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東南アジア諸国のためのグッドガバナンスに関する地域セミナーを初のオンラインで開催!

第14回GGセミナーについて

国連アジア極東犯罪防止研修所(アジ研)は,令和3年3月23日及び24日の2日間にわたり,第14回東南アジア諸国のためのグッドガバナンスに関する地域セミナー(GGセミナー)を開催しました。

このGGセミナーは,法の支配及び良い統治(グッドガバナンス)の確立に向けた人材育成,能力強化,経験共有等を目的に,東南アジア諸国を対象とするもので,平成19年に第1回セミナーがタイで開催されたのを皮切りに,フィリピン,日本,マレーシア,インドネシア,ベトナム,再び日本と2年ごとに開催国を変えながら10年以上にわたって開催されており,我が国と東南アジア諸国の刑事司法機関とのネットワークを構築し,参加国間の国際的な協力体制の基礎を築いてきました。

本年度のGGセミナーは,新型コロナウイルス感染症の影響等から,初めてオンライン形式で開催され,ASEANの8か国(ブルネイ,カンボジア,インドネシア,ラオス,マレーシア,シンガポール,フィリピン及びタイ)及び東ティモールの合計9か国から,総勢14名の汚職対策関連機関の実務家等が参加しました。

セミナーの風景

セミナーの風景

セミナーのテーマについて

今年のテーマは,「裁判官,検察官,法執行機関職員の廉潔性と独立性」(“Int-egrity and Independence of Jud-ges,Prosecutors and Law Enfor-cement Officials”)でした。

汚職のまん延は,国民に提供される公共サービスのレベルを低下させることはもとより,民主的な政治制度の倫理的な基盤を弱体化させ,国家の持続可能な発展や経済成長を妨げるなど,社会の安定と安全に深刻な脅威をもたらします。

これまでアジ研は,東南アジア諸国の経済的・社会的発展を支えるべく,GGセミナーにおいて,捜査能力の強化,マネーロンダリング対策,国際的な捜査協力,犯罪収益の没収方法,証人の保護など,汚職防止のための様々なテーマを設定しセミナーを行ってきたところ,本年度は,汚職対策の担い手である刑事司法実務家の地位,資質等に焦点を当てた上記テーマを選定し,各国の汚職対策制度や取組,課題等を共有することとしました。

セミナーの内容について

本年度のセミナーでは,最初に海外客員専門家による講義として,香港独立反汚職委員会主席国際調整研修官を招いて,香港における汚職対策に関する取組をご講義いただきました。その上で,各研修員がそれぞれ,自国の汚職対策機関の構成,法的根拠,役割等の基本情報に加え,汚職対策のベスト・プラクティス,課題等を発表し,途中でアジ研教官による講義も挟みつつ,そこで得られた最先端の取組や知見をもとに討議し,その結果を要約した議長サマリーを作成しました。

ローレンス・チャン氏の講義

ローレンス・チャン氏の講義

セミナー閉会時の様子

セミナー閉会時の様子

おわりに

ヒト・モノ・カネが国境を超えて移動するグローバル社会では,汚職を含めた様々な犯罪も国境を越えて行われるため,汚職撲滅は国家を超えて取り組むべき喫緊の課題の一つとして世界的にも重要視されています。

近時のコロナ禍の影響で,残念ながら対面でのセミナーの実現はかないませんでしたが,オンラインという新しい形でつながり合うことができ,各国の近時の汚職対策における知見やベスト・プラクティス等を共有できたことは非常に有意義でした。

今後もアジ研は,セミナーを通じて,経済や社会の発展を阻害する汚職等の犯罪撲滅に取り組むとともに,世界各地をつないで刑事司法関係者のネットワーク構築に尽力します。