Question 1
「著作権」ってどうやったら取れるの?
この間、翔平がサックスでいい曲を作ったって、マスターが褒めてたよ!私も聴きたいなあ。
…今度ね。でもせっかく頑張って作ったから「著作権」欲しいな~。どうやったら取れるんだろう。
ポイント
- 「著作権」は、著作物を作った時点で「自動的」にその創作者に与えられます。
- 「著作物」は、思想や感情を創作的に表現したものです。上手いかどうかは関係ありません。
私たちは、日常生活の中で、小説、音楽、美術、映画、写真、コンピュータ・プログラム等の作品を作ったり、誰かが作ったものを見たり聞いたりする機会があります。
自分が作品を作ったときにはどのような権利(著作権)が生じるのか、また、他人の作品を利用するときはどのようなことに注意する必要があるかを、きちんと知っておく必要があります。
まず、「著作権」は、作品を作った時点で「自動的」に発生し、創作者に権利が付与されます。このため、特許などとは違い、行政機関に出願するなど、権利を取得するための手続は一切必要ありません。
また、「著作物」は、「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属すもの」と定義されています。例えば、「東京タワーの高さ=333メートル」といった単なるデータは、それだけでは「思想又は感情」を表現したものとはいえないし、他人の作品の模倣品は「創作的」とはいえないため、これらは「著作物」には当たりません。何らかの個性が表現されているものであれば著作物に該当する可能性が高く、上手いかどうかは関係ありません。
(著作物の種類の例)
ジャンル | 著作物の例 | |
---|---|---|
言語 | 講演、論文、作文、小説、脚本、詩歌、俳句など | |
音楽 | 楽曲、楽曲を伴う歌詞など | |
舞踊、無言劇 | 日本舞踊、バレエ、ダンスの振り付け | |
美術 | 絵画、彫刻、マンガ、舞台装置など 茶碗、刀剣等の美術工芸品も含む |
|
建築 | 芸術的な建築物 | |
地図、図形 | 地図、図表、設計図、立体模型、地球儀など | |
映画 | 劇場用映画、アニメ、ビデオ、ゲームソフトの映像部分などの「録画されている動く影像」 | |
写真 | 肖像写真、風景写真、記録写真など | |
プログラム | コンピュータ・プログラム |
そして、著作物は、原則として、著作者がそれを作った時から「死後70年」まで保護されます。また、無名・変名の著作物や団体名義の著作物、映画の著作物は、公表後70年間保護されます。
Question 2
「著作権フリー」ならなんでもOK?
今度SNSに「著作権フリー画像」を使った動画を上げたいんだよね。
そういうの、最近流行っているよね。「フリー」って書いてあればなんでもOKなのかな?
ポイント
- 「著作権」は複数の権利から構成されており、複製権、公衆送信権といったように利用行為(例:コピー、SNSへのアップロードなど)ごとに「●●権」として規定されています。
- このため、「著作権フリー」といっても何の行為が許されているのか、あらかじめ利用規約で確認してから利用しましょう。
「著作権」は、著作者の人格的利益を保護するための「著作者人格権」と、財産的利益を保護するための「財産権」で構成されています。そのうち、「財産権」については、複製、上演、演奏、上映、公衆への送信といった利用行為ごとに「●●権」として規定されています。著作物を作った人にきちんと収入が入り、新たな作品を生み出すインセンティブとなるように、著作者には、このような権利が認められているのです。
<著作者人格権>
● 公表権
無断で公表されない権利
● 氏名表示権
氏名の表示を求める権利
● 同一性保持権
著作物の内容や題号を無断で改変されない権利
<財産権>
● 複製権
手書き、印刷、写真撮影、複写、録音、録画など、無断で著作物をコピーされない権利
● 上演権・演奏権
無断で公衆に上演、演奏されない権利
● 上映権
無断で公衆に上映されない権利
● 公衆送信権等
無断で、放送、有線放送、インターネット送信、FAX送信などをされない権利等
● 口述権
無断で言語の著作物を公衆に口述されない権利
● 展示権
美術の著作物又は未発行の写真の著作物の原作品を無断で公衆に展示されない権利
● 譲渡権
無断で著作物の原作品又は複製物を公衆に譲渡されない権利
● 貸与権
無断で著作物の複製物を公衆に貸与されない権利
● 頒布権
無断で映画の著作物を公衆に譲渡又は貸与されない権利
● 翻訳権・翻案権等
無断で翻訳、編曲、変形、脚色、映画化、その他翻案されない権利
● 二次的著作物の利用権
無断で二次的著作物を利用されない権利
上記の権利からも分かるように、自分が創作した著作物の扱いについては、『著作者=著作権者』が自ら決定することができます。したがって、他人の著作物を利用するには、原則として著作権者の了解を得ることが必要であり、通常は、著作権者との間で契約を行うことになります。
一方で、「著作権フリー素材」のように、著作権者が、あらかじめ権利を行使しないという意思を表示している場合もあります。その場合は、様々な利用形態のうち、具体的に何をすることが許されているか、あらかじめ利用規約で確認してから利用することが重要です。
Question 3
推しキャラをSNSのアイコンにしてもいいの?
ねえ見て!私の推しキャラをSNSのアイコンにしたの!かわいいでしょ。
うん、かわいいね。でも、勝手にSNSに上げちゃって大丈夫なのかな…ちょっと心配。
ポイント
- 私的使用のためのコピー、引用による利用などの例外的な場合を除き、他人の著作物を利用するには、原則として著作権者の了解を得ることが必要です。
- 私的使用目的の複製はあくまで家庭内等のごく限られた範囲での複製に関する例外規定であり、公衆送信に関する例外規定ではありませんので、著作権者に無断でSNS上に著作物をアップロードする場合には著作権侵害(違法)となるため、注意が必要です。
以下に記載されたような例外的な利用の場合を除き、他人の著作物を利用するには、著作権者の了解を得ることが必要です。
参考例:著作権法の例外規定(一部)
① 私的使用のための複製(コピー)
個人的に使用したり、家庭内などの限られた範囲で使用したりすることを目的とする場合に著作物をコピーすること。
(例)テレビ番組を録画しておいて後日自分で観る場合
② 引用
公表されている他人の著作物を、出所を明示して引用すること。ただし、公正な慣行への合致(例えば、引用を行う必然性があることや、カギ括弧などにより引用部分が明確になっていること)や正当な範囲内での利用(引用部分とそれ以外の部分の主従関係が明確であることや、引用される分量が必要最小限度の範囲内であること)等、一定の条件を満たすことが必要。
例えば、①私的使用のための複製という例外規定は、著作権者の「複製権」を制限した規定であり、「公衆送信権」は対象外です。したがって、SNSのアイコン設定のようにネットワーク上に著作物をアップロードする行為は、インターネットを通じた著作物の公衆送信に当たり、たとえ個人で行うものであっても、不特定又は多数の人が閲覧可能となるため、著作権者に無断で行うと著作権侵害(違法)になります。
自分の利用行為が例外規定の要件を満たしているかどうかについて、確認することが必要です。
Question 4
著作権を侵害するとどうなるの?
著作権を侵害してしまったら、どのような責任を負うことになるんだろう。
ポイント
- 他人の著作権を侵害した場合、罪に問われたり、権利者から損害賠償を請求されることがあります。
- また、直接的には著作権の侵害には当たらなくても、法律によって侵害とみなされるものもあります。例えば、違法にアップロードされた著作物へのリンク情報をまとめたウェブサイト(いわゆる「リーチサイト」)に侵害コンテンツへのリンク等を提供した場合、著作権侵害とみなされ、3年以下の懲役等に処せられます。
他人の著作物を無断でコピーして販売したり、インターネットを利用して送信した場合などは、著作権を侵害したとして、次のような責任を問われることがあります。
- 刑事罰に問われる。※権利者からの告訴(訴え)が前提
(10年以下の懲役又は1,000万円以下の罰金) - 損害賠償を請求される。
- 侵害行為の停止や名誉回復等の措置を請求される。
また、直接的には著作権の侵害には当たらなくても、実質的には著作権侵害と同等のものとして、法律によって「侵害とみなす」こととされているものもあります。例えば、自分自身は違法に著作権をアップロードしていなくても、違法にアップロードされた著作物へのリンク情報をまとめたウェブサイト(いわゆる「リーチサイト」)に侵害コンテンツへのリンク等を提供した場合、著作権侵害とみなされ、3年以下の懲役等に処せられることになります。
Question 5
よく聞く「海賊版」って、何に注意すればいいの?
よく「海賊版」はダメって聞くんだけど、どのようなことに注意したらいいんだろう。
そうだね。毎日インターネットを使う翔平くんたちにとっては、気になるよね。
ポイント
- 「海賊版」は、権利者の了解を得ないで作成された違法な複製物(コピー)のことで、海賊版と知りながら販売などを行うと、著作権違反となります。
- 海賊版だと思ったら、利用しないようにしましょう。また、正規版についているマークも参考にしましょう。
「海賊版」というのは、権利者の了解を得ないで作成された違法な複製物(コピー)のことです。
この「海賊版」を国内で販売・配布する目的で輸入することは、著作権侵害とみなされます。また、海賊版を、海賊版と知っていながら、「販売・配布・貸与」したり、その目的で「所持」したりすること、継続・反復して「輸出」したり、その目的で「所持」したりすること
等も違法となります。
このほか、例えば、インターネット上に違法にアップロードされた「海賊版」を、海賊版だと知りながらダウンロードすることは、個人で楽しむためであっても違法であり、罪に問われます。「海賊版」がダウンロードされると、著作権者が収入を得られなくなり、そのような行為が拡大すると、新たな作品を生み出すことができなくなってしまうからです。
ただし、漫画の1コマ~数コマなど作品のごく一部分の軽微なダウンロードの場合や、パロディのダウンロードの場合などは規制対象から除外されています。
海賊版だと思ったら、利用しないようにしましょう。また、基本的に正規版には、漫画や書籍などは「ABJマーク」が、音楽・映像は「エルマーク」が付いているので、これを目印にすれば、安心して著作物を利用することができます。
参考
第12話 解説
- その動画、アップして大丈夫? -