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第67回“社会を明るくする運動”~犯罪や非行を防止し,立ち直りを支える地域のチカラ~中央推進委員会会議が開催されました。
1 概要
平成29年1月31日(火),第67回“社会を明るくする運動”中央推進委員会会議が,法務省幹部及び同運動中央推進委員会構成機関・団体の代表者の出席の下,法務省大会議室において開催されました。
開会に当たって,中央推進委員会委員長である金田勝年法務大臣からの挨拶(黒川弘務法務事務次官代読)がありました。会議では,座長に選出された全国保護司連盟の永見光章副理事長の進行の下,第66回運動の実施結果報告が行われた後,第67回運動の活動指針となる実施要綱及び中央実施行事が提案され,承認されました。

会議の様子
2 行動目標及び重点事項
本会議で決定された本年の本運動の行動目標及び重点事項は,以下のとおりです。
【行動目標】
①犯罪や非行のない安全・安心な地域社会を築くための取組を進めよう
②犯罪や非行をした人たちの立ち直りを支えよう
【重点事項】
犯罪や非行をした人を社会から排除・孤立させるのではなく,再び受け入れることが自然にできる社会にするため
①出所者等の事情を理解した上で雇用する企業の数を増やすこと。
②帰るべき場所がないまま,刑務所から社会に戻る人の数を減らすこと。
③薬物依存からの回復と社会復帰を長期的に支える地域の環境を作ること。
④犯罪をした高齢者・障害者等が,社会復帰に必要な支援を受けられる環境を作ること。
3 第66回“社会を明るくする運動”実施結果報告について
本会議では,中央推進委員会構成団体及び民間協力者から,第66回運動の取組内容を発表していただきました。
はじめに,公益社団法人日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)特命担当部長・藤村昇司様から,全国各地のクラブチームとタイアップした広報啓発活動の様子やクラブチームのコーチによる地域の子どもたちを対象としたサッカー教室などの取組が紹介されました。
続いて,日本精神保健福祉士養成校協会会長・日本社会福祉士養成校協会副会長の伊東秀幸様から,全国の保護観察官が更生保護に関心のある福祉関係者等を対象に更生保護に関する講義を行う「保護観察官による更生保護出張講座」の紹介やソーシャルワーカーデー中央集会における広報資材の配布について報告がありました。
最後に,民間協力者としての立場から本運動に御協力いただいた,株式会社よしもとクリエイティブ・エージェンシー取締役木本公敏様から,お笑い芸人の鉄拳氏による“社会を明るくする運動”パラパラマンガの制作,第8回沖縄国際映画祭での広報活動の展開,有楽町駅前広場での広報啓発行事「立ち直りフェスティバル」でのトークショーなどについて報告がありました。

取組発表の様子

(左から:Jリーグ特命担当部長藤村様,日本精神保健福祉士養成校協会会長伊東様,
株式会社よしもとクリエイティブ・エージェンシー取締役木本様)
4 第67回“社会を明るくする運動”の展開について
本年も,全国矯正展,東京・千代田区有楽町駅前広場における広報啓発行事,小中学生を対象とした作文コンテストなど各種行事を実施いたします。また,平成28年12月に公布,施行された「再犯の防止等の推進に関する法律」では,7月を再犯防止啓発月間と定めていることから,同法律の趣旨を踏まえた事業として,法務省主催によるシンポジウムを開催します。再犯防止等に向けた取組の重要性を多くの方に理解いただけるようなシンポジウムとしてまいります。
本年も官民一体となった“社会を明るくする運動”の一層の推進をよろしくお願いします。
第4回「再犯防止キャラバン」を行いました!
盛山法務副大臣を隊長とする再犯防止キャラバン隊が,平成28年12月12日(月)に兵庫県及び大阪府において第4回再犯防止キャラバンを行いました。
今回,兵庫県と大阪府を訪問させていただいたのは,
○ 兵庫県において,全国初の取組として,国,県,市町及び民間団体といった関係機関がネットワークを構築して情報を共有し,再犯防止に有効な支援策を検討することを目的とした「兵庫県再犯防止対策関係機関連絡会議」を開催していることや,神戸市がその目的に賛同し,同会議に参加していること。
○ 神戸市において,協力雇用主に対する入札参加資格の優遇制度や更生保護サポートセンターの設置・運営に対する支援等の保護司活動への支援を実施していること。
○ 大阪府に本社を置く千房株式会社において,協力雇用主として多くの刑務所出所者等を雇用するとともに,「再犯防止」の趣旨に賛同する企業による「職親プロジェクト」の発足とその発展に尽力いただいていること。
○ 大阪市に本店・本部を置き,卓越した話芸で国民から愛される吉本興業株式会社の協力を得て,再犯防止に関する広報・啓発活動を行うこと。
などにより,官民における再犯防止に関する組織的な取組を学ぶとともに,吉本興業の協力のもと,広報・啓発活動を行うためです。
1 神戸市役所訪問
盛山副大臣,久元市長の挨拶に続き,法務省から再犯防止キャラバンの趣旨について説明し,意見交換が行われました。
久元市長からは,以下のような御発言がありました。
○ 刑法犯の認知件数は減少を続けている一方で,犯罪に対する国民の不安は高まっており,主観的な安心感につながっていない。
○ 刑務所出所者等の再犯防止には,雇用と住まいを確保することに加え,出所者等の孤独感をなくすことが大切である。
最後に,盛山副大臣から久元市長に“社会を明るくする運動”の象徴である「幸福(しあわせ)の黄色い羽根」が手渡されました。

盛山副大臣挨拶

意見交換の様子(中央が久元市長)
2 神戸市こころの健康センター視察
神戸市こころの健康センターの北村所長から,薬物依存症者対策に関する取組を中心に,以下の概況説明を受けました。
○ 精神保健福祉センター業務における普及啓発の取組の一つとして,薬物等依存症者の家族及び支援者等を対象に,依存症について学ぶ機会の提供や相互の情報共有を行う学習会を開催している。
○ 精神保健福祉相談では,アルコールや精神作用物質の使用に伴う依存の形成等の医療上の問題等に対して,精神科医が家族を対象とした相談に応じている。相談内容としては,本人がアルコールや精神作用物質の使用により医療関連の問題を抱えているものの,治療につながっていないため,家族として今後の対応をどう進めていくかというものが多い。原則1回限りの相談であるため,家族からの相談を通して本人の状態を医療面から評価し,治療が必要であると考えられる場合は,治療につなげていく道筋を紹介している。
概況説明の後,刑の一部の執行猶予制度の導入も踏まえ,薬物依存症者対策における関係機関相互の連携の在り方について,意見交換をさせていただきました。

意見交換の様子(左側がセンター,右側が法務省)
3 千房株式会社表敬訪問
千房株式会社においては,協力雇用主として多くの刑務所出所者等を雇用するとともに,再犯防止の活動に賛同する企業による「職親プロジェクト」の発足とその発展に尽力いただいていることから,盛山副大臣が中井代表取締役社長を表敬訪問し,御礼を申し上げました。
中井社長からは,協力雇用主としての御苦労や想い,今後の取組や課題等について御意見を伺いました。
その後,千房千日前本店において,「職親プロジェクト」として雇用した社員の方から挨拶を受けました。盛山副大臣からは,「今後もしっかり頑張ってください。」という激励の言葉が掛けられました。

中井社長との記念撮影
4 吉本興業株式会社表敬訪問及びなんばグランド花月に出演
吉本興業株式会社においては,人権啓発活動や“社会を明るくする運動”等の法務省の重要施策を国民の皆様に分かりやすく伝える活動に協力いただいていることから,盛山副大臣が田中代表取締役専務を表敬訪問しました。
田中専務からは以下のような御発言がありました。
○ 吉本の芸人は,どんなに難しい話であっても,分かりやすく説明することに卓越していると自負しており,「再犯防止」という難しい施策についても,芸人を介して情報発信することで,その内容を国民の皆様に分かりやすく伝えられると考えている。
○ 明るく笑いの絶えない社会の実現に向けて,吉本興業として協力をするので,是非,吉本の芸人を使っていただきたい。
その後,なんばグランド花月へ移動し,本公演前のオープニングアクトとして,盛山副大臣が更生ペンギンのホゴちゃん(更生保護のマスコットキャラクター),アカルイーネ(“社会を明るくする運動”大阪府推進委員会のマスコットキャラクター),わかP(和歌山刑務所のマスコットキャラクター)とともに出演し,お笑い芸人の皆さんとの掛け合いの中で,再犯防止に向けた活動への理解と協力を来場者の皆様に呼び掛けました。

なんばグランド花月出演の様子

なんばグランド花月での記念撮影
5 コレワーク西日本視察
コレワーク西日本を視察し,コレワークが行う就労支援の概要やコレワークを利用される事業主の方へのサービス提供状況等について説明を受けました。
その後,盛山副大臣から,「コレワークを通じて内定に至った事例はどれくらいですか。」という質問があったところ,コレワークは平成28年11月から業務を開始したばかりであり,まだ内定に至ったケースはないものの,既に複数の事業主から刑務所出所者等を雇用したいという申出があったという説明を受けました(その後,複数の内定が出ております。)。

コレワーク西日本視察の様子
6 浪速少年院視察
浪速少年院を視察し,施設の沿革や運営状況について説明を受けたほか,在院している少年の特徴,大阪矯正管区内における非行少年の動向等について意見交換をしました。
最後に,盛山副大臣が浪速少年院において勤務する職員を激励しました。

浪速少年院視察の様子