1 日 時 平成21年10月30日(金)午前10時~同12時
2 場 所 法曹会館3階「富士の間」
3 出 席 者(敬称略)
(1)第5次出入国管理政策懇談会
木村孟(座長)、加藤朗、川口晶、多賀谷一照、寺田範雄、内藤正典、長谷川裕子、前田雅英、マリ・クリスティーヌ
(2)法務省
田内入国管理局長、堀江官房審議官、岩尾総務課長、沖入国在留課長、住川審判課長、山中警備課長、千葉登録管理官、山田参事官、中川局付、木川局付、中本局付、福山難民認定室長、石岡入国管理企画官、丸山入国管理調整官、妹川出入国情報分析官、石黒審査指導官、山下警備指導官
4 会議経過
(1)法違反者の状況に配慮した取扱いについて
入国管理局から、法違反者の状況に配慮した取扱いの現状について説明を行い、その後議論を行った。主な意見は以下のとおり。
○ 日本の人口が減少している中で、不法滞在者でも自ら出頭し税金を支払う意思がある者については在留を認めるなど、不法滞在者にインセンティブを与える施策が必要ではないか。
○ 不法滞在者を半減できている現状において、我が国の在留特別許可の運用は政策としてうまくいっているものであり、不法滞在者を一斉に正規化するアムネスティを導入するよりも、現在の取組みを進めていくことが重要である。
○ EU諸国のケースを見ると、不法移民を処理しきれなくなってアムネスティを実施しているのが大半であるが、日本の場合は、不法滞在者が少なく、個別に対応すれば十分である。なお、在留特別許可は、情緒的な判断ではなく、日本の国益にかなうかどうかということを調べた上で判断する必要がある。
○ DV被害者と人身取引被害者は重なる部分も多くあり、外国人が被害者となることを避けるためにも、入国審査を厳格化することが決定的に重要である。
○ 人身取引の加害者である日本人に対する刑罰を厳しくすべきではないか。
(2)技能実習制度の在り方について
入国管理局から、技能実習制度の現状と入国管理局の取組みについて説明を行い、その後議論を行った。主な意見は以下のとおり。
○ アジアを中心に行われている我が国国内企業の人材育成の観点からも、研修・技能実習制度は重要であり、再技能実習制度の導入により、より高い技能や別の技能を修得することが可能となる。再技能実習制度の導入に当たっては、制度の悪用を防止するために、優良企業のみが再技能実習を可能とするような認定制度を導入するなど、インセンティブを付与することにより制度の適正化を図るべきではないか。
○ 研修・技能実習制度について、今般の入管法改正による適正化措置の状況を踏まえ、外国人の受入れの在り方について議論を行った上で抜本的見直しを行うべきである。
○ 研修・技能実習制度について、研修生が労働力不足を補っているのが現実であり、本音と建前の乖離が年々広がっていることから、制度の抜本的見直しの議論を行う時期に来ているのではないか。今後は、国際協力色を強めるのか、国際協力とは別のものとして議論するのか考える必要があるのではないか。
○ 研修・技能実習制度について、国際協力、国際貢献という目的は無理があると思うが、単純労働者的な活用ではなく、日本の産業空洞化を回避するためのアジア進出の足がかりを作るといった戦略的な活用という点では意義があるのではないか。また、日本国内の労働者不足という事情で制度を維持するには限界があり、内容的に残せる部分、根本的に改める部分をきちんと見極めて検討することが必要ではないか。
(文責:法務省入国管理局)