1 日 時 平成19年8月1日(水)午前10時~午前11時45分
2 場 所 中央合同庁舎第6号館B棟 第二会議室
3 出 席 者(敬称略)
(1)第5次出入国管理政策懇談会
木村孟(座長)、井上洋、小寺彰、多賀谷一照(在留管理専門部会長)、寺田範雄、中谷巌、前田雅英、マリ・クリスティーヌ、吉川精一
(2)在留管理専門部会
稲津成孝、薄井一成、武井雅昭、西村弓、藤原静雄、山脇啓造
(3)法務省
稲見入国管理局長、二階審議官、岩尾総務課長、田村入国在留課長、畠山警備課長、髙岡登録管理官、佐藤参事官、海保局付、中川局付、木川局付、石合難民認定室長、佐々木出入国情報管理室長、坂本入国管理企画官、石黒出入国情報分析官、石岡審査指導官、丸山総括補佐官
(4)関係省庁
警察庁、総務省、外務省、厚生労働省
4 会議経過
稲見入国管理局長からのあいさつに引き続き、在留管理専門部会の多賀谷部会長から、同部会で作成した「新たな在留管理制度に関する検討状況(中間報告)」【PDF】について説明を行い、その後議論を行った。主な意見は以下のとおり。
○ 新たな制度では、不法滞在者は外国人登録の対象から外れることになるが、不法滞在者の情報把握については、それ以外の手段で引き続き努める必要がある。
○ 不法滞在者を外国人登録の対象から除外することで、外国人登録証明書が交付されず、在留継続が困難となるので、取り締まりやすくなる面もある。
○ 不法滞在者を雇っている企業等には、現行より重い罰則を適用すべきである。
○ 関係機関と連携し、在留カードが、生活上の様々な場面においてIDとして使えるようにすることが、外国人の利便の観点から好ましい。
○ 最終報告では、制度改正の目的について、不法滞在、不法就労、外国人犯罪の抑止等治安対策が目的であるとのスタンスをはっきりさせたほうがよい。
○ 外国人の生活の利便向上等その他の目的についても言及すべきである。
○ 外国人の人権擁護、個人情報保護という観点も重要である。
○ 外国人の管理を強化することと、必要な情報を正確に把握することは区別する必要がある。まず、国が外国人の情報を正確に把握する仕組みを構築することが、サービス行政を含めあらゆる行政の大前提であり、そのためには、情報把握の一元化や関係機関相互の情報の共有が必要である。これにより、不法滞在者は徹底的に取り締るべきであり、一方、適法に在留する外国人については、行政サービスを充実すればよい。
○ 在留カードについて、雇用や社会保障等における外国人本人の利便性や法的保護といった観点からいかに活用していくかも重要である。
○ 中間報告は論点をよくまとめてあり、検討の方向性にも賛成である。在留カードを交付するという考えにも賛成だが、カードの重要性が外国人登録証明書以上に高まり、偽造が横行することになるであろうから、偽造対策は、その時点での最新鋭の技術を駆使して、万全を期す覚悟で取り組んでもらいたい。また、在留カードの常時携帯義務も残すべきである。
○ 外国人からの情報の取得方法であるが、届出は、事項によっては市区町村と地方入管局のどちらでもできるようにして、外国人の利便性を確保しつつ、その代わり必ず届出をしなければ不利益が生じるという仕組みにすることが好ましい。
○ 外国人の人権、個人情報保護の観点から、法務大臣が収集する情報は、在留管理上必要最小限にするべきである。例えば、所属機関等における職種や地位、報酬等の情報収集は必要最小限とすべきであり、これら情報が在留カードに記載される場合、情報漏えい対策が一層重要になる。
○ 居住地の届出については、国が外国人の居住地情報を一元的に管理するという意味で法定受託事務とした方がいいのではないか。
○ 現在、各自治体は、通訳や相談員の配置など、独自に外国人向けの各種行政サービスを行っている。居住地の届出は、市区町村の自治事務とした方が行政サービス提供には好ましいのではないか。
○ 適法な在留外国人の台帳制度の在り方については、総務省で至急検討願いたい。
○ 最終報告では、制度の一元化によって、外国人の届出義務不履行や虚偽届出、在留カードの携帯義務違反等の違反行為に対して、罰則も含め、入管法上どのように対応していくのか、具体的に検討してほしい。
○ 不法滞在者を取り締まることは重要であるが、一方で法律を守って健全に暮らしている外国人の生活をいかによくしていくかという視点も持って、セットで検討してほしい。例えば、各自治体が、きちんと法律を守り健全に暮らしている外国人を推薦し、推薦された外国人については、すぐに在留期間の更新等の許可をするといった制度が考えられないか。 不法滞在者であっても、それまできちんと税金も納めて地域社会に貢献してきた外国人については、自治体の推薦があれば、特段の考慮を与えるといったことも考えられないか。
○ 外国人の管理という点では、改正雇用対策法の雇用状況報告制度により、企業は雇った外国人をきちんと管理しなければならなくなったが、学校については留学生や就学生の管理が相変わらず緩い面がある。今後、留学生がさらに増える可能性もあり、学校側の管理をどうしていくかが大きな課題である。
配布資料 「新たな在留管理制度に関する検討状況(中間報告)」【PDF】
(文責 法務省入国管理局)