令和4年1月14日に開催いたしました地方出入国在留管理局長・入国者収容所長会同において、「出入国在留管理庁職員の使命と心得」を策定いたしました。
その際、私から全職員に向けて伝達したメッセージを併せてご紹介いたします。
このメッセージにもありますとおり、この使命と心得は、全職員がその策定プロセスに主体的に参加して作り上げたものです。
出入国在留管理庁においては、内外の様々な声に耳を傾け、不断に行政の運営に活かしながら、出入国在留管理庁の全ての職員が、この使命に責任を持ち、心得を胸に刻んで、日々の業務に心を込めて従事していく、そのような組織作りに努めてまいります。
出入国在留管理庁長官 佐々木聖子
入管行政が70年の歴史を刻む中で、発足以来、基本的な使命は変わらない一方、我が国社会における外国人の受入れや在留を巡る時代の変遷の中で、新たに加わった使命や、行政のあり方の変容もありました。
今般、名古屋出入国在留管理局における被収容者の死亡事案の発生を受けて、一旦立ち止まり、もう一度、私たちは何を目指して仕事をしているのか、そしてその仕事をするために、どういう心持ちを持つべきなのかを確認するために、この文書を皆さんと一緒に作りました。
入管行政は、「人に対する行政」としての重い責任と難しさがあります。更に、外国人に対する行政ということで、文化や価値観が異なることによる難しさが加わるという面があり、そのことへの配慮はとても大切なことですが、日本人も外国人も、まず同じ「人」として向き合うべきです。
今回の心得にもあるように、人権を大切にすることは全てのことの大前提であり、その前提の上に、法令と正確な事実認定に基づいて、何らの先入観を持つことなく、冷静に業務を行うことが、行政官として必要です。
そうした入管行政の特徴はあるものの、国家行政の一分野である以上、そのあるべき姿は共通です。行政のあり方として、外国人行政であることの特別さはありません。加えて、わかり易さであったり、誰が担当しても公正な結果となることであったり、手続きの簡便さであったりということは、一行政として、常に目指していかなければなりません。
これは、職員の心得であると同時に、行政としての心得ですので、今後いろいろな場面で、そのことをより実現していくための取組みを行っていきます。
外国人の受入れ・共生のあり方が、日本の社会のあり方にこれまで以上に関わるようになっているので、その政策や運用のあり方の検討には、幅広い観点からの研究・検討や、関係機関はもとより、内外の様々な人々との対話による状況把握や諸情勢の理解の深化が、これまで以上に必要になっています。また、行政全般にわたって、堂々と自信をもって業務を行うためにも、きちんとした説明や、法令に則った情報提供・発信が大事です。
職員の心得として、「聴く力と話す力」の向上を掲げましたが、これも、行政の心得としても同じです。この点についても、入管は変わっていかなければならないことを、職員の皆さんとの共通の認識そして意識にしたいと思います。
また将来いつか、この使命と心得に加筆・修正するべき時が来るかと思います。その時は、また、全職員の皆さんと一緒に、その変化を確認するという作業をすることになりますが、それまで、全職員の皆さんが、この使命に責任と誇りを持ち、心得を胸に刻んで、日々の業務に、心を込めて従事することを、願っています。