CONTENTS

法制度整備支援の現場から

インドネシア・JICA長期派遣専門家・菊地英理子

法務省では、独立行政法人国際協力機構(JICA)や関係機関等と連携し、開発途上国に対する法制度整備支援を始めとする様々な国際協力に積極的に取り組んでいます。現在、インドネシアでは、同国の法律案の作成等を担当する職員や、知的財産事件などを担当する裁判官の人材育成支援に関するプロジェクトが行われており、検察官である私が同国の法務省(旧法務人権省)1に、また裁判官1名が同国の最高裁判所に派遣され、このプロジェクトを進めています。

私が派遣されている法務省では、省内にワーキンググループを立ち上げ、法律案などの起案に関する執務参考資料を作成したり、法令に関する正確な知識や技術を身につけるための研修等を企画したり、研修講師のためのトレーニングを行ったりしています。

また、このプロジェクトでは、年に1回、一部の職員を日本に招き、日本ではどのように法律案などを作っているのかを学んでいただくという研修を行っており、本年9月には法務省や同省の地方事務所から総勢15名の職員が来日して、日本の法務省等での講義や施設見学に参加しました。日本とインドネシアでは、法律案などの作成手順やルールが異なるため、日本のやり方をそのままインドネシアに取り入れることはできませんが、研修参加者たちは、どのようにしたら日本のやり方の良いところを自分たちの業務に取り入れることができるだろうかということを常に考えながら、真剣に研修に取り組んでいました。

インドネシアでは、現在、新しい首都への移転準備が進められており、また、本年10月には新しい大統領が就任して新たな体制が生まれるなど、日々、様々な変化が起こっています。私たちの法制度整備支援活動が、過渡期にあるインドネシアの更なる発展の一助となるよう、引き続き、精進してまいります。

1法務人権省は、2024年10月21日付けで法務省、人権省、移民矯正省に分割された。

(写真1)研修講師育成研修の様子 (写真1)研修講師育成研修の様子
(写真2)日本での研修の様子 (写真2)日本での研修の様子