養義務等に係る定期金債権を請求するときは、2分の1に相当する部分)については、差押えが禁止されていますので、裁判所の差押命令は、これを除いた額(以下「差押可能額」といいます。)の範囲内で行われることになります。
(1) この差押可能額の一部に対し差押えがされた場合には、第三債務者は、差し押さえられた金額に相当する額を供託することができるほか、差押えに係る給与債権の手取額の全額を供託することもできます。
(2) 差押可能額の全額に対し差押えがされた場合には、第三債務者は、差押えに係る給与債権の差押可能額の全額を供託することができるほか、差押えに係る給与債権の手取額の全額を供託することもできます。
(3) 差押えが競合した場合には、供託義務を生ずる場合があります(民事執行法第156条第2項)ので、注意を要します。
なお、ここでいう「手取額」又は「支払期に受けるべき給付」とは、給与所得から所得税、住民税及び社会保険料等法律上当然に控除すべきもの(法定控除額)を控除した実質賃金である手取額をいいます。給与から天引きされている住宅ローン、団体生命保険料等の私的な契約に基づくものは、原則として、法定控除額には含まれず、これを差し引いた額を供託することはできません。 - 供託手続
供託をする場合には、その他の金銭供託用の供託書(各供託所に備え付けられています。)に必要事項を記載し、これに供託物を添えて、債務の履行地(支払場所)の供託所(一般に、給与債権は、労働契約における特約等がない限り、勤務地において支払うべき取立債務と解されていますので、勤務地の供託所(勤務地に供託所がない場合は、勤務地を包括する行政区画内(都道府県)にある最寄りの供託所))において、供託手続を行う必要があります。
なお、御自宅のパソコンから、インターネットを利用して、供託をすることも可能です。詳しくは、法務省ホームページの「オンラインによる供託手続について」を御覧ください。
供託金の提出方法等については、Q20、Q21、Q22を御覧ください。 - 供託書の記載方法
供託書の記載例は、法務省ホームページの「供託書等の記載例」を御覧ください。
なお、上記については、供託制度についての動画案内『供託の事例「執行供託」』において、分かりやすく説明していますので御覧ください。
【Q37】公職選挙法に基づく立候補の届出のためにする供託は、どのようにしたらよいのですか。
A
- 選挙供託
各種の選挙において公職の候補者になろうとする者、候補者を推薦しようとする者、その団体に属するものを候補者としようとする政党その他の団体(以下「候補者届出政党」といいます。)は、当該選挙の期日の公示又は告示があった日に、文書でその旨を当該選挙長に届け出る必要があり、この届出をするためには、立候補届出人等は、立候補しようとする選挙の区分に応じ、定められている額の金銭又はそれに相当する額面の国債証券(振替国債を含みます。)を供託しなければなりません。
また、衆議院及び参議院の比例代表選出議員の選挙においては、一定の要件を満たす政党その他の政治団体が、その名称並びにその所属する者の氏名及びそれらの間における当選人となるべき順位を記載した名簿を選挙長に届け出ることにより、名簿登載者を当該選挙における候補者とすることができますが、これらの場合も、定められている額の金銭又はこれに相当する額面の国債証券(振替国債を含みます。)を供託しなければなりません。 - 供託手続
供託をする場合には、その他の金銭供託用の供託書(各供託所に備え付けられています。)に必要事項を記載し、供託所において、供託手続を行う必要があります(国債証券又は振替国債を供託することもできます。)。
なお、選挙供託は、選挙の区別等に関係なく、執務時間中であれば、全国どこの供託所でも供託することができます。
ただし、立候補届出日又は補充立候補届出期間の末日が土曜日、日曜日その他の休日に当たる場合には、法務局又は地方法務局の長が指定する供託所でなければ、供託することができません。 - 供託書の記載方法
供託書の記載例は、法務省ホームページの「供託書等の記載例」を御覧ください。
供託物の払渡請求手続について
Q38.供託物払渡請求に関する一般的事項について
Q39.供託物払渡請求に必要な手数料について
Q40.郵送による払渡請求について
Q41.オンラインによる供託物払渡請求について
Q42.供託物払渡請求に必要な書類について
Q43.供託金の受取方法について
Q44.弁済供託の取戻請求手続について
Q45.弁済供託の還付請求手続について
Q46.弁済供託において取戻しができない場合について
Q47.反対給付が付された供託物の払渡請求手続について
Q48.相続人からの払渡請求手続について
Q49.営業保証供託の取戻請求手続について
Q50.営業保証供託の還付請求手続について
Q51.裁判上の担保(保証)供託の取戻請求手続について
Q52.裁判上の担保(保証)供託の還付請求手続について
Q53.執行供託(配当金)の払渡請求手続について
Q54.選挙供託の取戻請求手続について
Q55.供託物払渡請求権の消滅時効について
Q55-1.令和2年4月1日以降に供託された供託金の5年の消滅時効について
Q56.供託有価証券の償還金請求権の消滅時効について
Q57.被害弁償金の取戻請求権について(供託受諾・請求権の放棄)
【Q38】供託物の払渡請求は、どのようにしたらよいのですか。
A供託物の払渡請求をするには、供託物払渡請求書(供託所に備え付けられているほか、法務省ホームページの「供託物の払渡しの請求」からダウンロードすることもできます。)に必要事項を記載して、所定の添付書類と共に供託所に提出(郵送による提出も可能です。)する必要があります。また、御自宅等のパソコンから、インターネットを利用して、払渡請求をすることも可能です。詳しくは、法務省ホームページの「オンラインによる供託手続について」を御覧ください。
供託物の払渡請求は、請求者本人がする必要がありますが、代理人や使者(請求者の御家族の方や会社の従業員等)による請求も、認められています。
供託物の払渡しには、「還付」と「取戻し」の2種類の手続があります。
「還付」とは、供託関係に基づく権利者である被供託者(例えば、地代・家賃の弁済供託で地主・家主の立場にある者)に対して供託物を払い渡すことをいい、「取戻し」とは、供託原因の消滅などによって供託者に対して供託物を払い渡すことをいいます。
供託物の払渡しを請求する場合、「還付」と「取戻し」のどちらの請求となるかによって、払渡しの請求が認められる要件や必要な添付書類が異なりますので、注意が必要です。
還付請求が認められるためには、次のような要件を満たしていることが必要となります。
1 被供託者が確定していること。
2 被供託者の供託物に対する実体上の請求権が確定していること。
3 被供託者の権利が条件付きの権利であるときは、その条件が成就していること。
取戻請求が認められるのは、次のいずれかに該当する場合となります。
1 供託が錯誤の供託であって、無効であるとき。
2 供託後に供託原因が消滅したとき。
3 弁済供託において、被供託者が供託を受諾せず、又は供託を有効と宣告した判決が確定していないとき。
供託物払渡請求書の記載例は、法務省ホームページの「供託書等の記載例」を御覧ください。
【Q39】供託物の払渡請求をするのに、手数料は必要となりますか。
A供託物の払渡請求自体には、手数料は必要ありません。ただし、郵送により払渡請求をする場合には、郵券が必要となります。また、オンラインによる供託物の払渡請求をする場合には、電子証明書を取得するための費用(専用ソフトウエアの購入代金、電子証明書の発行手数料等)がかかります。
また、営業保証のために供託した供託物の取戻請求において、その前提として、官報公告が義務付けられている場合(例:宅地建物取引業法第30条第2項、旅行業法第9条第8項等)には、その公告費用が必要になります。
【Q40】供託金の払渡請求を、郵送ですることはできますか。
A供託金の払渡請求は、郵送ですることもできます。
郵送で供託金の払渡請求をする場合には、必要事項を記載して作成した供託物払渡請求書を、所定の添付書類と共に供託所に郵送してください。供託所での手続が完了すると、国庫金振込通知書が送付され、御指定の金融機関の預貯金口座に入金がされます。
供託物の払渡請求の際に必要な書類については、Q42を御覧ください。
なお、供託物払渡請求書は、法務省ホームページの「供託物の払渡しの請求」からダウンロードできますので、印刷して御利用ください。
【Q41】オンラインで供託物の払渡請求をするには、どのようにしたらよいのですか。
A供託物の払渡請求は、インターネットを利用し、オンラインによって、することもできます。オンラインによる払渡請求は、供託所の窓口に赴く必要がなく、御自宅等のパソコンから払渡請求手続を行うことができます。この場合、供託金は、御指定の預貯金口座に振り込まれます。
オンラインによる払渡請求をする場合には、申請書情報に電子署名を行う必要があることから、申請用総合ソフト等の申請用のソフトウェアを用いて申請する必要があります。
オンラインによる払渡請求の詳細については、「供託ねっと」又は法務省ホームページの「オンラインによる供託手続について」を御覧ください。
なお、供託制度についての動画案内「オンラインによる供託の申請」においても、オンラインによる供託手続を分かりやすく説明していますので、御覧ください。
【Q42】供託物の払渡手続に必要な書類には、どのようなものがありますか。
A供託物の払渡請求には、被供託者が行う還付請求と、供託者が行う取戻請求とがあり、それぞれ、必要な書類が異なります。
- 還付請求・取戻請求に共通するもの
(1) 供託物払渡請求書
供託物払渡請求書(供託所に備え付けられているほか、法務省ホームページの「供託物の払渡しの請求」からダウンロードすることもできます。)に必要事項を記載して、所定の添付書類とともに供託所に提出します。
(2) 印鑑証明書
供託物払渡請求書又は委任による代理人の権限を証する書面に押された印鑑につき、市区町村長又は登記所の作成した印鑑証明書(作成後3か月以内のものに限られます。)の添付が必要となります。ただし、請求者が官庁又は公署である場合、請求者が個人である場合において、運転免許証、マイナンバーカード等を提示し、かつ、その写しを添付することにより、その者が本人であることを確認することができるとき等には、添付を要しません。
(3) 資格証明書
請求者が登記された法人である場合において、当該法人が登記申請中であり、その登記が完了していないときは、払渡請求の際に、代表者の資格を証する登記事項証明書の提示が必要となります。
請求者が登記された法人以外の法人であるときは、関係官庁が作成した代表者の資格を証する書面の添付が必要となります。
請求者が法人でない社団又は財団であって、代表者又は管理人の定めのあるものであるときは、当該社団又は財団の定款又は寄附行為及び代表又は管理人の資格を証する書面を供託物払渡請求書に添付しなければなりません。
これらの書面については、作成後3か月以内のものに限られます(※)。
(※)供託者が法人でない社団又は財団であって、代表者又は管理人の定めのあるものである場合で、かつ、当該社団等の代表者又は管理人の資格を証する書面として、当該代表者又は管理人に係る選任決議の議事録等を添付する場合に、当該議事録等が3か月以内に作成されたものでないときには、その代表者が変更していないことを証する書面(作成後3か月以内のもの)の添付が必要となります。 詳しくは、各供託所(「供託所一覧表」参照)にお問い合わせください。
(4) 代理人の権限を証する書面
代理人によって払渡請求をするときは、代理人の権限を証する書面(委任状等)の添付が必要です。
(5) 承継人であることを証する書面
請求者が権利の承継人であるときは、戸籍・除籍謄本等、承継人であることを証する書面
(6) 住所氏名の変更等を証する書面
住所氏名の変更又は供託申請の際に住所氏名を誤記したときは、住所氏名の変更を証する戸籍・住民票の写し又は不在住・不在籍証明書等
- 還付請求の場合
(1) 還付を受ける権利を有することを証する書面
還付を受ける権利を有することを証する書面とは、例えば、次のようなものです。
ア 被供託者をA又はBとして債権者不確知を原因として供託されている場合において、その一方が還付請求をするときは、他の被供託者の同意書又は確定判決等
イ 営業保証供託の場合において、債権者から還付請求をするときは、請求権者が営業保証供託した者との当該営業上の取引によって生じた債権を有することを証する当該業者の債務確認書、確定判決等
このように、還付を受ける権利を有することを証する書面には、同意書、確定判決、和解調書、調停調書、公正証書等があり、個々の場合に応じて、提出すべき書面の種類も、様々です。
(2) 反対給付の履行を証する書面
供託書に記載されている反対給付の内容によって異なりますが、例えば、家賃の支払と家屋修繕義務とが反対給付の関係にある場合等には、通常、供託者の証明書等を添付します。
- 取戻請求の場合
(1) 供託が錯誤であることを証する書面
弁済供託の場合は、被供託者の証明書、裁判上の保証供託の場合は裁判所の証明書等が考えられますが、その他、確定判決で証明される場合もあります。
(2) 供託原因が消滅したことを証する書面
裁判上の保証供託の場合は、担保取消決定と確定証明書又は供託原因が消滅した旨の裁判所の証明書、営業保証供託の場合は、廃業等により供託原因が消滅したことを証する主務官庁の証明書等を添付します。
このように、供託物の払渡手続に必要な書類は、個々の事案により異なりますので、詳しくは、払渡請求をする供託所(「供託所一覧表」参照)にお問い合わせください。
(注) オンラインによる供託手続において提示又は添付する書面の取扱いについては、「供託ねっと」又は法務省ホームページの「オンラインによる供託手続について」を御覧ください。
【Q43】払渡しを受ける供託金の受取方法について、教えてください。
A供託金は、次のいずれかの方法で受け取ることができます。
- 「小切手の振出し」による手続
供託金払渡請求が認可されると、供託官は、小切手(日本銀行宛ての記名式持参人払式小切手)を振り出します。交付された小切手は、交付の日から1年以内に日本銀行に提示して現金化し、又は市中金融機関を通じてその取立てをすることができます。
なお、日本銀行の窓口受付時間は午後3時までとされており、また、現金を受け取る際には、裏書受領の署名が必要となりますので、御注意ください。 - 「預貯金振込み」の方法による手続
請求者が希望するときは、小切手の交付に代えて、日本銀行が指定した銀行その他の金融機関における請求者又はその代理人の預貯金口座に振り込む方法により、供託金の払渡しを受けることができます。
この手続は、例えば、遠方にお住まいのため供託所へ行くことができない場合のほか、郵送により供託金の払渡請求をする場合や、供託金が多額の場合等に便利です。ただし、手続上、払渡請求があってから供託金が預貯金口座に振り込まれるまでに1週間程度かかる場合がありますので、御了承いただきますよう、お願いします。 - 「隔地払」の方法による手続
請求者が希望するときは、請求者の利便を考慮して、その住所地又は最寄りの銀行で供託金の支払手続を受けることができます。例えば、供託所のあるA県の日本銀行支店でなく、B県の日本銀行支店又は日本銀行の指定するC県のD銀行で支払手続を受けることができます。
ただし、請求者の住所が供託官が振り出す小切手の支払店である日本銀行(本店・支店又は代理店)の所在地と同一の市町村内にある場合には、この手続は認められません。
【Q44】弁済供託の供託物取戻請求手続は、どのようにしたらよいのですか。
A供託物の取戻しの請求をするときは、供託所に備え付けられた供託物払渡請求書に必要事項を記載して、所定の添付書類と共に、供託がされている供託所に提出します。
添付書類は、請求者の印鑑証明書(作成後3か月以内のものに限られますが、請求者が個人の場合には、運転免許証等の提示及びその写しの添付により、本人であることを確認することができるときは、省略することができます。)のほか、会社等の法人が請求するときは作成後3か月以内の代表者の資格を証する登記事項証明書、供託者の承継人が請求するときは戸籍・除籍謄本等承継人であることを証する書面、代理人によって請求するときは代理人の権限を証する書面(委任状等)が必要となります。また、供託者が被供託者の供託不受諾を理由に取戻請求をする場合は、特に証明資料の添付は必要ありませんが、例えば、被供託者の氏名を「甲」とすべきを、甲の同居の家族の「乙」と誤記したときや、供託すべき金額を誤った場合など、錯誤を理由に取戻請求をするときは、錯誤を証する書面の添付が必要となります。
供託物が取り戻されると、供託は最初からなかったものとみなされ、債務は消滅しなかったことになります。
なお、弁済供託の供託者が供託物の取戻しをすることができない場合もありますので、御注意ください。(→Q46を参照)
添付書類等、御不明な点がありましたら、払渡請求をする供託所(「供託所一覧表」参照)にお問い合わせください。
【Q45】弁済供託の供託物還付請求手続は、どのようにしたらよいのですか。
A
- 受領拒否及び受領不能による弁済供託がされている場合
受領拒否及び受領不能により弁済供託がされている供託物について還付を請求するときは、供託物払渡請求書に必要事項を記載して、所定の添付書類と共に、供託がされている供託所に提出します。
添付書類は、請求者の印鑑証明書(作成後3か月以内のものに限られますが、請求者が個人の場合には、運転免許証等の提示及びその写しの添付により、本人であることを確認することができるときは、省略することができます。)のほか、会社等の法人が請求するときは作成後3か月以内の代表者の資格を証する登記事項証明書、被供託者の承継人が請求するときは戸籍・除籍謄本等承継人であることを証する書面、代理人によって請求するときは代理人の権限を証する書面(委任状等)が必要となります。 - 債権者不確知による弁済供託がされている場合
債権者不確知により弁済供託がされている供託物について還付を請求するときは、供託物払渡請求書に必要事項を記載して、上記と同様の書面のほか、還付を受ける権利を有することを証する書面を添付して、供託所に提出する必要があります。
還付を受ける権利を有することを証する書面とは、例えば、次のようなものが該当します。
(1) 被供託者を「甲の相続人」とする供託では、戸籍謄本等、相続人であることを証する書面
(2) 被供託者を「甲又は乙」とする供託において、甲又は乙が還付請求をするときは、請求者が権利者であることを認める相手方の承諾書(承諾書に押印された印鑑につき作成後3か月以内の印鑑証明書の添付を要する。)又は甲・乙間の訴訟の確定判決書謄本、和解調書謄本等
添付書類等、御不明な点がありましたら、払渡請求をする供託所(「供託所一覧表」参照)にお問い合わせください。
【Q46】弁済供託において供託者が供託物を取り戻すことができない場合について、教えてください。
A弁済供託の供託者は、次のような場合は、供託物の取戻しをすることができません。
- 被供託者(債権者)が供託を受諾したとき。
受諾の意思表示は、供託所又は債務者に対してする必要があります。供託所に対して受諾の意思表示をするときは、「供託を受諾する」旨を記載した書面を提出しなければなりません。
なお、供託所に対して供託金の還付請求権の譲渡通知書が送付された場合は、その譲渡通知書の記載内容から供託受諾の意思表示であると認められることもあります。 - 供託を有効と宣告した判決が確定したとき。
被供託者が供託を有効と宣告した確定判決の謄本を供託所に提出した場合は、取戻しをすることができません。 - 供託によって質権又は抵当権が消滅したとき。
債務者が供託することによって、債務は一旦消滅し、その債務を担保する質権や抵当権も全て消滅します。その後、供託物が取り戻されると、その債務が復活することとなりますが、当該債務を担保する担保物権も復活するとすると、供託後、取戻しの前に同じ目的物の上に抵当権を取得したような第三者に不測の損害を及ぼすおそれがあります。そのため、供託によって質権又は抵当権が消滅したときは、供託物の取戻しをすることができません。 - 供託物取戻請求権が時効により消滅したとき。
供託の種類を問わず、供託物払渡請求権の消滅時効の時効期間は、供託金の払渡請求をすることができることを知った時から5年又は供託金の払渡請求をすることができる時から10年とされています。消滅時効の起算点は、事案により異なりますので、詳しくは、各供託所にお問い合わせください。 - 供託者が供託物取戻請求権を放棄したとき。
放棄の意思表示は、供託所又は債権者に対してする必要があります。供託所に対して放棄の意思表示をするときは、「供託物取戻請求権を放棄する」旨を記載した書面(原則として、印鑑証明書の添付が必要です。)を提出しなければなりません。
【Q47】反対給付が付された供託物の払渡請求手続は、どのようにしたらよいのですか。
A被供託者が供託者に対して反対給付をすべき場合には、供託物払渡請求書に「反対給付があったことを証する書面」を添付して、払渡請求をする必要があります。
- 反対給付を付した供託
例えば、建物の賃貸借契約では、借家人が賃料の支払義務を負う反面、家主は借家人に家屋を引き渡し、使用収益させる義務を負い、また、建物の修繕義務を負っています。これらの家主の義務を、反対給付といいます。
例えば、家主が建物の修繕義務を履行しない場合に、供託の原因が発生し、借主が供託をする際に、借主は供託書の「反対給付の内容」欄にその旨を記載して、家主が建物の修繕義務を履行するまでは供託物を受け取ることができないようにすることができます。 - 反対給付があったことを証する書面
反対給付があったことを証する書面は、供託者が作成した書面や確定判決、公正証書等であり、供託書に記載された反対給付がされたことを明らかにするものであることが必要です。
例えば、建物の修繕を反対給付の内容とする場合においては、供託者の作成による建物の修繕を完了したことを証する書面等がこれに該当します。
【Q48】私の父は、市内にマンションを所有しており、家主として家賃収入で生計を営んでいましたが、先月、病気で亡くなりました。先日、父の遺品を整理していたところ、父宛ての供託通知書が見つかり、父を被供託者として家賃が供託されていたことが分かりました。
父の相続人として、この供託金を受け取りたいのですが、どのようにしたらよいでしょうか。
A供託者又は被供託者が亡くなられた場合は、供託物払渡請求権を承継した相続人(相続人が不明の場合は、相続財産管理人)は、供託がされている供託所に対し、供託金の払渡請求をすることができます。この場合、供託金払渡請求書には、供託者又は被供託者自身が払渡請求をする場合に必要な書面(→Q44、Q45を参照)のほか、相続を証する書面を添付する必要があります。相続人が払渡請求をする場合に添付する必要がある主な書面は、一般的には、次のようなものがあります。
〈添付書面の例〉
1 法定相続情報一覧図の写し(https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000013.html)
2 法定相続情報一覧図の写しの添付がない場合は、次に掲げる被相続人及び相続人の戸籍又は除籍の謄本等
(1) 被相続人(亡くなった方)の生まれてから亡くなられるまでの除籍(又は戸籍)謄本
(2) 相続人全員の戸籍謄(抄)本
(3) 被相続人の除住民票(本籍地の記載のあるもの)又は戸籍の附票
※ 法定相続情報一覧図の写しを添付した場合であっても、当該法定相続情報一覧図の写しに記載されている
被相続人の最後の住所の表示と供託書に記載された被相続人の住所の表示とが一致しないときは、添付を
要する場合があります。
3 相続関係説明図(上記1又は2の(1)若しくは(2)の書類の返戻を希望される場合)
上記の例のほか、法定相続情報一覧図又は戸籍に記載された相続人と払渡請求者とが同一人であることを確認するための書面として、相続人の戸籍(法定相続情報一覧図の写しが添付された場合)及び払渡請求者の住民票(本籍地の記載のあるもの)又は戸籍の附票の添付が必要となる場合があります。
また、協議による遺産分割の場合は「遺産分割協議書」、裁判所の調停又は審判による遺産分割の場合は「調停調書又は確定した審判等」、遺言による場合は「遺言書」等の書面が必要となります。
相続の形態によって、必要な書面も異なりますので、手続の詳細については、各供託所(「供託所一覧表」参照)にお問い合わせください。
【Q49】営業保証供託の供託物取戻請求手続は、どのようにしたらよいのですか。
A
- 営業保証供託における供託物の取戻し
営業保証金を供託した者が(1)営業を廃止した場合、(2)営業の許可、免許又は登録等を取り消された場合、(3)一部の営業所等を廃止したため営業保証金の額が法定の額を超えることとなった場合、その他営業保証金の全部又は一部について供託をしておく必要性がなくなった場合には、供託した営業保証金の全部又は一部を取り戻すことができます。 - 供託物取戻手続
営業保証供託の供託物の取戻しを請求するときは、供託物払渡請求書に必要事項を記載して、所定の添付書類と共に、供託がされている供託所に提出します。
添付書類は、請求者の印鑑証明書(作成後3か月以内のものに限られます。)のほか、取戻しをする権利を有することを証する書面として、関係官庁等が発行する、供託原因が消滅したことを証する証明書等(注)が、また、代理人によって請求する場合には、代理人の権限を証する書面(委任状等)の添付がそれぞれ必要となります。
(注) 例えば、旅行業者が営業を廃止したことにより供託した営業保証金を取り戻す場合には、(1)営業を廃止した旨を主務官庁に届け出て、(2)担保権者の有無を確かめるための催告手続を経た上で、(3)主務官庁から証明書の交付を受ける必要があります。
添付書類等、御不明な点がありましたら、払渡請求をする供託所(「供託所一覧表」参照)にお問い合わせください。
【Q50】営業保証供託の供託物還付請求手続は、どのようにしたらよいのですか。
A営業保証金を供託した事業者との取引によって債権を取得した者又はその営業活動により損害を受けた者は、供託された営業保証金の担保権者として、供託所に対して供託物の還付請求をすることができます。
営業保証金の還付を受けるには、次の1又は2の方法があります。
- 個別の還付請求手続
担保権者は、各業法に特別の定めがない場合には、供託法令上の手続に従って、各自が随時その権利を証明して供託物の還付請求をすることができます。請求者は、供託物払渡請求書に必要事項を記載して、所定の添付書類と共に、供託がされている供託所に提出します。
添付書類は、請求者の印鑑証明書(作成後3か月以内のものに限られますが、請求者が個人の場合は、運転免許証等の提示及びその写しの添付により、本人であることを確認することができるときは、省略することができます。)のほか、還付を受ける権利を有することを証する書面として、取引から生じた債権であることを証明する確定判決、和解調書、調停証書又は事業者の債務承認書(事業者の印鑑証明書等により、真正に作成されたことが担保できるもの)等及び請求者の印鑑証明書等が、代理人により請求する場合には、代理人の権限を証する書面(委任状等)の添付がそれぞれ必要となります。 - 配当による還付請求手続
前払式支払手段発行業、資金移動業、許可割賦販売業等の特定の根拠法令においては、担保権者の権利実行の方法として、競合する多数の債権者について平等の満足を与えるため、関係官庁等の行う特別の配当手続を経た上で、供託物を還付請求すべきことが定められています。
この場合には、担保権者は、関係官庁等に対して権利実行の申立てをし、関係官庁等が配当表を作成の上、支払委託書を供託所に送付し、同時に、債権者には配当を受ける者である旨の支払(配当)証明書を交付します。
この場合の供託物の還付請求手続は、上記と同様です。
添付書類等、御不明な点がありましたら、払渡請求をする供託所(「供託所一覧表」参照)にお問い合わせください。
【Q51】裁判上の担保(保証)供託の供託物取戻請求手続は、どのようにしたらよいのですか。
A
- 供託者による取戻請求
供託者が裁判上の担保(保証)供託の取戻請求をするときは、供託物払渡請求書に必要事項を記載して、所定の添付書類と共に、供託がされている供託所に提出します。
添付書類は、請求者の印鑑証明書(作成後3か月以内のものに限られますが、請求者が個人の場合は、運転免許証等の提示及びその写しの添付により、本人であることを確認することができるときは、省略することができます。)のほか、取戻しをする権利を有することを証する書面として、供託原因消滅証明書の添付が、また、代理人によって請求する場合には、代理人の権限を証する書面(委任状等)がそれぞれ必要となります。
供託原因消滅証明書としては、裁判所の担保取消決定書の正本及びその確定証明書、供託原因の消滅を証する裁判所の証明書等がこれに該当します。 - 担保権利者による取戻請求
担保権利者は、他の債権者と同じように、供託者の供託物取戻請求権を差し押さえて転付命令を得た上で、この権利を行使することができます。
個々の事案により、必要書類が異なりますので、詳しくは、各供託所(「供託所一覧表」参照)にお問い合わせください。
【Q52】裁判上の担保(保証)供託の供託物還付請求手続は、どのようにしたらよいのですか。
A裁判上の担保(保証)供託の担保権者が供託物の還付請求をするときは、供託物払渡請求書に必要事項を記載して、所定の添付書類と共に、供託がされている供託所に提出します。
添付書類は、請求者の印鑑証明書(作成後3か月以内のものに限られますが、請求者が個人の場合は、運転免許証等の提示及びその写しの添付により、本人であることを確認することができるときは、省略することができます。)のほか、還付を受ける権利を有することを証する書面の添付が、また、代理人によって請求する場合には、代理人の権限を証する書面(委任状等)が必要となります。
被担保債権の存在を証する書面としては、確定判決又はこれと同一の効力を有する和解調書、調停調書、確定した仮執行宣言付支払督促、公正証書等がこれに該当します。
なお、個々の事案により、必要書類が異なりますので、詳しくは、各供託所(「供託所一覧表」参照)にお問い合わせください。
【Q53】裁判所から、供託金の配当証明書の交付を受けました。供託金の払渡しを受けたいのですが、どのような手続を行えばよいのですか。
A民事執行手続においては、その執行の目的物を供託所に供託した上で、供託所により目的物を管理し、その後これを執行当事者に交付する場合があります。このような執行目的物の供託を「執行供託」といいます。
- 配当手続
執行供託がされた場合、執行裁判所は、配当等を実施しなければならないとされています。
配当等の実施は、執行裁判所の書記官が支払委託書を供託所に送付し、同時に、各債権者又は債務者に配当証明書を交付することになります。 - 供託金払渡手続
支払委託に基づく供託金の払渡しを請求する場合は、供託物払渡請求書に必要事項を記載して、所定の添付書類と共に、供託がされている供託所に提出します。
添付書類は、請求者の印鑑証明書(作成後3か月以内のものに限られますが、請求者が個人の場合は、省略することができる場合があります。)が、代理人により請求する場合には、代理人の権限を証する書面(委任状等)がそれぞれ必要となります(注)。
なお、支払委託書が供託所に送達された後でなければ、供託金の払渡しを受けることができませんので、御注意ください(配当証明書の交付後、すぐに供託金の払渡しを受けようとする場合は、あらかじめ、支払委託書が送達されているかどうかを供託所に御確認ください。)。 - (注)供託所に保管されている支払委託書の記載から払渡しを受けるべき者であることが明らかとならない場合には、配当証明書の添付が必要となります。
【Q54】選挙供託の供託物払渡請求手続は、どのようにしたらよいのですか。
A公職選挙法に基づく立候補の届出のためにした供託の目的物である供託金は、法定得票数に達しなかった場合等、一定要件を満たさないときは没取されますが、それ以外の場合は、供託者が取り戻すことができます。
供託者が供託金の取戻しを請求するときは、供託物払渡請求書に必要事項を記載して、所定の添付書類と共に、供託がされている供託所に提出します。
添付書類は、請求者の印鑑証明書(作成後3か月以内のものに限られますが、請求者が個人又は登記されていない政党その他の団体の場合は、省略することができます。)及び選挙長の供託原因消滅証明書のほか、取戻請求をする者が政党その他の団体である場合には、原則として、作成後3か月以内の代表者の資格を証する書面(法人格を有しない政党その他の団体である場合において、代表者が公職選挙法の規定による政党等の名称等の届出に基づく告示の代表者と同一であるときは、当該告示の写しをもって、取戻請求権についての代表者の資格を証する書面とすることができます。)が、代理人により請求する場合には、代理人の権限を証する書面(委任状等)がそれぞれ必要となります。
なお、供託原因消滅証明書の選挙長の証明年月日は、選挙の日から、(1)地方公共団体の長又は議員の選挙の場合は14日、(2)衆議院又は参議院の議員の選挙の場合は30日を経過した後でなければなりませんので、御注意ください。
【Q55】供託金の払渡請求権が時効により消滅することはありますか。
Aあります。供託金の払渡請求権が消滅すると、供託官は供託金をお支払いすることができませんので、御注意ください。時効の期間については次のとおりです。
(令和2年4月1日以降に供託されている場合)
例えば、地代・家賃等の弁済供託の場合、供託金の還付請求権及び取戻請求権共に、供託者又は被供託者がその権利を行使することができることを知った時から5年又はその権利を行使することができる時から10年が経過すると、時効により消滅します。
また、裁判上の保証供託や営業保証供託の取戻請求権は、原則として、供託原因が消滅し、払渡請求をすることができることを知った時から5年又は払渡請求をすることができる時から10年が経過すると、時効により消滅します。
(令和2年3月31日以前に供託されている場合)
例えば、地代・家賃等の弁済供託の場合、供託金の還付請求権及び取戻請求権共に、供託者又は被供託者がその権利を行使することができる時から10年が経過すると、時効により消滅します。
また、裁判上の保証供託や営業保証供託の取戻請求権は、原則として、供託原因が消滅し、払渡請求をすることができる時から10年が経過すると、時効により消滅します。
なお、取戻請求権者や還付請求権者が供託関係書類を閲覧したり(→Q58)、供託官から供託証明書の交付を受ける(→Q59)ことにより、時効は更新します。詳しくは、各供託所(「供託所一覧表」参照)にお問い合わせください。
【Q55-1】令和2年4月1日以降に供託された供託金の払渡請求権が5年の時効により消滅することはありますか。
Aあります。供託官において、払渡請求者がその権利を行使することができることを知った時から5年が経過したと判断できる場合には、払渡請求権は消滅しているとして供託金をお支払いすることができないと考えられます。
ただし、時効の更新がある場合も考えられますので、詳しくは、各供託所(「供託所一覧表」参照)にお問い合わせください。
【Q56】営業保証金として国債証券を供託していますが、供託した有価証券の償還金請求権が、時効により消滅することはありますか。
A営業保証金や裁判上の保証金として、国債証券(平成15年1月以降に発行されている国債(振替国債)は除きます。)、地方債証券、その他法令等で定められた有価証券を供託している場合には、これらの有価証券の償還日の翌日から10年を経過すると、償還金請求権が時効により消滅し、現金化することができなくなります。
また、利付国庫債券の利札は、利札の渡期から5年を経過すると、償還金請求権が時効により消滅し、現金化することができなくなります。
これらの有価証券を供託している方は、償還期又は利札の渡期について、十分注意して管理されますようお願いします。
なお、供託者は、供託されている有価証券の償還金請求権の消滅時効の完成を避けるため、(1)供託物を他の有価証券又は金銭に差し替えて、従前の供託物を取り戻すこと(供託物の差替え)、又は(2)有価証券を供託したまま供託所内部の手続により償還を受け、その償還金を継続して供託の対象とすること(代供託)ができます。手続の詳細につきましては、各供託所(「供託所一覧表」参照)にお問い合わせください。
【Q57】私は、数か月前に路上強盗の被害に遭い、現金5万円入りの財布が入ったハンドバッグを奪われた上、殴られて顔の骨を折り、1か月間入院しました。
この事件に関しては、先月、検察庁から犯人Aが捕まり強盗致傷罪で起訴されたとの連絡を受けていたのですが、今月に入り、Aは、弁護士を通じ、私に対する被害弁償金及び慰謝料として、50万円を支払いたいと言ってきました。私は、Aには誠意が全く認められず、また、このような金額では全く納得することができないので、弁護士に対し、裁判が終わるまでは、被害弁償の一部としても、受け取らないと伝えたところ、Aは、私が受取を拒否したことを理由として50万円を供託しました。
私としては、Aに判決が出た後で、供託金の払渡しを受けようと考えています。何か注意することは、ありますか。
A今のままでは、Aは、供託金の取戻請求をすることが可能となります。そのため、例えば、判決が出たとしても、その後、Aがすぐに供託金を取り戻してしまう可能性があり、そうすると、最悪の場合、Aから弁償金等の一部としても、その支払を受けられなくなるおそれが生じます。
この供託金の取戻しを防ぐ方法としては、供託金取戻請求権を放棄させる方法又は供託の受諾をする方法があります。
供託金取戻請求権を放棄させる方法としては、話合いや裁判等の場で、加害者側に供託金取戻請求権を放棄するよう主張することが考えられます。
供託の受諾をする場合は、供託を受諾する旨を記載した書面(供託受諾書)を供託所に提出する必要があります。適法な供託受諾書が供託所で受け付けられた時に供託金取戻請求権は消滅し、供託金の取戻請求を行うことができなくなりますが、同時に供託の有効性が確定して供託金還付請求権の時効が進行する(→Q55)と考えられますので、注意が必要です。手続の詳細については、各供託所(「供託所一覧表」参照)にお問い合わせください。
供託に関する書類等の閲覧請求等について
Q58.供託関係書類の閲覧請求手続について
Q59.供託に関する事項の証明請求手続について
Q60.供託書の訂正申請手続について
Q61.供託官の処分に対する不服申立ての方法について
【Q58】供託に関する書類などの閲覧を請求するには、どのようにしたらよいですか。
A
- 閲覧を請求することができる者の範囲
供託につき利害の関係がある者は、供託に関する書類の閲覧を請求することができます。
供託につき利害の関係がある者とは、供託物につき直接利害関係を有する者をいい、具体的には、供託物取戻請求権者、供託物還付請求権者及びそれらの一般承継人(供託者又は被供託者の相続人、合併後の存続法人等)並びにそれらの権利について譲受け、質権設定又は差押えをした者でその通知又は送達が供託所にされているもの等、直接それらの権利について供託上の利害関係を有している者をいいます。
したがって、供託物払渡請求権者の一般債権者であっても、これから当該払渡請求権を差し押さえようとする者は、供託物には直接の利害関係は有していないので、利害関係人には含まれません。 - 閲覧申請の手続
供託につき利害関係を有する者が供託関係書類の閲覧を請求しようとするときは、所定の様式の閲覧申請書を提出しなければなりません。供託関係書類の閲覧には、手数料等はかかりません。
閲覧申請書の記載例は、法務省ホームページの「供託書等の記載例」を御覧ください。 - 添付書類等
閲覧申請には、次の書類の添付又は提示が必要です。
(1) 印鑑証明書
閲覧申請書(又は委任による代理人の権限を証する書面)に押印されている請求者本人の印鑑について、市区町村長が作成した印鑑証明書(請求者が法人であるときは、登記所の作成した印鑑証明書)の添付を要します。
なお、請求者が個人の場合には、運転免許証等の提示及びその写しの添付により、本人であることを確認することができるときは、省略することができます。
(2) 請求者が法人であるときは、代表者の資格を証する書面
請求者が登記された法人以外の法人の場合には、添付することを要します。また、請求者が登記された法人である場合において、当該法人が登記申請中であり、その登記が完了していないときは、代表者の資格を証する登記事項証明書の提示を要します。
(3) 代理人による申請の場合は、代理人の権限を証する書面(委任状等)
(4) 代表者又は管理人の定めのある法人でない社団又は財団が請求するときは、当該社団又は財団の定款又は寄附行為及び代表者又は管理人の資格を証する書面
【Q59】供託に関する事項の証明を請求するには、どのようにしたらよいのですか。
A証明制度の主な役割は、供託の事実を立証することにあります。
例えば、営業保証金を供託した者がその旨を担保官庁に届け出る際に添付する供託書正本を紛失したような場合や、訴訟等の証拠資料として、供託の事実を立証するために裁判所に提出する場合には、供託所から当該証明書の交付を受けて、供託の事実を立証することになります。
- 供託に関する事項の証明を請求することができる者の範囲
供託につき利害の関係がある者は、供託に関する事項につき証明を請求することができます。
供託につき利害の関係がある者とは、供託物につき直接利害関係を有する者をいい、具体的には、供託物取戻請求権者、供託物還付請求権者及びそれらの一般承継人(供託者又は被供託者の相続人、合併後の存続法人等)並びにそれらの権利について譲受け、質権設定又は差押えをした者でその通知又は送達が供託所にされているもの等、直接それらの権利について供託上の利害関係を有している者をいいます。
したがって、供託物払渡請求権者の一般債権者であっても、これから当該払渡請求権を差し押えようとする者は、供託物には直接の利害関係は有していないので、利害関係人には含まれません。 - 供託に関する事項の証明の請求手続
供託につき利害関係を有する者が供託に関する事項の証明を請求しようとするときは、所定の様式の証明申請書を提出しなければなりません。当該申請書は、証明の請求数に応じた数を提出する必要があります。証明書の発行には、手数料等はかかりません。
証明申請書の記載例は、法務省ホームページの「供託書等の記載例」を御覧ください。 - 添付書類等
証明申請書に添付すべき書類は、証明を請求する事項を記載した書面のほか、次の書面の添付又は提示が必要です。
(1) 印鑑証明書
証明申請書(又は委任による代理人の権限を証する書面)に押印されている請求者本人の印鑑について、市区町村長が作成した印鑑証明書(請求者が法人であるときは、登記所の作成した印鑑証明書)の添付を要します。
なお、請求者が個人の場合には、運転免許証等の提示及びその写しの添付により、本人であることを確認することができるときは、省略することができます。
(2) 請求者が法人であるときは、代表者の資格を証する書面
請求者が登記された法人以外の法人の場合には、添付することを要します。また、請求者が登記された法人である場合において、当該法人が登記申請中であり、その登記が完了していないときは、代表者の資格を証する登記事項証明書の提示を要します。
(3) 代理人による申請の場合は、代理人の権限を証する書面(委任状等)
(4) 代表者又は管理人の定めのある法人でない社団又は財団が請求するときは、当該社団又は財団の定款又は寄附行為及び代表者又は管理人の資格を証する書面
【Q60】供託後に、供託書の記載内容に誤記があることを発見しました。供託書の記載内容を訂正することはできますか。
A適法なものとして受理された供託について供託者が供託書に誤記があることを発見した場合には、供託書の訂正申請をすることができます。
訂正は、当該供託の効力に影響が生じないと認められる場合、つまり、誤記であることが供託書の記載事項から明白であり、かつ、訂正後も当該供託の同一性が損なわれない場合に限り、認められます。したがって、供託書訂正申請がされた場合に、常に訂正が認められるというものではありません。例えば、家賃の弁済供託において、賃借の目的物の所在地番や家屋番号を訂正することは認められますが、被供託者の氏名を「甲」とすべきところを甲の同居の家族の「乙」と誤記したとして、これを「甲」と訂正することは、認められません。
供託書の訂正申請をする際には、供託書訂正申請書2通を提出してください。供託官は、供託書訂正申請を受理して差し支えないときには、申請書の1通に訂正を受理する旨を記載して記名・押印の上、申請者に交付します。
供託書の訂正がされたときは、供託が受理された時から訂正された内容の供託申請があったものと認められることになります。
供託訂正申請書の記載例は、法務省ホームページの「供託書等の記載例」を御覧ください。
【Q61】供託官の処分に不服がある場合は、どのようにしたらよいのですか。
A供託官により供託の申請又は供託金還付請求等が却下された場合には、供託官の処分を不当とする者(却下処分を受けた申請者又は請求者)は、監督法務局又は地方法務局の長に対し、審査請求をすることができます。また、審査請求をせずに、国を被告とする行政訴訟によって、供託官の処分の取消しを求めることも、できます。
審査請求は、処分をした供託官の属する供託所に対し、審査請求書を提出して行います。この請求は、供託官の却下処分後、いつでも、することができます。
一方、供託官の処分に対する取消しの訴えは、その処分があったことを知った日から6か月以内に提起しなければならないとされています(行政事件訴訟法(昭和37年法律第139号)第14条第1項)ので御注意ください。