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「令和6年版犯罪白書」及び「令和6年版再犯防止推進白書」について

犯罪白書とは?

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犯罪白書は、犯罪の動向や犯罪者の処遇の状況について、統計資料等に基づいて紹介しているものです。

昭和35年から、法務省法務総合研究所により毎年発刊されており、犯罪対策を検討するための基礎的な資料としての役割を担っています。

犯罪の動向は?

刑法犯の認知件数(警察が犯罪の発生を把握した件数)は、平成14年に戦後最多の285万3,739件を記録した後、19年連続で減少していましたが、令和4年は20年ぶりに増加し、令和5年も引き続き増加して、70万3,351件でした。平成15年からの認知件数の減少は、刑法犯の7割近くを占める窃盗の件数が大幅に減少し続けたことに伴うものです。

一方、刑法犯で検挙された者の人員は、平成16年に38万9,027人を記録した後、平成17年から減少に転じ、平成25年から令和4年までは毎年戦後最少を更新しましたが、令和5年は前年と比べて増加し、18万3,269人でした。

1図 刑法犯 認知件数・検挙人員・検挙率の推移

1図 刑法犯 認知件数・検挙人員・検挙率の推移

今回の特集は?

令和6年版犯罪白書では、「女性犯罪者の実態と処遇」と題して特集を組み、女性を取り巻く社会状況等を見た上で、女性による犯罪の動向等のほか、女性犯罪者に対する処遇・支援の現状を概観し、さらに、男女の受刑者を対象として実施した特別調査の結果を紹介し、女性犯罪者の再犯防止と円滑な社会復帰を図る上で留意すべき点について検討しました。

女性による犯罪の動向等の中で、刑事施設に入所した女性の受刑者数を罪名別に見ると、平成23年以降、窃盗と覚醒剤取締法違反の人員の合計が約8割を占めています。

2図 入所受刑者の罪名別人員の推移(女性)

2図 入所受刑者の罪名別人員の推移(女性)

また、特別調査の結果からは、①女性受刑者は、男性受刑者と比べて心身の不安定な健康状態の者が多いこと、②薬物事犯の女性受刑者は、男性受刑者や薬物事犯以外の女性受刑者と比べて、配偶者・交際相手からの暴力等の被害経験を有する者が多いなど、様々な問題を抱えており、それが社会における生きづらさにつながっている者もいること、③60歳以上の窃盗事犯の女性受刑者の中には、配偶者との死別等による新たな不安・悩みや孤立が犯行の背景にある者がいることが推察されました。こうした女性の抱える困難を踏まえ、女性に対する処遇や支援等の在り方を検討することが重要だと考えます。

法務総合研究所は、今後も適切なテーマ等を選んで調査を行い、犯罪・非行をした者に対する有効な支援・指導を検討するための資料を提供していきます。

再犯防止推進白書とは?

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法務省は、再犯の防止等の推進に関する法律に基づき、毎年政府が講じた再犯防止施策を国会へ報告しています。国会へ報告した内容を、国民の皆様にお伝えするため刊行したものが、「再犯防止推進白書」です。本白書は、平成30年から毎年刊行しており、今回で7冊目となりました。

令和6年版白書は、令和5年3月に閣議決定された「第二次再犯防止推進計画」に盛り込まれた施策に関し、政府が講じた取組を掲載した初めての白書となります。また、政府が講じた取組だけでなく、地方公共団体による取組や、保護司を始めとする民間協力者の方々の活動に関するコラムを掲載しています。

なお、表紙や中扉には、少年院在院者による絵画や題字を掲載しています。こちらもぜひご注目ください。

再犯防止推進白書の今回の特集は?

今回の特集は、「社会復帰を果たした者等の犯罪や非行からの離脱プロセス(続編)~当事者と支援者が語る人生のリスタート~」です。

第二次再犯防止推進計画には、再犯防止施策の一層の推進を図るために、「社会復帰を果たした者等が犯罪や非行から離脱することができた要因」を踏まえた対応をすることが新たに盛り込まれました。昨年度刊行した令和5年版白書の特集では、かつて犯罪や非行をしたものの、その後、社会復帰を果たした当事者にインタビューを行い、それぞれの立ち直りの過程を掲載した上で、犯罪や非行からの離脱要因の分析を試みました。今回の特集では、その分析を更に深めるため、生活困窮、疾病、孤独・孤立等の生きづらさを抱え、犯罪を繰り返した末に地域の中で支援を受け、社会復帰を果たした当事者とその支援者にインタビューを行い、その結果を基に、犯罪や非行からの離脱の要因の分析を試みました。再犯防止に携わっている実務担当者や支援者の方々はもちろん、現在、社会復帰を果たそうとしている当事者や当事者を支える周囲の方々にもお読みいただきたい内容となっています。

犯罪白書と再犯防止推進白書を読みたい場合は?

これまでに刊行した「犯罪白書」及び「再犯防止推進白書」は、法務省ホームページで公開しています。また、各白書の冊子は、政府刊行物センターや都道府県官報販売所で販売されており、お近くの書店でもご注文いただけます。